たぶん、誰でも1度や2度、外で猫に出会い、「拾うべきか、拾わざるべきか」という局面に立たされたことがあるだろう。放っておいたら明らかに消えてしまいそうな命。しかし、猫は飼ったことがない。あるいはどう見ても乳飲子で、拾ったもののどうしていいかわからない。拾ったらまずどうすればいいのか。そんな切羽詰った事態に対し、本書はほぼ全ての答えが載っている。これはもはや保護猫の教科書と言っても過言ではない。

オシャレな装丁と相対し、タイトル名そのものの実用書なのである

本書の著者は、自身も板橋区を拠点に地域猫活動や保護猫活動を行うフリーライターの富田園子さんだ。幼いころから生き物に囲まれて育ったという富田さんは現在、7匹の元保護猫である愛猫と、常時10匹前後いる里親募集中の居候猫、ニンゲンの夫と暮らす。猫の保護活動は3年前に「出会ってしまった」ことがキッカケとなり、始動。執筆の合間を縫い、地元のいろんな現場で野良猫の捕獲やTNR活動を行っている。

野良猫を拾うための、拾ってしまった人のための指南書としたのは、「日本で“元野良猫”を飼っているのは全体の8割以上。なのに、野良猫を飼うためのハウツー本がないのはおかしい。野良猫を飼うためにやるべきことをわかりやすくまとめた本がほしい!」という思いから。自分自身が体験してきたことや葛藤、失敗、悩みがベースになっているだけに、実にリアルである。猫の週齢別ウンチの画像などもカラーで出ている。写真が多いのもわかりやすくて良い。モデル猫がどこかユルくてひょうきんなのも、猫をよく知る著者ならではだ。

富田さんが実際に「拾った」野良猫の子猫。現在里親募集中(写真提供=富田園子さん)

筆者は東日本大震災を機になし崩しに保護活動の真似ごとを始めることとなったのだが、たまに依頼を受け、野良猫の捕獲をすることがある。やはり手探りで、諸先輩に相談したりしながら苦悩と反省を繰り返し、答えらしきものを見出すのに何年もかかった。答えかと思えば落とし穴も多く、猫は本当に奥深いと常に感じている。だから全国の捕獲ビギナーに対するこの本の役割の大きさは計り知れない。

富田さんが「拾った」ばかりの子猫。里親募集中(写真提供=富田園子さん)

1点補足するとすれば、この本に書いてあることは1つの正解だということだ 。保護やケアのノウハウにはたくさんの正解があり、何がベストというのはケースバイケースと言える。例えば、不妊手術をした印として術中に行う耳カット。近年主流となりつつあるV字カットを施した耳が桜の花びらのようにも見えることから、どこからか「さくら猫」というネーミングが出て浸透するようになり久しい。さくら猫はキャッチーではあるが、実はまだまだ水平カットも多く、V字カット(桜カット)のみが地域猫であると認識してしまう怖さもはらんでいる。筆者は見たことがないが、ビーズピアスやタトゥーもあるそうだ。

また、気をつけなければいけないのは、授乳中・育児中のメス猫を知らずに捕獲してしまうこと。本書にも書いてある通り、捕獲したらすぐに動物病院に直行するのが鉄則だが、もしも出産間もない母猫だとわかったら、何はともあれ即リリースしなければならない。さもなければ子猫の運命は決まっている。「せっかく捕獲できたのに」と思うかもしれないが、子猫がいる限り必ずまた母猫は捕獲できるので、まずは子猫の命を最優先にしたい。リリースした母猫は一目散に子猫のところに行くはずだ。育児中はお腹が空くので、捕獲器には必ず入るものである。

うんちくを述べたが、誰もが初めは1年生。これまでハードルが高かったその第一歩を超えやすくしたこの本の功績は大きい。野良猫が気になるならば、まずは読んでもらいたい一冊である。

書籍詳細

『野良猫の拾い方』
企画・取材・編集/富田園子
監修/東京キャットガーディアン
定価:1,512円(税込)
発売日:2018年4月24日
判型:A5判
ページ数:176
ISBN:978-4-278-03960-3
出版社:大泉書店

http://www.oizumishoten.co.jp/books/03960.html

文責:にゃんこマガジン編集部

 


 

たぶん、誰でも1度や2度、外で猫に出会い、「拾うべきか、拾わざるべきか」という局面に立たされたことがあるだろう。放っておいたら明らかに消えてしまいそうな命。しかし、猫は飼ったことがない。あるいはどう見ても乳飲子で、拾ったもののどうしていいかわからない。拾ったらまずどうすればいいのか。そんな切羽詰った事態に対し、本書はほぼ全ての答えが載っている。これはもはや保護猫の教科書と言っても過言ではない。

オシャレな装丁と相対し、タイトル名そのものの実用書なのである

本書の著者は、自身も板橋区を拠点に地域猫活動や保護猫活動を行うフリーライターの富田園子さんだ。幼いころから生き物に囲まれて育ったという富田さんは現在、7匹の元保護猫である愛猫と、常時10匹前後いる里親募集中の居候猫、ニンゲンの夫と暮らす。猫の保護活動は3年前に「出会ってしまった」ことがキッカケとなり、始動。執筆の合間を縫い、地元のいろんな現場で野良猫の捕獲やTNR活動を行っている。

野良猫を拾うための、拾ってしまった人のための指南書としたのは、「日本で“元野良猫”を飼っているのは全体の8割以上。なのに、野良猫を飼うためのハウツー本がないのはおかしい。野良猫を飼うためにやるべきことをわかりやすくまとめた本がほしい!」という思いから。自分自身が体験してきたことや葛藤、失敗、悩みがベースになっているだけに、実にリアルである。猫の週齢別ウンチの画像などもカラーで出ている。写真が多いのもわかりやすくて良い。モデル猫がどこかユルくてひょうきんなのも、猫をよく知る著者ならではだ。

富田さんが実際に「拾った」野良猫の子猫。現在里親募集中(写真提供=富田園子さん)

筆者は東日本大震災を機になし崩しに保護活動の真似ごとを始めることとなったのだが、たまに依頼を受け、野良猫の捕獲をすることがある。やはり手探りで、諸先輩に相談したりしながら苦悩と反省を繰り返し、答えらしきものを見出すのに何年もかかった。答えかと思えば落とし穴も多く、猫は本当に奥深いと常に感じている。だから全国の捕獲ビギナーに対するこの本の役割の大きさは計り知れない。

富田さんが「拾った」ばかりの子猫。里親募集中(写真提供=富田園子さん)

1点補足するとすれば、この本に書いてあることは1つの正解だということだ 。保護やケアのノウハウにはたくさんの正解があり、何がベストというのはケースバイケースと言える。例えば、不妊手術をした印として術中に行う耳カット。近年主流となりつつあるV字カットを施した耳が桜の花びらのようにも見えることから、どこからか「さくら猫」というネーミングが出て浸透するようになり久しい。さくら猫はキャッチーではあるが、実はまだまだ水平カットも多く、V字カット(桜カット)のみが地域猫であると認識してしまう怖さもはらんでいる。筆者は見たことがないが、ビーズピアスやタトゥーもあるそうだ。

また、気をつけなければいけないのは、授乳中・育児中のメス猫を知らずに捕獲してしまうこと。本書にも書いてある通り、捕獲したらすぐに動物病院に直行するのが鉄則だが、もしも出産間もない母猫だとわかったら、何はともあれ即リリースしなければならない。さもなければ子猫の運命は決まっている。「せっかく捕獲できたのに」と思うかもしれないが、子猫がいる限り必ずまた母猫は捕獲できるので、まずは子猫の命を最優先にしたい。リリースした母猫は一目散に子猫のところに行くはずだ。育児中はお腹が空くので、捕獲器には必ず入るものである。

うんちくを述べたが、誰もが初めは1年生。これまでハードルが高かったその第一歩を超えやすくしたこの本の功績は大きい。野良猫が気になるならば、まずは読んでもらいたい一冊である。

書籍詳細

『野良猫の拾い方』
企画・取材・編集/富田園子
監修/東京キャットガーディアン
定価:1,512円(税込)
発売日:2018年4月24日
判型:A5判
ページ数:176
ISBN:978-4-278-03960-3
出版社:大泉書店

http://www.oizumishoten.co.jp/books/03960.html

文責:にゃんこマガジン編集部