Site icon にゃんこマガジン

プロトタイプ第1号完成−にゃんこタワー開発奮闘記 第二話

第二話

Subject: 【報告】タワーを試作しました
From:nyantama@silvervinekingdom.org
Date:2012/07/30 14:34
To:king@silvervinekingdom.org

シルバーバイン王国
親愛なるにゃんこ大王殿
エンジニアのにゃんたまです。

日本はシルバーバインよりはるか南にありますので、夏は暑いです。特に湿度が高いので、気温以上に暑く感じます。また、虫が多いのが嫌で仕方ありません。

さて、報告の続きをいたします。
派遣先の東京という都市には、ムウさんというネコがいました。端正な顔立ちのイケメンキジトラです。出身は「よこはま」という町だそうです。驚くことに小さいころは家がなくて、外で暮らしていたそうです。3匹兄弟で、ひとりはどこか他の町で「人間」と暮らしており、もうひとりは、よこはまに残って生活していたようです。しばらくは元気だと聞いていたのですが、最近は音信不通とのことで心配です。基本的なネコ権すら保障されていないのは、非常に問題だと思われます。

ムウさんは、蜂の巣のようなマンションの一室で「人間」と暮らしています。そこだとやはり運動不足になるようで、登りたくなったらテレビの上に登るそうです。夜中にこの上に登って叫ぶのが、気持ちいいとのことでした。でもテレビは厚さが5センチくらいしかないし、グラグラ不安定ですので落ち着きません。たまに、滑って落ちてしまうようです。そもそも、登るというほどの高さもないし、可哀想ですよね。まずはムウさんが気に入ってくれるタワーを作ってみようと決意しました。

こちらの世界では、材料探しから大変です。四本足動物への差別が根強く、ネコの姿のままでは売ってくれないので、毎回こちらの「人間」とやらに変装して買いにいくのです。後ろ足だけで歩くのも、ようやく慣れてきました。でも、しっぽだけはどうしようもなくて、いつもはおなかに巻いて隠しています。このあいだ、気が緩んでしっぽが見えてしまったことがあって、ヒヤリとしました。こちらのネコは変装できないので、まさかネコだとは気づかなかったようで助かりました。日本語は、勉強したとおりで無事通じました。

材料について

いろいろな店を探していたのですが、ある店で、丸太を斜めに切った板が売られているのを見つけました。太い幹を斜めに切ったもので、楕円形なのが素敵です。他にも、楕円形ではないのですが、大きな曲がった部分を板にしたものが置いてありました。特に端の部分が曲がっていたり、出っ張っていたりするところが、デザイン的に面白く思ったので、すぐに買いました。また、節があったり、端がまっすぐになっていなかったりしたものが、かえって加工していない、自然な感じで気に入りました。木目が見えるのもいいですね。他の店では、真四角の板しか売っていないので、工夫無く作ってしまうと本棚のようになってしまうのですが、今回買った板なら、格好良く、お洒落に作れそうな気がします。

樹は種類によって、硬さや粘り具合が違います。あまり柔らかなものですと傷が付きやすく、爪を立てると傷がしっかりと付いてしまいます。でも、あまりに硬い樹は、切ったり穴を開けたりする加工が大変ですので、そのバランスが大事です。最終的には、ひとつの樹の種類に決めるべきなのですが、いったんは実験的にいろいろな木を使って、木の材質の特性や、他にも不具合が出ないか試してみようと思います。

この店で売っていた、ケヤキ、ヒノキ、セン、キリ、ホオ、スギといった種類の樹を買ってきました。ヒノキという樹の香りは、シルバーバインの森に似ています。以前、森の軍隊学校で皆と一緒に勉強をしていた頃を思い出して懐かしくなりました。でも、ヒノキはこちらの国では取れる量が少なく、高級品とのことでしたので、あまり多量には買えません。

まずは、これらの買った板を使って、組み立ててみました。

手始めにムウさんに使ってもらったのですが、喜んで頂きました。ムウさんは、楕円形の板の先の部分がお気に入りです。リラックスして耳の後ろを搔いている様子は、若いのにオッサンの風格があります。

ムウさんの家の近所に、外でキャンプ生活をしているネコがいます。近くの家具屋の物流センターの庭にいて、ちょっと珍しいチャトラの女の子です。お腹が白くて、あと、足の先も白いソックスを履いているみたいです。先日、ニャー語で話しかけたら、少し驚いた顔をしていました。そうです。僕は外に出るときは、人間の格好をしているのを忘れていました。我ながらドジですね。キャンプ中のネコの生活にも注目していきたいと思います。

報告画像は「ケータイ」というもので撮影したのですが、今ひとつ画質が良くないようです。
使い方を研究してみます。

また進捗がありましたら、報告いたします。
愛をこめて にゃんたま

P.S.
もしお許しをいただけるならば、シルバーバインのカリカリを送ってください。

筆者:にゃんこタワー開発者・にゃんたま



関連記事:

writer