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会場は老舗ライブハウス!日本一ファンキーな里親会ー高円寺ニャンダラーズ

東京都杉並区の高円寺を拠点に、猫の保護活動や里親会などを展開する「高円寺ニャンダラーズ」。2011年の東日本大震災発生時、福島の被災動物レスキューをきっかけに活動が始まり、今では福島のみならず地元や近隣でも猫の保護活動や里親探しに取り組んでいます。

2015年11月1日 高円寺ねこ里親会

月2回ほどのペースで定期的に開催されている里親会は、高円寺の庚申通りにあるライブハウス「稲生座」などで実施。取材に訪れたこの日は、20頭以上の猫たちが里親になってくれる方との出会いを待っていました。

保護された場所は近隣や都内、あるいは福島で保護された子など、人それぞれならぬ猫それぞれ。子猫から成猫まで歳もいろいろですが、みんな穏やかで大人しい子ばかりです。

会場へ入れ替わり立ち替わりやってくる来場者に、ニャンダラーズのメンバーたちが猫たちの性格や飼い方のアドバイス、譲渡までの流れなどを丁寧に説明。来場者はケージにいる猫をなでたり抱っこしたりして相性を確かめ、家族として迎え入れるかどうかを考えます。

一方会場の入口では、賑やかでユニークな音楽演奏と弾き語りで里親会開催中であることをピーアール。ニャンダラーズの活動や地域猫取り組みのTNR(捕獲、不妊手術、元にいた場所に戻す)について紹介する展示パネルも設置してありました。

13時から16時半まで実施したこの日の里親会で、トライアルが決定したのは7頭の猫たち。新しい家でみんな幸せに暮らしてほしいことは言うまでもありません。

それにしてもなぜライブハウスで里親会?と思うかもしれませんね。答えはとってもシンプル、こちらの稲生座は高円寺ニャンダラーズの代表である佐藤洋平さんが店長を務めているお店なのです。

佐藤さんは杉並区の動物適正飼養普及員なども務め、殺処分ゼロを目指してメンバーとともに活動を継続しています。自身も3頭の猫と暮らす愛猫家で、福島県郡山市の出身。震災発生時には被災地支援に駆け付け、そこで置き去りにされてしまったペットたちの現状を目の当たりにし、レスキュー活動を始めたことや、現地に集まったシェルターで同じく高円寺からやってきた方たちと偶然出会ったことなどから、高円寺ニャンダラーズの取り組みが始まりました。

活動開始から4年。年間およそ100頭の命を救い、新たな里親に託してきたニャンダラーズ。佐藤さんは「今後はTNRをより幅広く周知、普及させていくことが課題ですね」と話します。さらに「昨今の都会では猫はやっぱり室内飼いが基本。できればTNRのRをリターンやリリースではなく『ルーム(room)』にしたいんです」とも。

福島での経験も生かし、殺処分ゼロを目標にニャンダラーズの保護活動や里親探しは続きますが、「私たちはあまり重くならずに、楽しくかわいく取り組んでいきたいです。だからミュージシャン仲間にも協力してもらって、こうしてここで里親会を実施してますよと明るくアピールしたりもしています」と佐藤さん。

そういえば、中でもウクレレを弾いていた、性別不詳(?)のカマニャンダラーさんという方が特に目立っていました。そのことについて聞いてみると「彼も元々友達なんですが、保護した猫にはTNRで不妊手術を施すじゃないですか。人間のオカマも同じようなもので、結局都会に放たれたTNRだと思うんですよね(笑)」という答えが。なるほど、なんとなく納得です。

10月31日と11月1日には毎年恒例、高円寺4大イベントのひとつである「高円寺フェス2015」が開催されましたが、こちらでもニャンダラーズは大活躍。里親会と並行して、フリーマーケットや路上ライブなども展開しました。

最後に、佐藤さんにこれからの活動への思いも聞いてみることに。

「殺処分ゼロはもちろんですが、同時に目指したいのは猫を通じた社会づくりですね。特に子どもたちには動物を通じていろいろ考えてもらいたい。例えば福島ではなぜ猫や動物たちが取り残されてしまったのか。そういった投げかけに対して自分たちで答えを見つけてもらうことが、50年後のよりよい日本の未来にもつながるのではないかと思います」


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