猫とお客様を繋ぐ場所。“猫カフェ”を巡るそれぞれのストーリー

以前、猫が大好きな友人に誘われて、始めて猫カフェを訪れた時のことを今でも憶えている。私自身は生粋の猫好きの方からすると、それなりに猫が好きくらいのレベルに過ぎない。けれど、訪れたお店の猫たちはそれぞれ表情や仕草に個性や魅力があり、滞在した数時間、とても穏やかな気持ちになった。お店の人の様々な思いが詰まった猫カフェを、随時紹介していきたいと思う。

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お客様の足乗りをして幸せを振りまくオッドアイ。5年連続総選挙No1の猫ちゃんです。

大阪に移転後、魅力が開花した「Nekocafe Cattail」

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猫とお客様を繋ぐ場所。“猫カフェ”を巡るそれぞれのストーリー

以前、猫が大好きな友人に誘われて、始めて猫カフェを訪れた時のことを今でも憶えている。私自身は生粋の猫好きの方からすると、それなりに猫が好きくらいのレベルに過ぎない。けれど、訪れたお店の猫たちはそれぞれ表情や仕草に個性や魅力があり、滞在した数時間、とても穏やかな気持ちになった。お店の人の様々な思いが詰まった猫カフェを、随時紹介していきたいと思う。

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お客様の足乗りをして幸せを振りまくオッドアイ。5年連続総選挙No1の猫ちゃんです。

大阪に移転後、魅力が開花した「Nekocafe Cattail」

大阪の中心部・心斎橋にある「Nekocafe Cattail」。奈良県生駒市から、より人が集まる場所へ移転し、21匹の猫たちが出迎えてくれる。オーナーである庄さんの人生における様々な経験が、猫カフェを始めるきっかけになったようだ。
「10年前、当時の仕事の営業先でドックカフェを見かけて、なぜ猫カフェを見かけないのか?が発端でした。未成熟期の猫カフェ創業に魅力を感じて、猫カフェを作る企画に熱中しました。そして同時期に、14年間直属の上司であり、たくさんお世話になった社長の突然の死を機に創業の決意を固めたのです」

庄さんにとって、それまで長年築いてきたキャリアを捨てて、40代の働き盛りに未知の異業種を始めることは、大きな冒険だったようだ。それでも、阪神大震災で両親と祖母を亡くすという、過酷な体験の影響から「人はいつ死ぬかわからないから後悔しない生き方をしたい。」と考えて、猫カフェを作ったのだという。独自の企画としては、今では普通になった猫が遊べる猫棚等の内装、毛が入らず倒れても火傷を防ぐ蓋付きカップ、お客様立ち入り禁止の猫休憩室などを初採用するなど、積極的に店舗運営を行っていった。

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お店の入口を開けると、楽しい時間が始まります。

当初は、猫棚などで、猫たちが楽しそうに動き回っている様子を見ることで、お客様は満足していると考えていたが、日々来店するお客様を見て、庄さんはあることを発見します。

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木の温もりを感じる店内で、猫たちとゆっくりくつろぎましょう。

「猫が自らお客様のお膝に乗ると、お客様がとても幸せそうなお顔をされていて、そして猫たちもそれが幸せそうな様子を認識しました。それからは、お客様のお膝に猫が乗るように様々な工夫をしていきました。最初は、2~3匹しか膝乗りは出来ませんでしたが、年々数が増えるに従って、店内全ての猫がお客様のお膝乗りでくつろげることが私の目標になりました」
生駒市で開店してから8年2カ月間で猫たちの「お膝乗り」は、常連のお客様の協力や、庄さんの様々な工夫により、全体の約8割に増えた。しかし、猫の高額な医療費や生駒市での将来的な収支などから、生駒市での長期的な営業が難しくなってきてしまう。庄さんは半年間にわたる市場調査や様々な考えを巡らせて、慣れ親しんだ生駒市から、大阪・心斎橋への移転を決意する。
環境の変化や、新しいお客様が増えることで猫たちのお膝乗りが減ることが懸念されたが、店内ルールとして抱っこ禁止にするなど、猫たちに安心感を与えるような工夫を凝らした。そして内装も生駒市と同じ机や棚を使用し、猫たちに馴染みやすい環境を整えた。また、生駒市の常連だったお客様が、大阪へも引き続き来店してくれるなど、猫たちにとっても嬉しいこともあり、様々なことが良い相乗効果を生み出した。
その結果、猫にとっては新たなお客様が倍増したにもかかわらず、「全ての猫がお膝乗りできる猫カフェ」を達成することに成功した。

「お客様の愛情が溢れるふれあいにより、移転1年目で店内21匹全ての猫たちがお客様のお膝に自ら乗りに行く様になりました。最後の21匹目は一番若いボンボンちゃんでした。」

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当店最年少。いびきをかき白目をむいて寝る姿が笑いを誘います。起きてる時は猫じゃらし遊び、お膝乗り、人気急上昇の猫ちゃんです。

現在、Nekocafe Cattailにいる全ての猫たちは、お客様のことを友達だと思い、足乗り、肩乗り、ふみふみ、ゴロゴロなどのふれあい行為を通して、個々の特長を生かしたコミュニケーションを図れるようになった。GWを過ぎて気温が高くなると、猫たちのお膝乗り頻度が減ってしまうようだが、季節を問わずに「お膝乗り猫カフェ」と自信を持って言えるように工夫をしていき、店舗としての魅力を高めていきたいそうだ。また、猫たちの衛生環境にも常に目を配らせている。

お店をこれからも長く続けていくために、庄さんはどのような未来図を描いているのだろうか?

「当店はあくまでも営利活動が主体です。来店したお客様に喜んでもらい、リピーターになってもらうことを第一に考えて運営しています。ただ、店内の猫たちが幸せとお客様が感じて、当店で過ごした時間に満足感がなければ、長く愛されるお店にはならないでしょう。猫とお客様双方が幸せになるように、猫たちに好かれ懐かれるための行動のコツやヒントを地道に店内やブログ等で、日々発信しています。常連のお客様が、馴染みの猫たちと一生触れ合って頂けるように、出来る限り長くお店を存続させていきたいです。また、当店の猫も含めた全ての猫たちが、私たち人間と幸せに過ごせるように、飼っている猫が懐かないからと安易に手放すことを防げるように、少しでもお役に立てればと思っています。」

オーナーとしての客観的な目線と共に、猫への愛情も人一倍強い庄さん。公式サイトの
内容や画像配信なども見逃せないが、是非一度お店を訪れてみてはいかがだろうか?

 

Nekocafe Cattail
公式サイト:http://www.cattail.jp/
アクセス 〒542-0086大阪市中央区西心斎橋2-10-22 第二多田ビル2F
営業時間 AM11:00-PM20:00