【世界のニャ窓から file #5】
マレーシア、KL(クアラルンプール)、ブキット・ビンタン。
KLの裏町をぶらぶら歩いていると、
軒先からネコが駆け出してきた。
まだ子ネコだからか体の動きは機敏でしなやかだが、
その姿勢や目線は周囲に対する警戒心でいっぱいだ。
はりつめた緊張感が毛並みにまで表れている。
近所の親父が、ノラは腹を空かせていて可哀想だ、
などと奇特なことをつぶやきながらキャットフードを与えている。
子ネコは警戒を解かぬままおそるおそる近づき、
背に腹はかえらないと言わんばかりに食事を済ませ、
そしてどこかに走り去る。
数件先の土産物屋で店員を冷やかしていると、
商品棚の奥にさっきの子ネコがいる。
ここが住処なのだろうか。
売れそうにない香水の箱の後ろに身をかがめ、
鋭い視線とそば立てた耳で周囲を絶え間なくうかがっている。
警戒心はまったく解いていない。
人間に可愛がられるなどまっぴらご免だ、
という生き方にも見える。
店員は、「別に構わない」という寛容な姿勢で、
棚の子ネコを追い払うわけでもなく、放置している。
あらゆることがのんびりと進むこの熱帯の都会で、
ヒリヒリとした緊張感を持って暮らす動物は少ない。
そんな本能に従い、野生のまま生きるその姿は、
多くの人間がすっかり忘れてしまっていることでもある。
タフで、でも自由な子ネコのワイルドな毎日。
それをどこか羨ましく思ってしまうのは、オレだけだろうか。
【世界のニャ窓から file #5】
マレーシア、KL(クアラルンプール)、ブキット・ビンタン。
KLの裏町をぶらぶら歩いていると、
軒先からネコが駆け出してきた。
まだ子ネコだからか体の動きは機敏でしなやかだが、
その姿勢や目線は周囲に対する警戒心でいっぱいだ。
はりつめた緊張感が毛並みにまで表れている。
近所の親父が、ノラは腹を空かせていて可哀想だ、
などと奇特なことをつぶやきながらキャットフードを与えている。
子ネコは警戒を解かぬままおそるおそる近づき、
背に腹はかえらないと言わんばかりに食事を済ませ、
そしてどこかに走り去る。
数件先の土産物屋で店員を冷やかしていると、
商品棚の奥にさっきの子ネコがいる。
ここが住処なのだろうか。
売れそうにない香水の箱の後ろに身をかがめ、
鋭い視線とそば立てた耳で周囲を絶え間なくうかがっている。
警戒心はまったく解いていない。
人間に可愛がられるなどまっぴらご免だ、
という生き方にも見える。
店員は、「別に構わない」という寛容な姿勢で、
棚の子ネコを追い払うわけでもなく、放置している。
あらゆることがのんびりと進むこの熱帯の都会で、
ヒリヒリとした緊張感を持って暮らす動物は少ない。
そんな本能に従い、野生のまま生きるその姿は、
多くの人間がすっかり忘れてしまっていることでもある。
タフで、でも自由な子ネコのワイルドな毎日。
それをどこか羨ましく思ってしまうのは、オレだけだろうか。