これは ある 毛だまり の物語
何気なく目した、TVの報道、そこに映し出されていたのはネコ達、私は、何だ!ネコかっと、あまり感心も無く、ただ映像を横目に流しながらTVを見ていた。
暫くすると、あのTV映像が頭に浮かび、妙に気になり始めたのだった。
気になっていたのは、TVの映像で見た、そう 毛だまり。
困った事に気になり始めると、これはどうしても現物を自分の目で見ない事には、どうも納まりが悪い。
そうだ、現場に行ってみようっと、カメラを抱えソソクサと動き出した。
この所12月にしては、少し暖かい日が続いていたが、ここ数日は急に冷え込みが厳しくなった夕方に私は、現場に到着した。
車を止め、ジャンバーを羽織、カメラを掴み、毛だまり を見るべく私は、歩き出した。
現場は広く、大きな建物が何棟か立ち並んでいて、建物と建物の間には、お洒落な中庭が設営され、市民の憩いの場になっていた。
私が、その中庭を捜索していると、1人の男に出会った。
男は、私の顔を覗きながら、こう云った。
もしかして、貴方、毛だまり を、お探しですか?
私は、首を縦に振りウンっと頷いた。
すると男は、毛だまり の場所を指さし、優しく、こう云った。
あの看板の下ですよ。
私は、また首を縦に振りウンっと頷いた。
男はその場を離れて行き、私はその男の指さした看板目がけ力強く歩き出した。
歩き始めて直ぐに、毛だまり を確認。
私は歩みを緩め、静かに 毛だまり 近づいて行ったのだった。
意外にも 毛だまり は、私を見て逃げる様子もなく、ただ、ただ、その看板の下で寛いでいた。
すると、突然 毛だまり がバラバラに散り、居なくなった。
毛だまり が散った理由はこうだ 毛だまり を見に来ていた、ご家族のお子様1人が毛だまり に突然突入したからだった。
看板の下から 毛だまり の姿が消えてしまったので、私は、仕方なくバラバラに散った 毛だまり の後を追い撮影を続けた。
毛だまり は思い思いの方向にバラバラに散っていったが、悪い事ばかりでは無かったのだった。
それは 毛だまり が散ってくれたお蔭で、新たな1頭の 毛だま を、カメラに収める事が出来のだから。
その子を撮り終えると、既に夕闇が空を黒く染め始めていた。
そんな薄暗い空を見上げると、現場の敷地以外のビルや公園の上をカラス達が塒を求め旋回していた。
薄暗い空から、看板の下に目を戻すと、そこには 毛だまり が戻っていた。
その姿を確認し私は、現場を後にしたのだった。
この現場を見に行ってみて、突然、私の脳裏にある風景が鮮明に甦った
その風景とは、橙色に包まれた、私の幼少時代に見た東京下町風景
当時の東京下町では、ひしめき合う様に立っていた家々の間からこぼれる、陽だまりがあり、 毛だまり は陽だまりに集まり、気持ち良さげに、思い思いに寝そべっていた
あの風景が頭の中で、甦り暫し昭和の東京を味わったのであった。
今回は、大らかでユルーイ 毛だまり のお話でした。
では、また
にゃんこ にゃんこ
著者:縁側ネコ研究家 渡部 久
これは ある 毛だまり の物語
何気なく目した、TVの報道、そこに映し出されていたのはネコ達、私は、何だ!ネコかっと、あまり感心も無く、ただ映像を横目に流しながらTVを見ていた。
暫くすると、あのTV映像が頭に浮かび、妙に気になり始めたのだった。
気になっていたのは、TVの映像で見た、そう 毛だまり。
困った事に気になり始めると、これはどうしても現物を自分の目で見ない事には、どうも納まりが悪い。
そうだ、現場に行ってみようっと、カメラを抱えソソクサと動き出した。
この所12月にしては、少し暖かい日が続いていたが、ここ数日は急に冷え込みが厳しくなった夕方に私は、現場に到着した。
車を止め、ジャンバーを羽織、カメラを掴み、毛だまり を見るべく私は、歩き出した。
現場は広く、大きな建物が何棟か立ち並んでいて、建物と建物の間には、お洒落な中庭が設営され、市民の憩いの場になっていた。
私が、その中庭を捜索していると、1人の男に出会った。
男は、私の顔を覗きながら、こう云った。
もしかして、貴方、毛だまり を、お探しですか?
私は、首を縦に振りウンっと頷いた。
すると男は、毛だまり の場所を指さし、優しく、こう云った。
あの看板の下ですよ。
私は、また首を縦に振りウンっと頷いた。
男はその場を離れて行き、私はその男の指さした看板目がけ力強く歩き出した。
歩き始めて直ぐに、毛だまり を確認。
私は歩みを緩め、静かに 毛だまり 近づいて行ったのだった。
意外にも 毛だまり は、私を見て逃げる様子もなく、ただ、ただ、その看板の下で寛いでいた。
すると、突然 毛だまり がバラバラに散り、居なくなった。
毛だまり が散った理由はこうだ 毛だまり を見に来ていた、ご家族のお子様1人が毛だまり に突然突入したからだった。
看板の下から 毛だまり の姿が消えてしまったので、私は、仕方なくバラバラに散った 毛だまり の後を追い撮影を続けた。
毛だまり は思い思いの方向にバラバラに散っていったが、悪い事ばかりでは無かったのだった。
それは 毛だまり が散ってくれたお蔭で、新たな1頭の 毛だま を、カメラに収める事が出来のだから。
その子を撮り終えると、既に夕闇が空を黒く染め始めていた。
そんな薄暗い空を見上げると、現場の敷地以外のビルや公園の上をカラス達が塒を求め旋回していた。
薄暗い空から、看板の下に目を戻すと、そこには 毛だまり が戻っていた。
その姿を確認し私は、現場を後にしたのだった。
この現場を見に行ってみて、突然、私の脳裏にある風景が鮮明に甦った
その風景とは、橙色に包まれた、私の幼少時代に見た東京下町風景
当時の東京下町では、ひしめき合う様に立っていた家々の間からこぼれる、陽だまりがあり、 毛だまり は陽だまりに集まり、気持ち良さげに、思い思いに寝そべっていた
あの風景が頭の中で、甦り暫し昭和の東京を味わったのであった。
今回は、大らかでユルーイ 毛だまり のお話でした。
では、また
にゃんこ にゃんこ
著者:縁側ネコ研究家 渡部 久