「猫がイタズラをするようになって、困っています」
お客様から以前、このようなご相談がありました。

その方は元々二匹の猫を飼っておられましたが、一匹が突然亡くなってしまい、そのあと残された猫がイタズラをするようになった、ということでした。

お話をよく聞いてみると、
「もう一匹がいたころにはしなかったような悪さをする」
「おとなしい性格だったのに、急にわがままになった」
「家の中をあちこち散策してイタズラをしている」
「要求が強くなった」
「活発に動き回るようになり、一匹で暇を持て余しているのではないか?」
「もう一匹猫がいればイタズラが治るのではないか。新たな猫の受け入れを検討しているが、キャットシッターとしてどう思うか?」

というものでした。
さて、皆さんはこれを聞いてどう思われるでしょうか?

これだけ聞いても、詳しい背景がわからなければ答えを出すのはとても難しいというのが正直なところです。

そもそも「イタズラ」とは何なのでしょうか?
「イタズラ」の意味を辞書で調べると、「楽しみや気晴らしのために行うばかげた行動」「他人を不快にさせ困惑させる悪意ある行動」などと出てきます。
「イタズラ」という言葉から、あまりポジティブな感じを受けないことも確かです。

そもそも、猫はイタズラをするのでしょうか?

確かに猫は、時々私たちが困ってしまうようなことをするものですが、決してそれは私たちを不快にさせるために悪意を持ってやっているわけではありません。猫の不思議な行動は、人が思うようなイタズラではなく、そこにはちゃんと何か意味があります。そして、その行動を通して、私たちに何かを伝えようとしていることもあります。

このケースでの私の答えは「新しい猫を受け入れるのは慎重に・・・」でした。キャットシッターはお家の中に入って猫の様子を観察するチャンスがあります。2匹の様子をしっかり見ていたからこそ、お答えできた質問でした。

実は、この猫ちゃん(以下Aちゃん)は、亡くなった猫とはあまり相性が良くありませんでした。猫は上下関係を作らないと言われますが、実際には犬の社会ほど厳格でないにしても、猫の社会にも上下関係は存在します(と、私には見えます)。

Aちゃんはもう一匹の猫より弱い立場にありました。Aちゃんはあまり自分から相手に近づこうとせず、いつもその猫に遠慮して暮らしているように見えました。猫じゃらしで誘っても、もう一匹の猫が先に遊んでいれば出てきません。

一方、もう一匹の猫は甘え上手。お腹を出してコロンコロンと転がって甘えてきます。Aちゃんは少し離れた場所からこちらを観察しているだけ。この様子から、Aちゃんが普段から少し自分を抑えて我慢をして暮らしていることがわかります。元々おとなしい性格というよりは、活発で甘えん坊な本来の性格を抑えているように見えました。

同居の猫ちゃんが亡くなり、飼い主であるお客様より「Aちゃんが急にわがままになった」と聞いて、自分本来の姿に戻れたのだな、と理解しました。でも、Aちゃんがお家の中を自由自在に動き回って楽しんでいる姿は、飼い主さんには突然の変化にしか見えず、戸惑ってしまったのでしょう。そして、Aちゃんの変化を間違って受け取ってしまったようです。

一匹になって、やっと伸び伸びとできるようになったAちゃん。もしも、そこにまた新たな猫が来たらどうなるでしょうか?よほど相性の良い猫ならうまくいくかもしれませんが、相性が合わない子やAちゃんより強い猫だったなら、またAちゃんは自分の中に引きこもってしまうことになります。

飼い主さんには、今彼女にとって必要なのは新しい猫友たちではなく、伸び伸びと暮らすことができ、飼い主さんに思い切り甘えられる環境だということを丁寧にお伝えしました。そのうちにAちゃんの行動も落ち着いてくるはずなので、しばらく見守ってほしいとも。それを聞いて、飼い主さんも思い当ることが多くあったようで納得しておられました。

一見、猫がイタズラに見える行動をするときは、ただのイタズラだと決めつけてしまわずに、そこに秘められたメッセージに耳を傾けてみてあげてください。すぐにはわからないかもしれませんが、根気よく猫の様子を観察することで見えてくるものがあるはずです。今回のように、家族以外の人の客観的なアドバイスを求めることもとても良いことですよね。

猫は決してイタズラはしないのです。

キャットシッターないとうのHP:http://catsitter-naito.com/

 

著者:キャットシッター 内藤由佳子

「猫がイタズラをするようになって、困っています」
お客様から以前、このようなご相談がありました。

その方は元々二匹の猫を飼っておられましたが、一匹が突然亡くなってしまい、そのあと残された猫がイタズラをするようになった、ということでした。

お話をよく聞いてみると、
「もう一匹がいたころにはしなかったような悪さをする」
「おとなしい性格だったのに、急にわがままになった」
「家の中をあちこち散策してイタズラをしている」
「要求が強くなった」
「活発に動き回るようになり、一匹で暇を持て余しているのではないか?」
「もう一匹猫がいればイタズラが治るのではないか。新たな猫の受け入れを検討しているが、キャットシッターとしてどう思うか?」

というものでした。
さて、皆さんはこれを聞いてどう思われるでしょうか?

これだけ聞いても、詳しい背景がわからなければ答えを出すのはとても難しいというのが正直なところです。

そもそも「イタズラ」とは何なのでしょうか?
「イタズラ」の意味を辞書で調べると、「楽しみや気晴らしのために行うばかげた行動」「他人を不快にさせ困惑させる悪意ある行動」などと出てきます。
「イタズラ」という言葉から、あまりポジティブな感じを受けないことも確かです。

そもそも、猫はイタズラをするのでしょうか?

確かに猫は、時々私たちが困ってしまうようなことをするものですが、決してそれは私たちを不快にさせるために悪意を持ってやっているわけではありません。猫の不思議な行動は、人が思うようなイタズラではなく、そこにはちゃんと何か意味があります。そして、その行動を通して、私たちに何かを伝えようとしていることもあります。

このケースでの私の答えは「新しい猫を受け入れるのは慎重に・・・」でした。キャットシッターはお家の中に入って猫の様子を観察するチャンスがあります。2匹の様子をしっかり見ていたからこそ、お答えできた質問でした。

実は、この猫ちゃん(以下Aちゃん)は、亡くなった猫とはあまり相性が良くありませんでした。猫は上下関係を作らないと言われますが、実際には犬の社会ほど厳格でないにしても、猫の社会にも上下関係は存在します(と、私には見えます)。

Aちゃんはもう一匹の猫より弱い立場にありました。Aちゃんはあまり自分から相手に近づこうとせず、いつもその猫に遠慮して暮らしているように見えました。猫じゃらしで誘っても、もう一匹の猫が先に遊んでいれば出てきません。

一方、もう一匹の猫は甘え上手。お腹を出してコロンコロンと転がって甘えてきます。Aちゃんは少し離れた場所からこちらを観察しているだけ。この様子から、Aちゃんが普段から少し自分を抑えて我慢をして暮らしていることがわかります。元々おとなしい性格というよりは、活発で甘えん坊な本来の性格を抑えているように見えました。

同居の猫ちゃんが亡くなり、飼い主であるお客様より「Aちゃんが急にわがままになった」と聞いて、自分本来の姿に戻れたのだな、と理解しました。でも、Aちゃんがお家の中を自由自在に動き回って楽しんでいる姿は、飼い主さんには突然の変化にしか見えず、戸惑ってしまったのでしょう。そして、Aちゃんの変化を間違って受け取ってしまったようです。

一匹になって、やっと伸び伸びとできるようになったAちゃん。もしも、そこにまた新たな猫が来たらどうなるでしょうか?よほど相性の良い猫ならうまくいくかもしれませんが、相性が合わない子やAちゃんより強い猫だったなら、またAちゃんは自分の中に引きこもってしまうことになります。

飼い主さんには、今彼女にとって必要なのは新しい猫友たちではなく、伸び伸びと暮らすことができ、飼い主さんに思い切り甘えられる環境だということを丁寧にお伝えしました。そのうちにAちゃんの行動も落ち着いてくるはずなので、しばらく見守ってほしいとも。それを聞いて、飼い主さんも思い当ることが多くあったようで納得しておられました。

一見、猫がイタズラに見える行動をするときは、ただのイタズラだと決めつけてしまわずに、そこに秘められたメッセージに耳を傾けてみてあげてください。すぐにはわからないかもしれませんが、根気よく猫の様子を観察することで見えてくるものがあるはずです。今回のように、家族以外の人の客観的なアドバイスを求めることもとても良いことですよね。

猫は決してイタズラはしないのです。

キャットシッターないとうのHP:http://catsitter-naito.com/

 

著者:キャットシッター 内藤由佳子