そして次の2冊は、いずれも動物写真家、田中光常、吉野信による子猫の写真集。

昭和猫2冊1 (500x404)

右『可愛い仔猫~やんちゃない貴族たち』写真:田中光常/発行:社会思想社/発行年:昭和51年11月15日  左『ネコ~小さな冒険家』写真:吉野信/発行:社会思想社/発行年:昭和51年10月15日

「にゃんこマガジン」に昨年12月に寄稿した『ちょっとワイルドな“昭和猫”の写真もいいね』で紹介した雑誌もそうだったが、どうやら、昭和50年代の猫写真集のキーワードは「貴族」「優雅」「野生」等のようである。

特にこの2冊は子猫の写真集でありながら、「うわぁ、かわいい~♡」と萌えるというよりは、小さいけど野生の血が流れているんだぞ…とでも言いたげな、鋭さや気高さを表現しているものが多い。

昭和猫2冊2 (500x375)

『可愛い子猫~やんちゃな貴族たち』より。猫の顔もさることながら、レースのカーテンの柄がいかにも昭和!

昭和猫2冊3 (500x375)

『可愛い子猫~やんちゃな貴族たち』より。キュンとかわいい子猫の写真より、鋭い眼の、気高い印象の写真のほうが多いのも、昭和50年代猫写真集の特徴。

『ネコ~小さな冒険家』の吉野信は本書の中でこんなことを書いている。

《動物写真家としてやっていこうとした頃、猫、特に可愛らしいのを写してほしいという撮影依頼があったりして、愛猫家の所でいろいろな洋猫に出会った。…中略…。バックを作り、可愛らしい猫を可愛らしく撮る。子猫の可愛らしさを強調できるなら、こういう撮り方も又面白い。しかし、その場合は、さほど広くない面積上に、子猫を拘束しなければならない。当然ネコ自身の動きが制約されることが多い。そんなわけで、私はバックを作ってきれいに撮ることより、ネコ自身の自然の動きの一瞬をとらえることの方が、むしろ好きである》

昭和猫2冊5 (500x375)

『ネコ~小さな冒険家』より。このページは、近所の原っぱに連れて行って、その動きを追いかけて写したものとのこと。好奇心旺盛な眼がいい!

昭和猫2冊6 (500x375)

『ネコ~小さな冒険家』より。左ページ「いいにおいだなぁ」の目つきが最高~

私が、「この猫の顔、いいなぁ」と思う猫写真集は昭和50年代であることが多い。この時代、吉野信のような思いで猫を撮る動物写真家が多くいて、ちょっとワイルドで、気高く、どこか優雅な印象の猫写真集が多く出版されたのかもしれない。

そして、こうした猫写真集があったからこそ、このあと、「なめ猫」が出てきたり、岩合さんの写真に人気が集まったり、鍋に入ったり(笑)…と、いろいろな切り口の猫写真集につながってきたのかも…。猫写真集の歴史を追ってみるのも楽しいかもしれないなぁ。それはまた、いつか。

そして次の2冊は、いずれも動物写真家、田中光常、吉野信による子猫の写真集。

昭和猫2冊1 (500x404)

右『可愛い仔猫~やんちゃない貴族たち』写真:田中光常/発行:社会思想社/発行年:昭和51年11月15日  左『ネコ~小さな冒険家』写真:吉野信/発行:社会思想社/発行年:昭和51年10月15日

「にゃんこマガジン」に昨年12月に寄稿した『ちょっとワイルドな“昭和猫”の写真もいいね』で紹介した雑誌もそうだったが、どうやら、昭和50年代の猫写真集のキーワードは「貴族」「優雅」「野生」等のようである。

特にこの2冊は子猫の写真集でありながら、「うわぁ、かわいい~♡」と萌えるというよりは、小さいけど野生の血が流れているんだぞ…とでも言いたげな、鋭さや気高さを表現しているものが多い。

昭和猫2冊2 (500x375)

『可愛い子猫~やんちゃな貴族たち』より。猫の顔もさることながら、レースのカーテンの柄がいかにも昭和!

昭和猫2冊3 (500x375)

『可愛い子猫~やんちゃな貴族たち』より。キュンとかわいい子猫の写真より、鋭い眼の、気高い印象の写真のほうが多いのも、昭和50年代猫写真集の特徴。

『ネコ~小さな冒険家』の吉野信は本書の中でこんなことを書いている。

《動物写真家としてやっていこうとした頃、猫、特に可愛らしいのを写してほしいという撮影依頼があったりして、愛猫家の所でいろいろな洋猫に出会った。…中略…。バックを作り、可愛らしい猫を可愛らしく撮る。子猫の可愛らしさを強調できるなら、こういう撮り方も又面白い。しかし、その場合は、さほど広くない面積上に、子猫を拘束しなければならない。当然ネコ自身の動きが制約されることが多い。そんなわけで、私はバックを作ってきれいに撮ることより、ネコ自身の自然の動きの一瞬をとらえることの方が、むしろ好きである》

昭和猫2冊5 (500x375)

『ネコ~小さな冒険家』より。このページは、近所の原っぱに連れて行って、その動きを追いかけて写したものとのこと。好奇心旺盛な眼がいい!

昭和猫2冊6 (500x375)

『ネコ~小さな冒険家』より。左ページ「いいにおいだなぁ」の目つきが最高~

私が、「この猫の顔、いいなぁ」と思う猫写真集は昭和50年代であることが多い。この時代、吉野信のような思いで猫を撮る動物写真家が多くいて、ちょっとワイルドで、気高く、どこか優雅な印象の猫写真集が多く出版されたのかもしれない。

そして、こうした猫写真集があったからこそ、このあと、「なめ猫」が出てきたり、岩合さんの写真に人気が集まったり、鍋に入ったり(笑)…と、いろいろな切り口の猫写真集につながってきたのかも…。猫写真集の歴史を追ってみるのも楽しいかもしれないなぁ。それはまた、いつか。