「なんだか猫らしくない」純血種っぽい猫たち

保護猫カフェというからには、そこにいる猫は保護猫なのです。保護猫がお店にやってくる経緯は、ボランティアさんの手を介するケースが多いと思います。TNRの過程で保護せざるを得ない状況があったなどのパターンでしょうかね。あるいは、団体さんによっては動物愛護センターからの引き出しが主だったり、被災地からの保護が中心だったりと、それぞれ特色はありますけれども。

いわゆる「雑種」と呼ばれる猫がほとんどを占める保護猫カフェですが、時々、純血種にしか見えない猫がいます。長毛でいかにも洋猫っぽいとか、足が短いマンチカンとか、どう見てもスコティッシュとかも見かけます。

そういう猫を見ていていつも僕が思うのは、なんだか猫らしくないなぁということ。生まれて数カ月くらいまでの猫だと普通、おもちゃには猛烈な勢いでじゃれつき、キャットタワーを縦横無尽に駆け回り、兄妹の猫たちとそれこそ怪我をしそうなくらいに取っ組み合います。

でも純血種っぽい猫は総じて動作がどこか緩慢でのそのそと歩き、性格が穏やか〜な、そんなイメージです。まぁ全部がそうではありませんし、僕が見た中の勝手なイメージなのかもしれませんが。

ペットショップが放棄→保護猫カフェに来たサニー

板橋区の保護猫カフェ「キャッツイン東京」にいるサニーちゃんもそんな猫です。血統書付きのマンチカン。同年齢の他の猫に比べて体は小さく、遊び盛りのはずなのに、ちょっとじゃれついては座り込んでゴロゴロしています。ベロも出っ放しで、可愛いんですがちょっと心配。聞けばやっぱり健康状態に問題があるようです。

サニーちゃんは、「門脈シャント」の疑いで現在検査結果待ち。門脈シャントとは、血管内の有害物質が解毒されないまま全身を巡ってしまう病気です。本来ならば消化管から吸収されたアンモニアなどの有害物質は、血管を通して肝臓に運ばれて解毒されます。それが余分な血管奇形のバイパスのために肝臓を経由しないまま全身を循環してしまうものです。その治療には膨大な費用がかかることでも知られています(検査、手術で一般的に数十万〜数百万円)。

サニーちゃんは、とあるペットショップが放棄した猫なのだそう。売れないから、と言うのが放棄の理由でしょう。売れない上に高額な治療費のかかる猫をお店に置いておく理由はありません、商売ですからね。ショップが放棄し、ある動物病院を経てキャッツイン東京へやって来たのです。

生体販売の裏に生じる「ロス」

僕が生体販売の流通に反対する理由は、まさにここにあります。利益を上げるために小さな命を処分せざるを得ないという、そんな切ない商売のどこにやりがいを感じるのでしょうかね。弱い生き物の犠牲の上に成り立っている業界ってどうなんだろうと思います。

流通の過程には必ずロスが発生します。そして市場の規模が大きくなればなるほど、ロスの絶対数は大きくなるはず。例えば大きなスーパーで売られている野菜などの例が分かりやすいでしょう。商品を提供するためにたくさんの業者が毎日大量に生産してお店に提供しています。でも100%売れることってあり得ないので当然売れ残りがでます。余ったら当然廃棄です。利益を生まない商品を店頭に並べておく必要なんてありません。

さらに想像すると、お店に並ぶことすらない商品だってたくさんあります。形の悪いもの味の良くないもの、発育不良の野菜など。もったい無いですけどね、しょうがないでしょう。「良い商品を流通させる」ということは「良くない商品は選別して捨てる」ということの裏返しなのです。これとまったく同じような流通システムに乗せているのが、犬や猫の生体販売なのです。

ショーケースに並ぶ可愛い子猫はどこから来た?

一般の人の目につくのは、綺麗な店舗で綺麗なショーケースに入れられて綺麗にグルーミングされた可愛らしい仔猫や仔犬たちです。生き物を売って何が悪いの?というご意見もあるでしょう。でも、商品として店頭に並ぶまでの過程に想像を巡らせてほしいと願います。流通過程の上流に行けば行くほど、その全容は闇の中です。近年になってやっと、テレビなどのメディアでも取り上げられるようになってきました。仔犬や仔猫をダンボールに入れ、競って値をつけるオークションの映像を見たことがある人もいるでしょう。産ませるだけのために、犬や猫をケージに閉じ込めている繁殖業者の実態なども、徐々に情報が出るようになってきました。

そういう情報を目にするたび、表に出てこないまま犠牲になった動物の数はどれほどなのだろうと思ってしまいます。環境省から毎年発表される殺処分数は確かに年々減ってきていますが、それは単に流通過程の下流の部分で愛護団体の人たちが頑張っているだけに過ぎないのではないかと思うのです。

もしもこれからペットショップで仔猫を買おうと思っている方がいるならば、お店でちょっと聞いてみると良いかもしれません。

「この子はどこから来たんですか?」
「親はどんな環境にいるのですか?」
「この子の兄妹たちはどうしていますか?」

この先、十数年も一緒に暮らすことになるのですから、より慎重に情報を集めることは必要だと思います。成長するにつれ高額な医療費が必要になってくるケースもあるのですから。どうか一時的な感情の衝動買いだけは避けてほしいと願います。

生まれてきた命に罪はないですし、血統書付きであろうが雑種であろうが変わりなく可愛いなと思います。罪があるのは、利益を追うために利用する人間の側ですね。
「どう思っているんだい?」と、サニーちゃんに聞いてみたいのです。

著者:ねこたろう

「なんだか猫らしくない」純血種っぽい猫たち

保護猫カフェというからには、そこにいる猫は保護猫なのです。保護猫がお店にやってくる経緯は、ボランティアさんの手を介するケースが多いと思います。TNRの過程で保護せざるを得ない状況があったなどのパターンでしょうかね。あるいは、団体さんによっては動物愛護センターからの引き出しが主だったり、被災地からの保護が中心だったりと、それぞれ特色はありますけれども。

いわゆる「雑種」と呼ばれる猫がほとんどを占める保護猫カフェですが、時々、純血種にしか見えない猫がいます。長毛でいかにも洋猫っぽいとか、足が短いマンチカンとか、どう見てもスコティッシュとかも見かけます。

そういう猫を見ていていつも僕が思うのは、なんだか猫らしくないなぁということ。生まれて数カ月くらいまでの猫だと普通、おもちゃには猛烈な勢いでじゃれつき、キャットタワーを縦横無尽に駆け回り、兄妹の猫たちとそれこそ怪我をしそうなくらいに取っ組み合います。

でも純血種っぽい猫は総じて動作がどこか緩慢でのそのそと歩き、性格が穏やか〜な、そんなイメージです。まぁ全部がそうではありませんし、僕が見た中の勝手なイメージなのかもしれませんが。

ペットショップが放棄→保護猫カフェに来たサニー

板橋区の保護猫カフェ「キャッツイン東京」にいるサニーちゃんもそんな猫です。血統書付きのマンチカン。同年齢の他の猫に比べて体は小さく、遊び盛りのはずなのに、ちょっとじゃれついては座り込んでゴロゴロしています。ベロも出っ放しで、可愛いんですがちょっと心配。聞けばやっぱり健康状態に問題があるようです。

サニーちゃんは、「門脈シャント」の疑いで現在検査結果待ち。門脈シャントとは、血管内の有害物質が解毒されないまま全身を巡ってしまう病気です。本来ならば消化管から吸収されたアンモニアなどの有害物質は、血管を通して肝臓に運ばれて解毒されます。それが余分な血管奇形のバイパスのために肝臓を経由しないまま全身を循環してしまうものです。その治療には膨大な費用がかかることでも知られています(検査、手術で一般的に数十万〜数百万円)。

サニーちゃんは、とあるペットショップが放棄した猫なのだそう。売れないから、と言うのが放棄の理由でしょう。売れない上に高額な治療費のかかる猫をお店に置いておく理由はありません、商売ですからね。ショップが放棄し、ある動物病院を経てキャッツイン東京へやって来たのです。

生体販売の裏に生じる「ロス」

僕が生体販売の流通に反対する理由は、まさにここにあります。利益を上げるために小さな命を処分せざるを得ないという、そんな切ない商売のどこにやりがいを感じるのでしょうかね。弱い生き物の犠牲の上に成り立っている業界ってどうなんだろうと思います。

流通の過程には必ずロスが発生します。そして市場の規模が大きくなればなるほど、ロスの絶対数は大きくなるはず。例えば大きなスーパーで売られている野菜などの例が分かりやすいでしょう。商品を提供するためにたくさんの業者が毎日大量に生産してお店に提供しています。でも100%売れることってあり得ないので当然売れ残りがでます。余ったら当然廃棄です。利益を生まない商品を店頭に並べておく必要なんてありません。

さらに想像すると、お店に並ぶことすらない商品だってたくさんあります。形の悪いもの味の良くないもの、発育不良の野菜など。もったい無いですけどね、しょうがないでしょう。「良い商品を流通させる」ということは「良くない商品は選別して捨てる」ということの裏返しなのです。これとまったく同じような流通システムに乗せているのが、犬や猫の生体販売なのです。

ショーケースに並ぶ可愛い子猫はどこから来た?

一般の人の目につくのは、綺麗な店舗で綺麗なショーケースに入れられて綺麗にグルーミングされた可愛らしい仔猫や仔犬たちです。生き物を売って何が悪いの?というご意見もあるでしょう。でも、商品として店頭に並ぶまでの過程に想像を巡らせてほしいと願います。流通過程の上流に行けば行くほど、その全容は闇の中です。近年になってやっと、テレビなどのメディアでも取り上げられるようになってきました。仔犬や仔猫をダンボールに入れ、競って値をつけるオークションの映像を見たことがある人もいるでしょう。産ませるだけのために、犬や猫をケージに閉じ込めている繁殖業者の実態なども、徐々に情報が出るようになってきました。

そういう情報を目にするたび、表に出てこないまま犠牲になった動物の数はどれほどなのだろうと思ってしまいます。環境省から毎年発表される殺処分数は確かに年々減ってきていますが、それは単に流通過程の下流の部分で愛護団体の人たちが頑張っているだけに過ぎないのではないかと思うのです。

もしもこれからペットショップで仔猫を買おうと思っている方がいるならば、お店でちょっと聞いてみると良いかもしれません。

「この子はどこから来たんですか?」
「親はどんな環境にいるのですか?」
「この子の兄妹たちはどうしていますか?」

この先、十数年も一緒に暮らすことになるのですから、より慎重に情報を集めることは必要だと思います。成長するにつれ高額な医療費が必要になってくるケースもあるのですから。どうか一時的な感情の衝動買いだけは避けてほしいと願います。

生まれてきた命に罪はないですし、血統書付きであろうが雑種であろうが変わりなく可愛いなと思います。罪があるのは、利益を追うために利用する人間の側ですね。
「どう思っているんだい?」と、サニーちゃんに聞いてみたいのです。

著者:ねこたろう