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捨て猫に拾われた男 〜猫の里親になると何が変わるのか〜

本のご紹介です。どんな方におすすめしたいかと言いますと…。

これまでに犬を飼ったことはあるけれど猫は飼ったことがない。そして今度初めて猫を飼うことになった…。犬も猫も同じでしょう?うまくやっていく自信あります! というそんなあなたにおすすめします。きっとその自信は音もなく崩れ去ってしまうでしょう。

職場で、ご近所で、猫を飼っている人がいる、その人はいつも手に生傷が耐えない。たまに引くほど深い傷の時もある。でも猫のことをいつもとっても楽しそうに話す。なぜだ? と疑問に思う方、そんなあなたにおすすめします。あなたの永年の謎が解けるでしょう。

猫は冷たそうだ、愛想がない。なぜ今猫好きが増えているのか全く理解できない、猫なんて飼ってもつまらないだろう?という方、そんなあなたにおすすめします。きっとあなたも猫の里親会に足を運んでみたくなるでしょう。

人生は充実している、何の不満もない。趣味も友達も多くて楽しい毎日だ。そんなあなたにもおすすめします。猫の存在は当たり前の毎日に新たな刺激を与えてくれることを知るでしょう。

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本の中に「すべての猫は例外である」という一文があります。著者は里親会で出会った黒猫の「大吉」との生活を始めるにあたって、猫の飼い方セミナーに参加します。しかしそこで教わった「猫は〜〜である」というマニュアルはことごとく裏切られます。マニュアルはあれどその通りにはいかない。まさに人間の社会生活を反映しているように思います。

例えば学生から社会人になったときに打ちのめされるであろう「学校で習ったことが役にたたない」「誰も正解を教えてくれない」という絶望。それは習ったことが役にたたないのではなく、実社会においては「一つの正解は存在しない」という事実と、マニュアルはアレンジしてこそ役に立つということを忘れているからです。

猫との付き合いは柔軟に柔らかくなすがままに、時には何もしないことも、そして諦めも必要。まさに実社会の縮図と言えるかもしれません。

著者は電通にお勤めのクリエーティブ・ディレクターで「バイトするなら、タウンワーク」のCMも手がける梅田悟司氏。本文中に時々登場する奥様を「妻様」と表記し、猫と生活する先輩として(?)敬意を払う様子が伺えます。大吉との里親会での出会いも、そんな奥様に手を引かれてのこと。2人と1匹の微妙な距離感が微笑ましいのです。

業界の最前線で活躍するビジネスマンでありながら、家庭内のご自分の立ち位置は奥様よりも、そして大吉よりも下ととらえているのでしょうかね。でもそれが心地いい、猫と生活することが心地よい場所をつくるスキルを積み上げてくれた、と感じているように思います。

猫の魅力というよりも、猫とつき合うことで発見できる生き方のマニュアルと言える一冊。あなたなりにアレンジするとまた新しい発見があるでしょう。

著者:ねこたろう


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