何も起きなかったことの評価って難しいのです。無かったことの実証が悪魔の証明と言われるくらいですからね。

どこの職場にも一人二人いるのではないでしょうか。その人に任せるとしれ〜っといつの間にか仕事が終わっている。何のトラブルもなく。という人が。でもあんまり評価されません。なぜなら気付かないからです、何も起きないから。

おそらくトラブルを起こさないためのいくつかのノウハウがあるはず。でもそういう人ってたいていアピールが下手です。むしろ派手に失敗を繰り返し、最後に成功するパターンの方が評価されやすいですね。それは別に否定しませんが、一方で人知れず地道にコツコツ丁寧にやっている人への評価は…? 何だかなーと思ってしまいます。

TNRってまさにそういう活動だと思うのです。放っておけば必ずトラブルに発展していたであろう地域で、地道に猫を捕獲し、病院に運んで手術を施し、そ〜っと元の場所に帰す。場合によっては近隣に説明して理解をしていただく。トラブルになってこじれてしまってから行動するのと、事前に行動するのとでは、そのコストには雲泥の差があるでしょう。

ある日の夕暮れ、とある公園でベンチに腰掛けて猫にご飯をあげている女性を見かけました。数匹の猫がその人の周りにいました。

「猫の世話をしているのですか?」
「えっ…は、はい…」

ちょっとびっくりさせてしまったようなので、慌てて説明しました。
「あ、いやえっと… 僕は保護猫の写真を撮っている者で、猫の世話をする人を応援しています…」

そう言って、少しお話を伺いました。遡ること数年前、その方は公園に棲みついていたその猫たちに、不妊手術をしてあげたそうです。自分の飼い猫でもないのに、しかも自腹で。これがTNR活動をしている人の話しなら納得がいきますが、そうではないのですね。たまたま近所に住んでいて、たまたま猫が数匹棲みついていたので、このままにしておくとまずいと思ったそうです。それから定期的にご飯をあげに来ているとのことでした。

その方は猫が食べ終わるのを待って、皿を綺麗に片付けて帰って行きました。何でしょうね、こういうことが自然にできる人がいるのですね。お礼を言いたいくらいでした。通りがかっただけの僕が言うのは変なのですが。

気付かないだけで、こういう人は実は各地にいるのでしょう。いわゆる餌やりさんではなく、保護活動家というわけでもなく、近隣トラブルになりそうな小さな火種を敏感に察知してさり気なく対処している人が。

何も起きなかったことを評価してあげたい。評価してあげたいのに気付かない… 。何だかモヤモヤっとしたジレンマなのです。「あなたがいたからトラブルが起きなかったので賞」をそっとあげたいと思います。心のなかで。

写真展の告知です。西麻布交差点のビルの7Fでひっそりと開催です。
https://www.facebook.com/events/905653102925502/
ご都合があえばお越しください。

 

著者:ねこたろう

何も起きなかったことの評価って難しいのです。無かったことの実証が悪魔の証明と言われるくらいですからね。

どこの職場にも一人二人いるのではないでしょうか。その人に任せるとしれ〜っといつの間にか仕事が終わっている。何のトラブルもなく。という人が。でもあんまり評価されません。なぜなら気付かないからです、何も起きないから。

おそらくトラブルを起こさないためのいくつかのノウハウがあるはず。でもそういう人ってたいていアピールが下手です。むしろ派手に失敗を繰り返し、最後に成功するパターンの方が評価されやすいですね。それは別に否定しませんが、一方で人知れず地道にコツコツ丁寧にやっている人への評価は…? 何だかなーと思ってしまいます。

TNRってまさにそういう活動だと思うのです。放っておけば必ずトラブルに発展していたであろう地域で、地道に猫を捕獲し、病院に運んで手術を施し、そ〜っと元の場所に帰す。場合によっては近隣に説明して理解をしていただく。トラブルになってこじれてしまってから行動するのと、事前に行動するのとでは、そのコストには雲泥の差があるでしょう。

ある日の夕暮れ、とある公園でベンチに腰掛けて猫にご飯をあげている女性を見かけました。数匹の猫がその人の周りにいました。

「猫の世話をしているのですか?」
「えっ…は、はい…」

ちょっとびっくりさせてしまったようなので、慌てて説明しました。
「あ、いやえっと… 僕は保護猫の写真を撮っている者で、猫の世話をする人を応援しています…」

そう言って、少しお話を伺いました。遡ること数年前、その方は公園に棲みついていたその猫たちに、不妊手術をしてあげたそうです。自分の飼い猫でもないのに、しかも自腹で。これがTNR活動をしている人の話しなら納得がいきますが、そうではないのですね。たまたま近所に住んでいて、たまたま猫が数匹棲みついていたので、このままにしておくとまずいと思ったそうです。それから定期的にご飯をあげに来ているとのことでした。

その方は猫が食べ終わるのを待って、皿を綺麗に片付けて帰って行きました。何でしょうね、こういうことが自然にできる人がいるのですね。お礼を言いたいくらいでした。通りがかっただけの僕が言うのは変なのですが。

気付かないだけで、こういう人は実は各地にいるのでしょう。いわゆる餌やりさんではなく、保護活動家というわけでもなく、近隣トラブルになりそうな小さな火種を敏感に察知してさり気なく対処している人が。

何も起きなかったことを評価してあげたい。評価してあげたいのに気付かない… 。何だかモヤモヤっとしたジレンマなのです。「あなたがいたからトラブルが起きなかったので賞」をそっとあげたいと思います。心のなかで。

写真展の告知です。西麻布交差点のビルの7Fでひっそりと開催です。
https://www.facebook.com/events/905653102925502/
ご都合があえばお越しください。

 

著者:ねこたろう