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獣医師をめざす受験生に伝えたい。獣医は儲からない。

聴診器

2016年最初の記事は何を書こう・・・などと考えながら、ふと1月のカレンダーに目をやると、未だに思い出されるセンター試験。200X年、高校3年生だった私は、獣医学科合格をめざして猛勉強していました。
まもなく大学入試を控えた高校3年生・・・は、ほとんどの方が志望学科を決めていると思いますが、高校1・2年生も進路について考えさせられる時期ですね。先輩の頑張りを実際に見ていろいろ思ったり、学校でも進路について聞かれたり。

子供の頃から動物が、とりわけ猫が大好きだった私は、小学生のとき、念願の迷い猫をゲット。「ハム」と名前をつけて可愛がっていました。

199X年の筆者と、幼かったハムたん

ワクチンや健康診断で動物病院に定期的に行くようになり、獣医師という職業に興味を持ち始めました。獣医学科を受験すると決めたのは高校1年の冬。とにかく動物に関わる仕事がしたい!という一心でした。獣医学科は今でも人気だと聞きます。数学が大の苦手だった私は苦労してなんとか合格し、大学入学後も、日々勉強。大学生なりにサークルも楽しみましたが、基本は研究室中心の生活です。

獣医師は、公務員・家畜診療・企業の研究者など仕事の分野が多岐に渡りますが、私は猫の臨床のできる動物病院へ就職。自分が好きなことをして生きていけるのだから、お金なんて二の次。当時の私はそう思っていました。
でも、だからこそ、いま夢をもって獣医師を目指している方には知っておいてほしいのです。

獣医は、ほんっっっとうに、儲かりません!!!

ほとんどの受験生がそうでしょうが、過去の私もこういう意見には耳を傾けもしませんでした。でも今では重大さがわかります。いわゆる「医・歯・薬」の皆様と同じく(場合によってはそれ以上)頑張っているんですよ。拘束時間は長いし長期休暇なんてもってのほか。でも給料は半分以下。
そもそも日本の制度に問題があるのです。獣医師の地位は欧米と比較してあまりに低い。さらに、「本来仕事は嫌なもの。好きなことをやっててお金がもらえるだけでも有り難い」という、日本人の誤った職業観が獣医師を追撃します。このあたりは日本が今後変わっていかなければならないと考えていますが、変わるまで待つわけにはいかないので、受験生個人におかれましては、「敢えて儲からない職業を志す」ということについてよくよく考えて頂きたいと思います。

通っていた大学の農場。何もなさ過ぎて勉強に最適な土地でした。

美しい夢を描いて獣医師を目指し、幻滅したり疲れすぎて心身を病む人も少なくありません。「ただやってるだけ」では儲からないという覚悟をもって、そこを自分の中でどう解決するか、学生のうちから意識できると素晴らしいと思います。やっぱりお金は二の次で好きな事をしたい、という考えに辿り着く方もいれば、他者を卓越した技術で高収入を目指す方もいらっしゃるでしょう。
ちなみに私は、描いている計画の実現のため、今はスズメの涙のような収入しか得られていませんが、全く後悔していません。やはり獣医師はやりがいがあります。この仕事を選ぶことができ、幸せです。いま必死で頑張っている受験生の皆様がこんな記事を読む暇があるか疑問ですが、皆様と一緒に働ける日を楽しみにしています。

ちなみに、私が大学生になってからハムたんは様々な珍しい慢性病にかかり、生きた教科書のような晩年を過ごし、天寿を全うしました。

あ、あとですね、獣医学科では猫はあんまり勉強しません。牛馬豚鶏犬の次くらいです。触れあえる機会はかなり少ないです。それも覚悟しておいてくださいね!もちろん猫に特化した研究室を選べば別ですが・・・私が通った山口のド田舎にはそんなもんありませんでした(笑)

先日久々にハムたんの子猫時代の写真を発見し、今回の記事となった次第です。あんまり猫に関係なくてごめんなさい。


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