Site icon にゃんこマガジン

なぜ足音を立てずに歩けるの?猫の脚のヒミツ

多くの人を魅了してやまない、猫のしなやかな動き。特に「忍び足」において、猫様の右に出る生物はいないでしょう。抜き足さし足で全く音を立てずに獲物に近寄り、サッと器用に捕らえる。生物の能力を超越したこの動きが可能なわけは、猫の脚に沢山の「ヒミツ」が隠されているから。今回は、猫様の優れた脚の機能を紐解いてみましょう。

 

<肉球のヒミツ>

肉球はクッションの役割を果たします。足音を消すのに最も重要な機能です。被毛がないので、滑りやすい平面でも摩擦によりしっかり走れます。また、猫は唯一肉球から汗をかきますが、汗は滑り止めとして役立っているとも考えられています。

 

<指先のヒミツ>

犬も猫も人間も、指先には爪が生えていますね。犬の飼育経験がある方、または、ご自身がネイルアートをされている方はおわかりでしょう。床や物に当たってカチャカチャと音がするんですよね。これが意外とうるさい。猫様は爪の音など立てません。爪を出したり引っ込めたりできるので、使わない時はしまってあるのです。能ある猫は爪を隠す、ですね。

余談ですが、犬の足跡には爪の跡がつきますが、猫の足跡にはつきません。公園などで肉球の足跡を見つけたら、指先を見れば犬か猫か判別できるわけです。

 

<前脚にヒゲが!>

さらに驚きの機能!よく見ると、猫の前脚の内側には数本の「ヒゲ」が生えています。これは顔のヒゲと同じ機能を持つ「触毛」と呼ばれるもの。足元にある障害物をよけるのに役立っています。狭い場所や物がごちゃごちゃと置かれた場所でもスイスイ歩けるのは、この「前脚のヒゲ」のおかげです。また、暗闇で狩りをするときに、相手の動きを感知するのにも役立つらしいです。

 

感覚器として名高いヒゲが、前脚にもあったなんて。

さらにこの「触毛」は全身にも生えており、触れるか触れないかの距離感で通り抜けるしなやかな動きを可能にしています。

 

<肩の関節もしなやか>

人間の肩の関節は、「肩甲骨」「上腕骨」「鎖骨」の3つの骨で構成されているので、腕をグルグル回したり、荷物を器用に持ったり、細かい動作が行えます。一方犬は鎖骨が完全に退化しているので、前後の動きしかできません。走って狩りをしていた犬にとって、前脚を左右に動かしたり回したりすることは重要ではなかったのでしょう。速く走るために特化した構造になっているのですね。

 

※イメージを捉えて頂くために、ものすごく簡略化しました。専門職の方が見たらツッコミどころ満載でしょうが、ご容赦くださいませ。

そして猫様には、人間よりは退化しているけども鎖骨があります。この鎖骨のおかげで、犬よりも細かい動きが可能です。しなやかに「猫パンチ」をしたり、おもちゃをキャッチしたりできるのです。速く走る狩りではなく、しなやかにそっと近づいて器用に仕留める狩りに特化した進化ですね。ちなみにネコ科でも走って狩りをするチーターは鎖骨がないそうです。

 

誰にも気づかれないように、じわりじわりと近づき、確実に仕留める。猫様の策士っぷりを少しは見習いたいなと思うのでした。


関連記事:

writer