10月は月初めから、地元の新聞社さま、テレビ局さまから取材していただく機会に恵まれました。
オルカさんも、撮影にノリノリ♪♪

どうぞ撮ってください!!きりっ!!

おかげさまで高知県内の方にも、港のネコとおばあちゃんプロジェクトについて知っていただけたかなぁと思います。矢井賀のおんちゃん、おばちゃんたちも、

「新聞でちょったねー」
「テレビにでよったやか」

と、笑顔で声をかけてくれました。

プロジェクトのこともそうですが、大好きな矢井賀のことを少しでも知ってもらえるというのは、さらにありがたいことです。

そんなある日、私のもとにおばちゃんから電話が。

「愛ちゃん、矢井賀に男の人が二人、訪ねてきよったよ。どうも、工場と家を誰かに聞いたみたいで、留守やったから、また明日も来るって」

え。

「男の人?二人で?」
「そう、おんちゃん二人やったよ。」

男の人が二人で…。

新聞を見て訪ねてきたのだろうか。
でもいったいなんのために…。

ヤイカファクトリーは製造はしているけれど、販売はインターネットと関東の保護猫カフェ「キャッツイン東京」(東京と板橋区)、「猫の館ME」(千葉県浦安市)だけなのです。新聞やテレビでもそのことは伝えていただいている。ますます、いったいなんのためにと疑問符だらけとなった。

謎の男が二人。
何かの調査だろうか。
私の家にまで訪ねてきたというし。

なにやら怪しい感じがして
(トレンチコートを着た二人の影のある男の姿を想像)
少しの不安と背筋にゾクッとしたものが走ったのです。

翌日も出掛けていた私のもとに、今度は矢井賀の友人から電話が。

「愛ちゃん、男の人が二人訪ねてきてるって。どうする??」

「また?昨日も来てた人かな。何となく怪しいし、どうしたらいいだろう…」

困っていると、

「そしたら、私が用件聞いておくから!」

そういって、私の代わりに友人がわざわざ男二人に話を聞きに行ってくれた。

大丈夫だろうか…

ドキドキしながら折り返しの電話を待っていると、

電話が鳴る。

「あのね…
すごく小っちゃいおじいちゃんと
大きいおじいちゃんやったよ!」

へ?おじいちゃん??
いっきに気持ちが和む。

<男の人が二人><おんちゃんが二人>
といわれると少し怖い気がしたが、

<おじいちゃんが二人>です。

なんとも、ほっこりするではないですか。

「猫のおやつ買いたいって言うから、『インターネットだ』と説明したけど通じなくて、『通販だ』って言ったらね…また明日も来るって」

www

話が噛み合わないところも、さらにほっこりする。

友人のお陰で、おじいちゃんの連絡先を聞くことができ、電話で話すことができた。

電話でおじいちゃんは唐突に

「私らは無職やから、いつでも暇です。いつでも行けます」
と言う。
(無職って表現にツボるw)
「直接、販売はしてないのですが」

と説明すると

「私じゃなくて友人が猫が好きでねぇ。工場を見たいんです」

やっぱり微妙に話が噛み合わない気がするww

「工場は衛生上、外からしか見ることができませんし、製造中は私も作業に入ってしまうので、対応ができませんが」

というと、

「いつ行ったらいいですか?」

という。
やはり、噛み合っていない(汗)

でも、まぁ、
小っちゃいおじいちゃんと、大きいおじいちゃんに会ってみたい気もして、

「それなら週末、お越しください。お待ちしてます」

と言うと、

「はい、わかりました!週末ですね。ありがとうございます」

www

そんな時だけ、話がスムーズに通じるんかーい!

そして、週末がやって来たのです。

秋晴れの矢井賀に、おじいちゃんがやってきました。

「わざわざ、どちらからお越しいただきましたか?」

「隣の町から車で来ました」

というおじいちゃんは、恐らく大きい方のおじいちゃん。

今日はどうやら小っちゃい相棒はいないらしい。

大きいおじいちゃんは、背筋もピーンとしていて、足は悪いようだが、話し方もしっかりしていらっしゃる。

「猫がお好きなんですか?」

「私の友人が猫が好きなので、猫のおやつを買っていってやろうと思うんです」

早速、大きいおじいちゃんに工場を見てもらったが、見ると言っても四畳半のプレハブ。
10秒で見終わってしまう。

おじいちゃんのために用意しておいた、猫のおやつ「お魚グリル」をひとセットお渡しすると、ハキハキした声で

「おいくらですかっ!!」

「2200円です。」

「え!!!1回で2200円ですか!?」

「いいえ、10個入ってますよ。いっぺんに全部あげないでくださいね。1個ずつ、ご褒美にあげてくださいね」

「そーですか。わかりました」

そう言うと、おじいちゃんはさっさと車に向かう。
お見送りしようと一緒に歩いていくと、

おじいちゃんが、

「私はねぇ、今、95才です!」

!!!

いろいろビックリして言葉につまる。
私の驚いている様子を見て、
すかさず

「大正12年生まれの95歳です!」

ドヤっ!とばかりに、歳を重ね小さくなった目を少し大きく開くおじいちゃん。

あ、あと5年で100歳のおじいちゃんが、
あと1年で4つの元号を生きるおじいちゃんが、

猫のおやつを買いに来てくれた!!!!

「あなたは東京からおいでましたか?私も4年ほど東京に出ておりました。東京の六大学に通っていました」

年齢からいって戦時中に高知県から六大学の一つに進学していたということになる。
これは、ただ者ではない。

95才にして、背筋まっすぐ、丁寧な言葉遣い、話し方から伝わる聡明さ。

100年近くを生きたおじいちゃんは、どんなものを見てきたのだろう。
どんな人生を送ってきたのだろう。
戦争も経験しているおじいちゃん。
日本の歴史を生きてきたおじいちゃん。

そんなおじいちゃんが、新聞を見た!!と、
まさか猫のために隣町から山を越えて、わざわざお魚グリルを買いに来てくれたのです。

「ありがとうございました。また遊びに来てくださいね」

と私がお礼を言うと、

「はい。あなたも頑張ってください!」

と人生の大先輩に励まされた。

そして、おじいちゃんの小さな車は矢井賀の細い道を清々しく走り去っていった…
(ように見えたが、実は超絶低速。お、お気をつけて・汗)

爽やかな空の下、なんだかとっても嬉しい出来事でした。
怪しいなんて、少しでも思っていた自分を呪うしかない。

本当はもっとゆっくりお話ししたかったな。
今度は私が、おじいちゃんの所を訪ねてみようかな。

そういえば、最後におじいちゃんが小さい声で、
「これは犬も食べますか?」って申し訳なさそうに聞いてきた。
あれ?もしや、おじいちゃん、犬を飼っているのでは?!

疑惑の解明のためにも、やっぱり会いに行かなくちゃ!!

まさか…

著者:Yaika factory代表・井川愛


10月は月初めから、地元の新聞社さま、テレビ局さまから取材していただく機会に恵まれました。
オルカさんも、撮影にノリノリ♪♪

どうぞ撮ってください!!きりっ!!

おかげさまで高知県内の方にも、港のネコとおばあちゃんプロジェクトについて知っていただけたかなぁと思います。矢井賀のおんちゃん、おばちゃんたちも、

「新聞でちょったねー」
「テレビにでよったやか」

と、笑顔で声をかけてくれました。

プロジェクトのこともそうですが、大好きな矢井賀のことを少しでも知ってもらえるというのは、さらにありがたいことです。

そんなある日、私のもとにおばちゃんから電話が。

「愛ちゃん、矢井賀に男の人が二人、訪ねてきよったよ。どうも、工場と家を誰かに聞いたみたいで、留守やったから、また明日も来るって」

え。

「男の人?二人で?」
「そう、おんちゃん二人やったよ。」

男の人が二人で…。

新聞を見て訪ねてきたのだろうか。
でもいったいなんのために…。

ヤイカファクトリーは製造はしているけれど、販売はインターネットと関東の保護猫カフェ「キャッツイン東京」(東京と板橋区)、「猫の館ME」(千葉県浦安市)だけなのです。新聞やテレビでもそのことは伝えていただいている。ますます、いったいなんのためにと疑問符だらけとなった。

謎の男が二人。
何かの調査だろうか。
私の家にまで訪ねてきたというし。

なにやら怪しい感じがして
(トレンチコートを着た二人の影のある男の姿を想像)
少しの不安と背筋にゾクッとしたものが走ったのです。

翌日も出掛けていた私のもとに、今度は矢井賀の友人から電話が。

「愛ちゃん、男の人が二人訪ねてきてるって。どうする??」

「また?昨日も来てた人かな。何となく怪しいし、どうしたらいいだろう…」

困っていると、

「そしたら、私が用件聞いておくから!」

そういって、私の代わりに友人がわざわざ男二人に話を聞きに行ってくれた。

大丈夫だろうか…

ドキドキしながら折り返しの電話を待っていると、

電話が鳴る。

「あのね…
すごく小っちゃいおじいちゃんと
大きいおじいちゃんやったよ!」

へ?おじいちゃん??
いっきに気持ちが和む。

<男の人が二人><おんちゃんが二人>
といわれると少し怖い気がしたが、

<おじいちゃんが二人>です。

なんとも、ほっこりするではないですか。

「猫のおやつ買いたいって言うから、『インターネットだ』と説明したけど通じなくて、『通販だ』って言ったらね…また明日も来るって」

www

話が噛み合わないところも、さらにほっこりする。

友人のお陰で、おじいちゃんの連絡先を聞くことができ、電話で話すことができた。

電話でおじいちゃんは唐突に

「私らは無職やから、いつでも暇です。いつでも行けます」
と言う。
(無職って表現にツボるw)
「直接、販売はしてないのですが」

と説明すると

「私じゃなくて友人が猫が好きでねぇ。工場を見たいんです」

やっぱり微妙に話が噛み合わない気がするww

「工場は衛生上、外からしか見ることができませんし、製造中は私も作業に入ってしまうので、対応ができませんが」

というと、

「いつ行ったらいいですか?」

という。
やはり、噛み合っていない(汗)

でも、まぁ、
小っちゃいおじいちゃんと、大きいおじいちゃんに会ってみたい気もして、

「それなら週末、お越しください。お待ちしてます」

と言うと、

「はい、わかりました!週末ですね。ありがとうございます」

www

そんな時だけ、話がスムーズに通じるんかーい!

そして、週末がやって来たのです。

秋晴れの矢井賀に、おじいちゃんがやってきました。

「わざわざ、どちらからお越しいただきましたか?」

「隣の町から車で来ました」

というおじいちゃんは、恐らく大きい方のおじいちゃん。

今日はどうやら小っちゃい相棒はいないらしい。

大きいおじいちゃんは、背筋もピーンとしていて、足は悪いようだが、話し方もしっかりしていらっしゃる。

「猫がお好きなんですか?」

「私の友人が猫が好きなので、猫のおやつを買っていってやろうと思うんです」

早速、大きいおじいちゃんに工場を見てもらったが、見ると言っても四畳半のプレハブ。
10秒で見終わってしまう。

おじいちゃんのために用意しておいた、猫のおやつ「お魚グリル」をひとセットお渡しすると、ハキハキした声で

「おいくらですかっ!!」

「2200円です。」

「え!!!1回で2200円ですか!?」

「いいえ、10個入ってますよ。いっぺんに全部あげないでくださいね。1個ずつ、ご褒美にあげてくださいね」

「そーですか。わかりました」

そう言うと、おじいちゃんはさっさと車に向かう。
お見送りしようと一緒に歩いていくと、

おじいちゃんが、

「私はねぇ、今、95才です!」

!!!

いろいろビックリして言葉につまる。
私の驚いている様子を見て、
すかさず

「大正12年生まれの95歳です!」

ドヤっ!とばかりに、歳を重ね小さくなった目を少し大きく開くおじいちゃん。

あ、あと5年で100歳のおじいちゃんが、
あと1年で4つの元号を生きるおじいちゃんが、

猫のおやつを買いに来てくれた!!!!

「あなたは東京からおいでましたか?私も4年ほど東京に出ておりました。東京の六大学に通っていました」

年齢からいって戦時中に高知県から六大学の一つに進学していたということになる。
これは、ただ者ではない。

95才にして、背筋まっすぐ、丁寧な言葉遣い、話し方から伝わる聡明さ。

100年近くを生きたおじいちゃんは、どんなものを見てきたのだろう。
どんな人生を送ってきたのだろう。
戦争も経験しているおじいちゃん。
日本の歴史を生きてきたおじいちゃん。

そんなおじいちゃんが、新聞を見た!!と、
まさか猫のために隣町から山を越えて、わざわざお魚グリルを買いに来てくれたのです。

「ありがとうございました。また遊びに来てくださいね」

と私がお礼を言うと、

「はい。あなたも頑張ってください!」

と人生の大先輩に励まされた。

そして、おじいちゃんの小さな車は矢井賀の細い道を清々しく走り去っていった…
(ように見えたが、実は超絶低速。お、お気をつけて・汗)

爽やかな空の下、なんだかとっても嬉しい出来事でした。
怪しいなんて、少しでも思っていた自分を呪うしかない。

本当はもっとゆっくりお話ししたかったな。
今度は私が、おじいちゃんの所を訪ねてみようかな。

そういえば、最後におじいちゃんが小さい声で、
「これは犬も食べますか?」って申し訳なさそうに聞いてきた。
あれ?もしや、おじいちゃん、犬を飼っているのでは?!

疑惑の解明のためにも、やっぱり会いに行かなくちゃ!!

まさか…

著者:Yaika factory代表・井川愛