ルパンは現在闘病中です。
とはいえ、店内でみんなと一緒に元気に暮らしています。ただみんなと少し違うのは、ルパンは専用の療養食を食べ、猫おやつを禁止していることです。猫おやつは猫用に作られたものなので、もちろん猫に与えても全く問題ないのですが、今のルパンの腸にとっては、少し刺激物になるようです。

ルパンは2016年8月の開業時、スタートメンバーとして当店にやってきました。漫画のルパン3世のように細長い手足、細長い尻尾から名付けました。ルパンは最初こそ細かったですが、その怪盗ぶりを発揮し、猫のご飯やおやつをゲットしながら順調に体重を増やしていきました。

6才の2013年1月、マンタは7.1㎏、カールスは7.2㎏、ルパンは5.8㎏で現在のマンタと同じくらいの体重がありました。当時は太った猫も可愛いと思っていたのですが、以後の半年間にTV等でデブ猫は健康に良くないという情報をよく見かけ気になり出しました。そして8月よりマンタ、カールス、ルパンの3匹はダイエット食中心の生活にしたのです。
あまり好んで食べなかったものの、その年の11月にルパンは4.9㎏になりその効果を現したのでダイエット食は少し控えるようになりました。ところが翌年2014年3月から時々下痢をし出し、見る見るうちに体重が減り、4月には3.9㎏と最盛期より2kg近くも減少しました。同時に下痢をし出したころから、行きつけの病院に連れていくようになりました。

最初は抗生剤を変えたり、下痢止め剤を投与したりしましたが、下痢は止まりません。食物アレルギーを疑い、医師の指導のもと餌を数週間試しては変え、別餌を試しては変えてを繰り返しましたが、下痢は治りません。そして5月下旬に体重が3.5㎏まで減少しました。当時とてもお世話になった病院ではそれ以上の手立てが無い様子でした。

熟考の末、奈良でも評判が良く、最新の医療施設が充実した動物病院にルパンを連れていきました。当時は高額だと思いましたがMRIやCTスキャン等で検査をし、腸に小さな腫瘍があることがわかりました。悪性か良性かは、さらに検査をしなくてはなりません。麻酔&手術で穴を開け腫瘍の細胞を取り出し癌かどうかを確定させるか(必ずしも確定できるわけではない)、検査のための麻酔&手術をせずステロイドを投与し症状の改善を狙うか、の二択を提案されました。

猫はステロイド耐性が強いようで、人間とは異なり、長期の投与で糖尿病などの恐れはあるものの副作用が少ないとのことだったので、後案を選択しました。
投与の翌日、下痢は止まり、久しぶりにしっかりとした形のうんちを見ることができホッとしました。その後、錠剤のステロイドを上手く口から出すルパンに苦慮しながらも、便が安定しました。ステロイドの投与量を徐々に減らし、最後は投与無しでの治癒を目指します。

2014年10月末、生駒から心斎橋に引っ越しました。その後もステロイドを減らすと便が緩くなるので仕方なく投与量や回数はそのままでしたが、2015年2月の測定では5.1㎏まで回復しました。

2015年10月中旬のある日、元気の無いルパンがいました。奈良での検査結果や治療の経緯を説明し、大阪での掛かりつけの動物病院に入院して再検査をすると、果たして血糖値が高くなっていました。暗に恐れていた糖尿病です。

やはりステロイドの長期投与の副作用が原因だろうとステロイドを止め、免疫抑制剤と療養食での新たな治療が始まりました。猫は初期だと糖尿病が治る可能性があるらしく、血糖値の数値を1カ月間測りましたが、残念ながら通常値までは下がりませんでした。

12月初旬にインシュリン注射での糖尿病の治療が新たにスタートしました。免疫抑制剤は、ステロイドのように即効性はなく、効果が現れるまで1カ月かかります。しかし8カ月続けましたが、下痢は止まりませんでした。

2016年7月初旬に3.4㎏になったのを機にしびれをきらした私は獣医師に相談し、全身麻酔手術による細胞診(腸生検)を実施していただきました。病名を確定できるとは限らず、生体への負担や費用がかかり、獣医師も積極的には勧めなかったのが今まで実施しなかった理由です。

ついに病名が確定し、メイビーと同じ悪性リンパ腫であり、型が異なる「消化器型リンパ腫」であることがわかりました。悪性リンパ腫なので完治はしませんが、治療で普通に元気に暮らせる「寛解」を目指すことになりました。その後、ルパンは毎週の通院による血糖値の測定検査&抗がん剤投与、毎日1回のインシュリン注射と朝夕2回のステロイド投与、そして療養食中心の生活が始まり、今でも継続しています。

さて、そんなルパンですが、心斎橋に移転し、徐々に多くのお客さまにお膝乗りするようになりました。時々私の左肩に乗り脱力し、リラックスする数分間は生駒時代と変わりません。毎週の通院をこなし、両腕に注射用の剃り跡があったりしますが、時々メイビーの代わりに宿敵カールスに威嚇しに行くことがあるくらい元気です。

因みに今までのルパンのこの3年間の治療費総額は約80万円です。亡くなったメイビーの抗ガン剤等の治療費を合わせると、2匹だけで約150万円の出費です。心斎橋に移転したものの、難波・心斎橋等の通称「大阪ミナミ」地区に14店舗(2017年6月1日現在)も猫カフェがあるこの日本一の猫カフェ激戦区で、もし「膝乗り猫カフェ」という差別化できる特長がなければ、もし移転場所を少しでも間違えていたら、さらに増えていくだろう治療費を捻出するのは厳しかったかもしれません。

ルパンの治療費の心理的負担を軽減された現在、お越しいただく皆さまに感謝し、さらに長生きしてもらうことを心から祈れる現実に、とても感謝しています。

 

庄 知宏@
▶︎このコラムニストのアーカイブ記事

ルパンは現在闘病中です。
とはいえ、店内でみんなと一緒に元気に暮らしています。ただみんなと少し違うのは、ルパンは専用の療養食を食べ、猫おやつを禁止していることです。猫おやつは猫用に作られたものなので、もちろん猫に与えても全く問題ないのですが、今のルパンの腸にとっては、少し刺激物になるようです。

ルパンは2016年8月の開業時、スタートメンバーとして当店にやってきました。漫画のルパン3世のように細長い手足、細長い尻尾から名付けました。ルパンは最初こそ細かったですが、その怪盗ぶりを発揮し、猫のご飯やおやつをゲットしながら順調に体重を増やしていきました。

6才の2013年1月、マンタは7.1㎏、カールスは7.2㎏、ルパンは5.8㎏で現在のマンタと同じくらいの体重がありました。当時は太った猫も可愛いと思っていたのですが、以後の半年間にTV等でデブ猫は健康に良くないという情報をよく見かけ気になり出しました。そして8月よりマンタ、カールス、ルパンの3匹はダイエット食中心の生活にしたのです。
あまり好んで食べなかったものの、その年の11月にルパンは4.9㎏になりその効果を現したのでダイエット食は少し控えるようになりました。ところが翌年2014年3月から時々下痢をし出し、見る見るうちに体重が減り、4月には3.9㎏と最盛期より2kg近くも減少しました。同時に下痢をし出したころから、行きつけの病院に連れていくようになりました。

最初は抗生剤を変えたり、下痢止め剤を投与したりしましたが、下痢は止まりません。食物アレルギーを疑い、医師の指導のもと餌を数週間試しては変え、別餌を試しては変えてを繰り返しましたが、下痢は治りません。そして5月下旬に体重が3.5㎏まで減少しました。当時とてもお世話になった病院ではそれ以上の手立てが無い様子でした。

熟考の末、奈良でも評判が良く、最新の医療施設が充実した動物病院にルパンを連れていきました。当時は高額だと思いましたがMRIやCTスキャン等で検査をし、腸に小さな腫瘍があることがわかりました。悪性か良性かは、さらに検査をしなくてはなりません。麻酔&手術で穴を開け腫瘍の細胞を取り出し癌かどうかを確定させるか(必ずしも確定できるわけではない)、検査のための麻酔&手術をせずステロイドを投与し症状の改善を狙うか、の二択を提案されました。

猫はステロイド耐性が強いようで、人間とは異なり、長期の投与で糖尿病などの恐れはあるものの副作用が少ないとのことだったので、後案を選択しました。
投与の翌日、下痢は止まり、久しぶりにしっかりとした形のうんちを見ることができホッとしました。その後、錠剤のステロイドを上手く口から出すルパンに苦慮しながらも、便が安定しました。ステロイドの投与量を徐々に減らし、最後は投与無しでの治癒を目指します。

2014年10月末、生駒から心斎橋に引っ越しました。その後もステロイドを減らすと便が緩くなるので仕方なく投与量や回数はそのままでしたが、2015年2月の測定では5.1㎏まで回復しました。

2015年10月中旬のある日、元気の無いルパンがいました。奈良での検査結果や治療の経緯を説明し、大阪での掛かりつけの動物病院に入院して再検査をすると、果たして血糖値が高くなっていました。暗に恐れていた糖尿病です。

やはりステロイドの長期投与の副作用が原因だろうとステロイドを止め、免疫抑制剤と療養食での新たな治療が始まりました。猫は初期だと糖尿病が治る可能性があるらしく、血糖値の数値を1カ月間測りましたが、残念ながら通常値までは下がりませんでした。

12月初旬にインシュリン注射での糖尿病の治療が新たにスタートしました。免疫抑制剤は、ステロイドのように即効性はなく、効果が現れるまで1カ月かかります。しかし8カ月続けましたが、下痢は止まりませんでした。

2016年7月初旬に3.4㎏になったのを機にしびれをきらした私は獣医師に相談し、全身麻酔手術による細胞診(腸生検)を実施していただきました。病名を確定できるとは限らず、生体への負担や費用がかかり、獣医師も積極的には勧めなかったのが今まで実施しなかった理由です。

ついに病名が確定し、メイビーと同じ悪性リンパ腫であり、型が異なる「消化器型リンパ腫」であることがわかりました。悪性リンパ腫なので完治はしませんが、治療で普通に元気に暮らせる「寛解」を目指すことになりました。その後、ルパンは毎週の通院による血糖値の測定検査&抗がん剤投与、毎日1回のインシュリン注射と朝夕2回のステロイド投与、そして療養食中心の生活が始まり、今でも継続しています。

さて、そんなルパンですが、心斎橋に移転し、徐々に多くのお客さまにお膝乗りするようになりました。時々私の左肩に乗り脱力し、リラックスする数分間は生駒時代と変わりません。毎週の通院をこなし、両腕に注射用の剃り跡があったりしますが、時々メイビーの代わりに宿敵カールスに威嚇しに行くことがあるくらい元気です。

因みに今までのルパンのこの3年間の治療費総額は約80万円です。亡くなったメイビーの抗ガン剤等の治療費を合わせると、2匹だけで約150万円の出費です。心斎橋に移転したものの、難波・心斎橋等の通称「大阪ミナミ」地区に14店舗(2017年6月1日現在)も猫カフェがあるこの日本一の猫カフェ激戦区で、もし「膝乗り猫カフェ」という差別化できる特長がなければ、もし移転場所を少しでも間違えていたら、さらに増えていくだろう治療費を捻出するのは厳しかったかもしれません。

ルパンの治療費の心理的負担を軽減された現在、お越しいただく皆さまに感謝し、さらに長生きしてもらうことを心から祈れる現実に、とても感謝しています。

 

庄 知宏@
▶︎このコラムニストのアーカイブ記事