猫のことを長年研究している動物ライターの加藤由子さんは、「猫の気持ちは単純すぎてまぎらわしい」と言います。
彼女は名エッセイ「猫の気持ちを聞いてごらん」(マガジンハウス 1300円)の中で、自分の愛猫が数日留守にしただけで留守番を頼んだ友人に自分と同じ様に甘えたりする態度を見て、ネコは「同じやり方で世話をしてくれる人は誰でも同じ」だと寂しく感じるシーンがありますが、確かにネコはそんなところがありますよね。
野生時代、単独で生きてきたネコは、他人に「要求」する場合、その相手は母猫だけでした。自分を育ててくれる、守ってくれるのは母親だけ。その母親から受けた愛情を、ネコは成猫になってからも忘れずに持ち続けています。
母猫が子猫に対して行った行為は「子猫をひたすら舐める」こと。この「なめる」行為が、実は猫が一番喜ぶ行為なのかも知れません。
猫の顔周りを指1本でまるで母猫が舐める様に撫でてあげると、ネコは目をつぶってゴロゴロと喉をならします。
猫がご機嫌な時にしっぽをピンと立てるのは、母猫に肛門を舐めてもらった気持ち良さから始まった行為なのだとか。
そしてこの「舐める」という行為はシンプルですが、実はスゴイ健康効果があるそうです。
☆コミュニケーション力をアップする
母猫が子猫を舐める事によって、親子の絆が強まるといいます。生まれたばかりの猫をペロペロと舐めるのは、母猫の愛情とスキンシップを図る行為でもあるようです。顔周りや口周りを舐める事で、汚れを拭き取るだけでなく、唾液の分泌も促す事ができるといいます。
☆新陳代謝が良くなる
体をペロペロと舐める事で、被毛や皮膚が刺激を受けて血流がよくなります。ほどよいマッサージ効果もありますから、全身の新陳代謝がよくなります。
☆免疫力をアップさせる
全身を舐める事で血行が良くなり、体温が上昇します。その結果免疫力をアップさせる効果があります。
☆消化&排泄機能を向上させる
肛門や尿道の周りをなめることで、刺激して排泄を促します。消化力、排泄力が高まって健康効果も期待できます。
また、おなかまわりも舐めることで、腎臓をはじめ、胃腸や肝臓などの内臓器官を刺激して働きを活発化させます。
いかがですか。猫の「舐める」という行為は、愛情表現だけでなく、ちゃんと健康効果もあるようです。
「猫の行動には無駄がない」といいますが、本当にその通り。私はまだやったことはありませんが、出来るなら、ネコは飼い主に舐めて欲しいと思っているのかも知れません。
猫に限らず、動物が相手を「舐める」行為は愛情表現プラス健康促進作用があるのかも。愛猫カイトは確かに我が子同様。う〜ん、今度舐めてみようかしら…。
著者:猫壱