2006年に制作され、世界中の映画祭で感動を呼んだ「ミリキタニの猫」。今回10周年を記念して、短編「ミリキタニの記憶」を携えて「特別篇」として公開されている。
映画『ミリキタニの猫』
[2006年/アメリカ/74分/監督 リンダ・ハッテンドーフ]
ニューヨークの街角で、絵を描きながら猫と路上生活をしていた日系人のミリキタニ、80歳。そんな彼に興味を持ったのが、映像作家のリンダ・ハッテンドーフだ。リンダは彼の淡々とした日常を撮り続けていた。そんなリンダを気にする風もなく、ミリキタニは一心不乱に絵を描く。その傍らに猫がいる。猫とミリキタニは、お互い干渉しあうことなく、生活しているようだった。
2001年9月11日。ミリキタニの目の前で、世界中を震撼させたあの事件が起こった。世界貿易センタービル2棟に、次々と旅客機が突っ込んだ。噴煙が上がり、人々が逃げ惑う中、リンダはミリキタニを探しにニューヨークの街へと飛び出した。そして、リンダの自宅で二人と1匹の奇妙な生活が始まるのだった。
少しずつ明かされる、時代に翻弄されたミリキタニの人生。図らずも歴史的な記録が収められることとなったこの作品は、非情な戦争と歴史、人類の愚かさ、人情、あふれるユーモアが散りばめられた秀作である。決して悲惨さだけで終わらない。人間っていいなと思わせてくれる温もりと希望があるのだ。
短編『ミリキタニの記憶』
[2016年/日本/21分/監督 Masa]
新作の短編は、ミリキタニの「過去」をめぐる旅。絵や写真とともに、証言によって知られざる過去が明らかになっていく。ミリキタニの絵は、太平洋戦争中に日系人強制収容所で作られた美術工芸品・日用品を集めた「尊厳の芸術展」にも展示された。
『ミリキタニの猫《特別篇》』予告編
公開情報
http://nekonomirikitani.com/theaters.html
2016年8月27日(土)〜2016年9月15日
渋谷・ユーロスペースにてロードショー
http://eurospace.co.jp/
■公式ホームページ
http://www.nekonomirikitani.com/