前回まで、たたく、もみもみ、ピックアップ、ツイストなどマッサージの基本手技をご紹介してきました。
さて今回はこのようなマッサージをするにあたって必要な知識として、「リンパ」のお話をしたいと思います。

ヒトの身体でよく聞くこの「リンパ」、もちろん猫の体にもあります。では、「リンパを流す」とはどういうことなのでしょうか?

体内にある毛細血管からしみ出た細胞と細胞の間にある液体のことを間質液(かんしつえき)と言い、その間質液の一部は毛細血管に再び吸収されて体内を循環しているのですが、毛細血管ではなく「リンパ管」に吸収された間質液のことを「リンパ液」と呼びます。

このリンパ液には血液の代わりに老廃物を運んだり、細菌などから身体を守る免疫機能の役割があります。
リンパ液が流れるリンパ管は「身体の下水管」とも呼ばれ、非常に細い毛細リンパ管から始まり、その途中には老廃物や細菌などの異物をろ過する、フィルターの役割のある「リンパ節」に何度も合流し、最終的には太いリンパ本幹となり、最終的には老廃物などがろ過されたリンパ液が左鎖骨下の静脈に注がれ、再び全身を巡ります。

このようなリンパの循環の仕組みのことを「リンパ系」言い、老廃物だけでなく細菌等の毒素から身体を守る重要な働きをしています。

リンパ

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前回まで、たたく、もみもみ、ピックアップ、ツイストなどマッサージの基本手技をご紹介してきました。
さて今回はこのようなマッサージをするにあたって必要な知識として、「リンパ」のお話をしたいと思います。

ヒトの身体でよく聞くこの「リンパ」、もちろん猫の体にもあります。では、「リンパを流す」とはどういうことなのでしょうか?

体内にある毛細血管からしみ出た細胞と細胞の間にある液体のことを間質液(かんしつえき)と言い、その間質液の一部は毛細血管に再び吸収されて体内を循環しているのですが、毛細血管ではなく「リンパ管」に吸収された間質液のことを「リンパ液」と呼びます。

このリンパ液には血液の代わりに老廃物を運んだり、細菌などから身体を守る免疫機能の役割があります。
リンパ液が流れるリンパ管は「身体の下水管」とも呼ばれ、非常に細い毛細リンパ管から始まり、その途中には老廃物や細菌などの異物をろ過する、フィルターの役割のある「リンパ節」に何度も合流し、最終的には太いリンパ本幹となり、最終的には老廃物などがろ過されたリンパ液が左鎖骨下の静脈に注がれ、再び全身を巡ります。

このようなリンパの循環の仕組みのことを「リンパ系」言い、老廃物だけでなく細菌等の毒素から身体を守る重要な働きをしています。

リンパ

しかし、このリンパ液は心臓の心拍によって循環している血液と違って非常に流れにくい性質があり、運動不足、冷え性や低体温などによって流れが滞ってしまいます。リンパの流れが悪くなると細胞の間に間質液が溜まって、いわゆる浮腫(むくみ)が生じます。また、ストレスよる血管・筋肉の収縮や加齢、塩分の取り過ぎでもリンパは滞ります。

このように、滞ってしまったリンパの流れをスムーズにさせるのが、リンパマッサージです。

動物にもヒトと同様にリンパがあり、特に重要な4大リンパ節として頚部(けいぶ)リンパ節、腋窩(えきか)リンパ節、鼠径(そけい)リンパ節、膝窩(しっか)リンパ節があります。さらにリンパの最終出口として左鎖骨下にもリンパ節があります。

リンパ2

頚部リンパ節:下あごや耳の下にあるリンパ節の総称です。顔のむくみや外耳炎、口内炎などが原因で滞ります。 リンパの最終出口:左の肩甲骨の前にあります。リンパが最終的に合流する一番重要な部位です。ここだけでも優しくマッサージしてみましょう。

リンパ3

腋窩リンパ節:両脇の下のリンパ節です。風邪をひいたときにはここが腫れたりします。 鼠径リンパ節:後肢の付け根にあるリンパ節です。コマネチポーズをしたときに手が当たるところです。下半身がむくんだ時にここを優しくマッサージしてあげましょう。 膝窩リンパ節:両膝の裏にあるリンパ節です。脚全体に影響する第2の心臓と言われるリンパ節です。

これらのリンパ節をマッサージすることで、リンパの流れがよくなり、猫の健康にもGoodなわけです。

しかし、前回でお話ししたように、猫にマッサージをする際には、ヒトにマッサージするときよりも圧力は弱めに、優しくマッサージしてくださいね。

また、炎症、腫瘍、外傷、骨折、発熱など体調が悪いときや妊娠中、空腹時・食後のマッサージは避けてください。あくまでも猫が気持ちいいと思ってくれそうな時に是非やってみてください!

<撮影協力>
ララちゃん、モカちゃん