相談内容
自宅近くで放浪していたメス猫を保護しました。不妊手術の有無はわかりません。人慣れしているので、脱走したのではないかと思われます。もし飼い主さんが見つからなければ、うちの猫にしたいと思っていますが、どういった手順を踏めば法的にもうちの猫になるのでしょうか?民法195条によると、1カ月飼い主から連絡がなければ所有権を取得できるとのことですが、そもそも所有者不明です。この場合は拾得物として警察に届け出て3カ月待たなければいけないのでしょうか。
ちなみに、マイクロチップが入っている場合は所有者が判明しますが、マイクロチップが入っていて所有者が判明したにも関わらず本人と連絡が取れない場合、獣医師会が運営するマクロチップ協会より飼い主宛に書留を送り、「1週間以内に連絡がなければ登録者情報の変更を行う」との通知をするそうです。この場合の所有権の移行は上記手続き完了と同時に発生するのでしょうか?
回答
猫さんを保護したのですね。可愛がってあげてくださいね。あなたの猫にするために特別の手続は必要ありません。
あなたが指摘する民法195条は、きじ、いたち等についての条文です。猫は関係ありません。拾得物として警察に届ける必要もありません。警察に届ける必要があるのは「他人の家から逃げた猫」です。野良猫は届ける必要がありません。
あなたが保護したとき、首輪を着けておらず、マイクロチップも入っていなければ、他に「他人の家から逃げた猫」であることを窺わせる事情がない限り、野良猫と判断してよいです。単に、人馴れしているだけでは「他人の家から逃げた猫」と判断できません。野良猫でも人馴れした猫はたくさんいます。
ただし、後に、自称飼い主から、所有権に基づいて猫の返還請求を受けることはあり得ます。民事上の争いです。この場合、あなたは、自称飼い主と徹底的に争うことになります。所有権に基づいて返還請求をする者は、自分が所有者であることを証明しなければなりません。つまり、自称飼い主は、自分がその猫の所有者であることを証明しなければなりません。
裁判は勝負事であり、自称飼い主が本当に所有者かどうかは、最終的には裁判所が判断することになりますが、茶トラ、キジ白、茶シロ、サバ、黒白といった一般的な猫の場合、所有権を証明するのはなかなか困難です。茶トラ、キジ白、茶シロ、サバ、黒白などは、どこにでもいるからです。「私の保護している茶トラが、あなたの飼い猫の茶トラだという証拠を出してください」と言ってやってください。
そういったリスクを避けたい場合は、警察に届け出た方が所有権を確実にすることができます。3カ月以内に所有者による名乗りがなければ、届け出た者の所有物となりますから。しかしながら実際問題として、茶トラ、キジ等の場合、「他人の家から逃げた猫」と判断できないため、警察は遺失物届けを受理しないこともあるようです。
マイクロチップが入っていた場合は、拾得物として警察に届け出てください。マイクロチップで所有者明示がなされている以上、「他人の家から逃げた猫」と一応判断すべきだからです。警察に届け出を済ませた後、当面あなたの家で保護してあげてください。3カ月以内に所有者から届出がなければ、猫はあなたの所有となります。なお、マイクロチップの登録者変更手続をしても、所有権の移転とはなりません。あくまで別次元の問題です。
回答者:弁護士 林太郎
相談内容
自宅近くで放浪していたメス猫を保護しました。不妊手術の有無はわかりません。人慣れしているので、脱走したのではないかと思われます。もし飼い主さんが見つからなければ、うちの猫にしたいと思っていますが、どういった手順を踏めば法的にもうちの猫になるのでしょうか?民法195条によると、1カ月飼い主から連絡がなければ所有権を取得できるとのことですが、そもそも所有者不明です。この場合は拾得物として警察に届け出て3カ月待たなければいけないのでしょうか。
ちなみに、マイクロチップが入っている場合は所有者が判明しますが、マイクロチップが入っていて所有者が判明したにも関わらず本人と連絡が取れない場合、獣医師会が運営するマクロチップ協会より飼い主宛に書留を送り、「1週間以内に連絡がなければ登録者情報の変更を行う」との通知をするそうです。この場合の所有権の移行は上記手続き完了と同時に発生するのでしょうか?
回答
猫さんを保護したのですね。可愛がってあげてくださいね。あなたの猫にするために特別の手続は必要ありません。
あなたが指摘する民法195条は、きじ、いたち等についての条文です。猫は関係ありません。拾得物として警察に届ける必要もありません。警察に届ける必要があるのは「他人の家から逃げた猫」です。野良猫は届ける必要がありません。
あなたが保護したとき、首輪を着けておらず、マイクロチップも入っていなければ、他に「他人の家から逃げた猫」であることを窺わせる事情がない限り、野良猫と判断してよいです。単に、人馴れしているだけでは「他人の家から逃げた猫」と判断できません。野良猫でも人馴れした猫はたくさんいます。
ただし、後に、自称飼い主から、所有権に基づいて猫の返還請求を受けることはあり得ます。民事上の争いです。この場合、あなたは、自称飼い主と徹底的に争うことになります。所有権に基づいて返還請求をする者は、自分が所有者であることを証明しなければなりません。つまり、自称飼い主は、自分がその猫の所有者であることを証明しなければなりません。
裁判は勝負事であり、自称飼い主が本当に所有者かどうかは、最終的には裁判所が判断することになりますが、茶トラ、キジ白、茶シロ、サバ、黒白といった一般的な猫の場合、所有権を証明するのはなかなか困難です。茶トラ、キジ白、茶シロ、サバ、黒白などは、どこにでもいるからです。「私の保護している茶トラが、あなたの飼い猫の茶トラだという証拠を出してください」と言ってやってください。
そういったリスクを避けたい場合は、警察に届け出た方が所有権を確実にすることができます。3カ月以内に所有者による名乗りがなければ、届け出た者の所有物となりますから。しかしながら実際問題として、茶トラ、キジ等の場合、「他人の家から逃げた猫」と判断できないため、警察は遺失物届けを受理しないこともあるようです。
マイクロチップが入っていた場合は、拾得物として警察に届け出てください。マイクロチップで所有者明示がなされている以上、「他人の家から逃げた猫」と一応判断すべきだからです。警察に届け出を済ませた後、当面あなたの家で保護してあげてください。3カ月以内に所有者から届出がなければ、猫はあなたの所有となります。なお、マイクロチップの登録者変更手続をしても、所有権の移転とはなりません。あくまで別次元の問題です。
回答者:弁護士 林太郎