飛躍的に長くなった猫たちの寿命と、複雑化する病気の種類

近年、猫の平均寿命は長寿化の一途をたどっています。直近の数字を見ても、2011年の14.39歳から2015年には15.75歳へと、わずか4年の間に1.38歳も長くなっています(※1)。1980年が3.6歳、1990年が4.9歳、2000年が7.9歳だったのを考えると、飛躍的な伸びです(※2)。主な原因としては、衛生環境の改善(寄生虫による病気の減少)、飼育に関する情報の増加と飼い主さんの意識の向上、医療技術の向上、などがあげられます。

 

猫の平均寿命グラフ

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飛躍的に長くなった猫たちの寿命と、複雑化する病気の種類

近年、猫の平均寿命は長寿化の一途をたどっています。直近の数字を見ても、2011年の14.39歳から2015年には15.75歳へと、わずか4年の間に1.38歳も長くなっています(※1)。1980年が3.6歳、1990年が4.9歳、2000年が7.9歳だったのを考えると、飛躍的な伸びです(※2)。主な原因としては、衛生環境の改善(寄生虫による病気の減少)、飼育に関する情報の増加と飼い主さんの意識の向上、医療技術の向上、などがあげられます。

 

猫の平均寿命グラフ

 

しかしながら、猫たちが長生きできるようになった結果、厄介な現象も現われてきました。それは、現代獣医療(西洋医学を中心とした獣医療)だけでは治すことが出来ない病気や、そもそも原因不明の症状などが多くみられるようになってきた、ということです。具体的にあげてみると、癌、糖尿病、認知症、てんかんなど。また、その他の難治性の、あるいは慢性的な疾病(肝臓や胆道、膵臓などの病気)やアトピーなども目に見えて増加してきています。簡単に言いかえると、「獣医さんに診察してもらって薬を飲んでも治らない病気が増えてきた」ということです。

 

獣医療の限界?

 

欧米で注目され始めた動物への『ホリスティックケア』

その傾向は欧米でも同様で、そこで再び注目を集め始めているのが『ホリスティックケア』なのです。日本語では、代替療法とか補完療法などと呼ばれるものです。欧米ではホリスティックケアへの取り組みが積極的に行なわれており、獣医さんが治療の補完のためにサプリメントやメディカルアロマなどを処方するということも珍しくはなくなってきました。具体的な例では、ドイツにおけるサプリメント(臨床に基づいた効果と安全性に信頼のおけるものに限ります)の処方や、フランスなどでのメディカルアロマ(成分と安全性に信頼のおけるものに限ります)の処方があげられます。アメリカでも、これらに対する臨床が積極的に行なわれています。

 

猫をお手当て

 

日本ではまだまだホリスティックケアへの取り組みがすすんでいるとは言えないのが現状です。しかし、日本には「手当て」という言葉が示すように、太古の昔からホリスティックケア的な概念や治療方法が存在していたのも事実です。少しずつではありますが、一部の獣医さんたちにより臨床が行なわれたり、そうした獣医師さんたちによる各種の団体が立ち上げられてきています。また、そうした団体による一般の飼い主さんにむけた講習会なども増えてきました。

 

長寿化とそれにともなう難治性や原因不明の疾病の増加。猫たちの世界にもヒトと同じような現象が起こってきています。そして、それらに対して飼い主さんが猫たちのためにしてあげられる予防的なホリスティックケアはたくさんあります。これから少しずつ、それらについてご紹介していきたいと思います。

 

※1:推計値=一般社団法人ペットフード協会調べ

※2:日本獣医師会発表の資料より