筆者は『ネコDK』(晋遊舎発行)というテストする猫雑誌をこれまで3号手がけ、いずれの号でもキャットフードやおやつの検証をしています。
本稿では詳しい検証方法を割愛させていただきますが、毎号ペットの栄養学に造詣の深い獣医師や、猫カフェもしくは一般家庭の猫たちに協力してもらい、各フードを採点しています。
キャットフードは毎日愛猫に与えるわけですから、質の高いものをチョイスしたいですよね。
どのフードが安全なのか、ネットで情報収集している飼い主さんも多いのではないでしょうか。
ネットでキャットフードについて調べると、「粗悪な原材料を使っているフードが多い」「一部のフードには4Dミートが使われている」「死んだ犬や猫などの肉が使われている」といった記事を目にすることがあります。
ちなみに4Dミートとは、「Dead(死んでいる)」「Dying(死にかけている)」「Diseased(病気の)」「Disabled(ケガをした)」の肉を指します。
4Dミートや死んだ犬猫の肉がキャットフードに使われているなんて、信じがたいことですよね。
ただし、こうした情報を発信しているのは、個人サイトやブログばかりです。ペットフードの工場を取材したわけでもありませんし、情報のソースすら提示していないケースが大半。
しかも「このフードなら安全!」と高価格のキャットフードを販売もしくはアフィリエイトしているケースが多いので、筆者はさめた目で記事を読んでいました。
ところが…‥です。
2018年2月、アメリカのニュースチャンネル・CNNが、エバンジャーズのドッグフード「HUNK OF BEEF AU JUS」に、動物を安楽死させるために使われる麻酔薬が混入していたことを報じました。
記事によると、エバンジャーズはアメリカの老舗ペットフードメーカーで、「HUNK OF BEEF AU JUS」は高級ドッグフードとして人気を博していました。
4匹のパグを飼っていた女性がご馳走として与えたところ、すべての犬の具合が悪くなり、うち1匹は亡くなってしまったそうです。
エバンジャーズは当該フードのリコールを実施し、調査をしたところ、安楽死用の麻酔薬「ペントバルビタール」の混入が判明しました。
この報道を受け、「安楽死された犬か猫の肉が使われていたのではないか!」なんて記事も目にしました。
しかしながら、そう決めつけるのは早計です。筆者とお付き合いのある獣医師は「ペントバルビタールは主に家畜に使われている安楽死用の麻酔薬」と仰っていました。
「HUNK OF BEEF AU JUS」は文字通りビーフが使われていますから、安楽死された牛が原材料に使われていたと考えるのが妥当だと思います。
ただ、当該フードは老舗のペットフードメーカーが高級品として販売していたようですから、「質」を重視して購入していた飼い主さんからすると、もう、どのフードも信じられなくなってしまうのではないでしょうか。
「HUNK OF BEEF AU JUS」は日本で販売されていませんが、こうした事件が起きると「今与えているキャットフードは大丈夫なの!?」と不安になると思います。
筆者はキャットフードを販売する大手メーカー数社に電話してみましたが、いずれも4Dミートや死んだ犬猫の肉の使用は完全否定していました。
「4Dミートや死んだ犬猫の肉を使用するなんて考えられない。あまりにもリスキーです」
あるメーカーはそう回答しました。
その通りだと思います。
粗悪な原材料を使用していることが露見すれば、リコールになって多額の回収費用がかかりますし、そのメーカーのイメージは失墜します。
では、どうして先述のような事件が起きたのかというと、ペットフードメーカーに原材料を卸していた業者が、問題のある肉を使用していたわけです。
はっきりした理由は分かりませんが、「コストカットのため」と考えるのが妥当でしょうか。
SNSなどを利用した内部告発が容易になった昨今、意図的に粗悪な原材料を使用する業者は、レア中のレアだと思います。
しかしながら今回のような事件が起きてしまった以上、猫や犬の飼い主さんはペットフード選びにシビアになる必要があると思います。今与えているペットフードのメーカーに電話し、どんな原材料を使用しているのか、原材料を納入している業者は信頼が置けるのか、聞いてみるのもいいでしょう。
また、万が一のことを考えて、複数のフードをローテーションさせて与えるのも良いと思います。たとえひとつのフードに問題があったとしても、数種類のフードを与えていれば、健康被害を少なくすることができます。
ペットフードは猫や犬の健康、ひいては寿命を左右します。
大切な愛猫・愛犬の”健康と寿命”は、飼い主さんの手にかかっていることを忘れずに、フードを選んであげてくださいね。
猫雑誌編集者:奥田直樹
筆者は『ネコDK』(晋遊舎発行)というテストする猫雑誌をこれまで3号手がけ、いずれの号でもキャットフードやおやつの検証をしています。
本稿では詳しい検証方法を割愛させていただきますが、毎号ペットの栄養学に造詣の深い獣医師や、猫カフェもしくは一般家庭の猫たちに協力してもらい、各フードを採点しています。
キャットフードは毎日愛猫に与えるわけですから、質の高いものをチョイスしたいですよね。
どのフードが安全なのか、ネットで情報収集している飼い主さんも多いのではないでしょうか。
ネットでキャットフードについて調べると、「粗悪な原材料を使っているフードが多い」「一部のフードには4Dミートが使われている」「死んだ犬や猫などの肉が使われている」といった記事を目にすることがあります。
ちなみに4Dミートとは、「Dead(死んでいる)」「Dying(死にかけている)」「Diseased(病気の)」「Disabled(ケガをした)」の肉を指します。
4Dミートや死んだ犬猫の肉がキャットフードに使われているなんて、信じがたいことですよね。
ただし、こうした情報を発信しているのは、個人サイトやブログばかりです。ペットフードの工場を取材したわけでもありませんし、情報のソースすら提示していないケースが大半。
しかも「このフードなら安全!」と高価格のキャットフードを販売もしくはアフィリエイトしているケースが多いので、筆者はさめた目で記事を読んでいました。
ところが…‥です。
2018年2月、アメリカのニュースチャンネル・CNNが、エバンジャーズのドッグフード「HUNK OF BEEF AU JUS」に、動物を安楽死させるために使われる麻酔薬が混入していたことを報じました。
記事によると、エバンジャーズはアメリカの老舗ペットフードメーカーで、「HUNK OF BEEF AU JUS」は高級ドッグフードとして人気を博していました。
4匹のパグを飼っていた女性がご馳走として与えたところ、すべての犬の具合が悪くなり、うち1匹は亡くなってしまったそうです。
エバンジャーズは当該フードのリコールを実施し、調査をしたところ、安楽死用の麻酔薬「ペントバルビタール」の混入が判明しました。
この報道を受け、「安楽死された犬か猫の肉が使われていたのではないか!」なんて記事も目にしました。
しかしながら、そう決めつけるのは早計です。筆者とお付き合いのある獣医師は「ペントバルビタールは主に家畜に使われている安楽死用の麻酔薬」と仰っていました。
「HUNK OF BEEF AU JUS」は文字通りビーフが使われていますから、安楽死された牛が原材料に使われていたと考えるのが妥当だと思います。
ただ、当該フードは老舗のペットフードメーカーが高級品として販売していたようですから、「質」を重視して購入していた飼い主さんからすると、もう、どのフードも信じられなくなってしまうのではないでしょうか。
「HUNK OF BEEF AU JUS」は日本で販売されていませんが、こうした事件が起きると「今与えているキャットフードは大丈夫なの!?」と不安になると思います。
筆者はキャットフードを販売する大手メーカー数社に電話してみましたが、いずれも4Dミートや死んだ犬猫の肉の使用は完全否定していました。
「4Dミートや死んだ犬猫の肉を使用するなんて考えられない。あまりにもリスキーです」
あるメーカーはそう回答しました。
その通りだと思います。
粗悪な原材料を使用していることが露見すれば、リコールになって多額の回収費用がかかりますし、そのメーカーのイメージは失墜します。
では、どうして先述のような事件が起きたのかというと、ペットフードメーカーに原材料を卸していた業者が、問題のある肉を使用していたわけです。
はっきりした理由は分かりませんが、「コストカットのため」と考えるのが妥当でしょうか。
SNSなどを利用した内部告発が容易になった昨今、意図的に粗悪な原材料を使用する業者は、レア中のレアだと思います。
しかしながら今回のような事件が起きてしまった以上、猫や犬の飼い主さんはペットフード選びにシビアになる必要があると思います。今与えているペットフードのメーカーに電話し、どんな原材料を使用しているのか、原材料を納入している業者は信頼が置けるのか、聞いてみるのもいいでしょう。
また、万が一のことを考えて、複数のフードをローテーションさせて与えるのも良いと思います。たとえひとつのフードに問題があったとしても、数種類のフードを与えていれば、健康被害を少なくすることができます。
ペットフードは猫や犬の健康、ひいては寿命を左右します。
大切な愛猫・愛犬の”健康と寿命”は、飼い主さんの手にかかっていることを忘れずに、フードを選んであげてくださいね。
猫雑誌編集者:奥田直樹