ネコグラファーの前田悟志です。
横浜赤レンガ倉庫ねこ写真展2016も盛り上がりました!私も1日お手伝いに行ってきましたが、熱気ムンムンでした。いやぁ、猫ブーム冷めやらぬってところでしょうか。

テレビのCMやら動物番組を見ていると「ねこ」「ネコ」「猫」。
とあるテレビ局のディレクターさんと呑んだ時に「とりあえず猫出しとけば数字(視聴率)取れるからね!」と言われた時は、世も末だなと思いました。

でも、確かにそうなんですよ。
TwitterやFacebookでは「ペットショップ反対!保護猫を引き取ろう!」って声が上がりますが、公共の電波(テレビ)では未だに「人気の猫TOP5」とかでいわゆる「純血種」をランキングに上げています。

「動物の可愛い赤ちゃんベスト10」とかやってる場合じゃないんですよ。テレビ局さん。赤ちゃんじゃなくてもかわいいし、そんなことするから成猫の保護猫が引き取られにくくなってるんですよ。

おっと、話がそれました。

ペット保険会社のアンケートや動物番組で必ず人気1位になる「猫種」があります。
そう。「スコティッシュフォールド(通称スコ)」です。
スコティッシュフォールドは大まかに2種類に分類されます。

・耳の垂れたスコ
・耳の垂れていないスコ(スコティッシュストレートとも呼ばれています。)

そして、衝撃的なことに耳の垂れたスコは全部「病気を持って生まれてきている」と言っていいと思います。

スコ差替

その病気とは「遺伝性骨形成異常症」。
簡単に言えば「骨」の病気です。

なぜ「耳が垂れているのか?」。
そう。「この病気に侵されているから」です。
みんなが可愛い可愛いと言っている「垂れ耳」は病気なんです。
別の言い方をすると「可愛い垂れ耳を作り出すために、病気のスコを無理やり繁殖させている」ということです。

この病気はやがて耳だけではなく、どこかの骨・軟骨に異常をもたらします。
その確率は100%と言っていいでしょう。耳が垂れている時点でこの病気の「キャリア」だということは確定しています。

つまり。
病気を発症する前に寿命を迎えるか?
生きているうちに発症してしまうか?
の違いだけで、全ての子は「キャリア」です。

この「遺伝性骨形成異常症」は残念なことに治せません。
特効薬も治療法もありません。
小さな体にメスを入れて「骨を削る」という対処療法しかないのです。

もちろんそれには大変なリスク(全身麻酔によるショック死)や、膨大なお金がかかります。スコの個体で40万円から50万円支払った後に「遺伝性骨形成異常症」の対処療法にまたお金がかかります。
それ以外にも、歩けなくなったときやジャンプできなくなったときの家のリフォーム代、介護費などを計算すると…。

そんなに…スコ飼いたいですか?

と言わざるを得ません。

じゃぁ何でペットショップで「耳垂れスコ」売ってるの?おかしいじゃないか?
と思う方もたくさんいらっしゃると思います。

「可愛いって良く売れるから」です。

最初にテレビ局のお話をしました。
この世の中は「需要」と「供給」で経済が回っています。
売れない商品はどんどん無くなります。
売れる商品はどんどん生産されます。

「耳垂れスコ」がどんどん売れるから、どんどん「生産」されているんです。

そして、この「遺伝性骨形成異常症」のことは動物番組でも一切紹介されません。ましてや、ペットショップでスコを買う際に店員さんからの説明もないでしょう。

スコを購入後に「遺伝性骨形成異常症」を発症し、その後どうなっているかご存知ですか?

捨てる人もいるんです。
そう。野良耳垂れスコが増えてきてるんです。

野良耳垂れスコさん

(保護された野良耳垂れスコさん)

もっと衝撃的なのはブリーダーがペットショップへ卸す前に「遺伝性骨形成異常症」を発症した場合、多くのスコは保健所で殺処分されています。
ブリーダーが保健所に持ち込んでいるのです。

※もちろんこの記事は現在スコティッシュフォールドをお飼いのみなさんを否定するものではありません。これからスコティッシュフォールドをお飼いになる方へのお知らせと、無理なブリーディングに対する警告と思って頂ければ幸いです。

そして以前からブログやTwitterやFacebookで発信してきました。
そうすると私の事務所に脅迫状やらカミソリ入りの手紙が届くんですよ。
多分、「スコの写真集を売りたい」同業者や、スコのブリーダーからでしょう。
でも、本当にスコの「遺伝性骨形成異常症」は知ってていただきたいのです。

これからスコを飼いたい!と思っている方にお知らせです。

06

2016年11月23日(水・祝日)に東京堂書店6階東京堂ホール(神保町駅から徒歩6分)にて「スコティッシュフォールドと暮らした時に気をつける事」というセミナーが行われます。
主催は数多くの猫グッズや雑貨を手掛けるメーカー「猫壱」さんです。
本当はペット保険会社やペットショップがこういうセミナーを開くべきだと思うのですが、さすがは猫壱さん。本当に猫のことを考えてらっしゃる企業さんであることがわかりますね。

私もこのセミナーに参加しますので、是非是非みなさんもお越しください。
会場でお待ちしております。

■猫と人のQOR向上セミナー
https://www.necoichi.co.jp/Blog/detail/id=4288

 

著者:ネコグラファー® 前田 悟志

 

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ネコグラファーの前田悟志です。
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テレビのCMやら動物番組を見ていると「ねこ」「ネコ」「猫」。
とあるテレビ局のディレクターさんと呑んだ時に「とりあえず猫出しとけば数字(視聴率)取れるからね!」と言われた時は、世も末だなと思いました。

でも、確かにそうなんですよ。
TwitterやFacebookでは「ペットショップ反対!保護猫を引き取ろう!」って声が上がりますが、公共の電波(テレビ)では未だに「人気の猫TOP5」とかでいわゆる「純血種」をランキングに上げています。

「動物の可愛い赤ちゃんベスト10」とかやってる場合じゃないんですよ。テレビ局さん。赤ちゃんじゃなくてもかわいいし、そんなことするから成猫の保護猫が引き取られにくくなってるんですよ。

おっと、話がそれました。

ペット保険会社のアンケートや動物番組で必ず人気1位になる「猫種」があります。
そう。「スコティッシュフォールド(通称スコ)」です。
スコティッシュフォールドは大まかに2種類に分類されます。

・耳の垂れたスコ
・耳の垂れていないスコ(スコティッシュストレートとも呼ばれています。)

そして、衝撃的なことに耳の垂れたスコは全部「病気を持って生まれてきている」と言っていいと思います。

スコ差替

その病気とは「遺伝性骨形成異常症」。
簡単に言えば「骨」の病気です。

なぜ「耳が垂れているのか?」。
そう。「この病気に侵されているから」です。
みんなが可愛い可愛いと言っている「垂れ耳」は病気なんです。
別の言い方をすると「可愛い垂れ耳を作り出すために、病気のスコを無理やり繁殖させている」ということです。

この病気はやがて耳だけではなく、どこかの骨・軟骨に異常をもたらします。
その確率は100%と言っていいでしょう。耳が垂れている時点でこの病気の「キャリア」だということは確定しています。

つまり。
病気を発症する前に寿命を迎えるか?
生きているうちに発症してしまうか?
の違いだけで、全ての子は「キャリア」です。

この「遺伝性骨形成異常症」は残念なことに治せません。
特効薬も治療法もありません。
小さな体にメスを入れて「骨を削る」という対処療法しかないのです。

もちろんそれには大変なリスク(全身麻酔によるショック死)や、膨大なお金がかかります。スコの個体で40万円から50万円支払った後に「遺伝性骨形成異常症」の対処療法にまたお金がかかります。
それ以外にも、歩けなくなったときやジャンプできなくなったときの家のリフォーム代、介護費などを計算すると…。

そんなに…スコ飼いたいですか?

と言わざるを得ません。

じゃぁ何でペットショップで「耳垂れスコ」売ってるの?おかしいじゃないか?
と思う方もたくさんいらっしゃると思います。

「可愛いって良く売れるから」です。

最初にテレビ局のお話をしました。
この世の中は「需要」と「供給」で経済が回っています。
売れない商品はどんどん無くなります。
売れる商品はどんどん生産されます。

「耳垂れスコ」がどんどん売れるから、どんどん「生産」されているんです。

そして、この「遺伝性骨形成異常症」のことは動物番組でも一切紹介されません。ましてや、ペットショップでスコを買う際に店員さんからの説明もないでしょう。

スコを購入後に「遺伝性骨形成異常症」を発症し、その後どうなっているかご存知ですか?

捨てる人もいるんです。
そう。野良耳垂れスコが増えてきてるんです。

野良耳垂れスコさん

(保護された野良耳垂れスコさん)

もっと衝撃的なのはブリーダーがペットショップへ卸す前に「遺伝性骨形成異常症」を発症した場合、多くのスコは保健所で殺処分されています。
ブリーダーが保健所に持ち込んでいるのです。

※もちろんこの記事は現在スコティッシュフォールドをお飼いのみなさんを否定するものではありません。これからスコティッシュフォールドをお飼いになる方へのお知らせと、無理なブリーディングに対する警告と思って頂ければ幸いです。

そして以前からブログやTwitterやFacebookで発信してきました。
そうすると私の事務所に脅迫状やらカミソリ入りの手紙が届くんですよ。
多分、「スコの写真集を売りたい」同業者や、スコのブリーダーからでしょう。
でも、本当にスコの「遺伝性骨形成異常症」は知ってていただきたいのです。

これからスコを飼いたい!と思っている方にお知らせです。

06

2016年11月23日(水・祝日)に東京堂書店6階東京堂ホール(神保町駅から徒歩6分)にて「スコティッシュフォールドと暮らした時に気をつける事」というセミナーが行われます。
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本当はペット保険会社やペットショップがこういうセミナーを開くべきだと思うのですが、さすがは猫壱さん。本当に猫のことを考えてらっしゃる企業さんであることがわかりますね。

私もこのセミナーに参加しますので、是非是非みなさんもお越しください。
会場でお待ちしております。

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著者:ネコグラファー® 前田 悟志

 

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