カフェブランは横浜市青葉区にある保護猫カフェです。ここに以前、「アッシュ」という名前の白黒模様の猫がいました。アッシュは1才半という若い年齢でこの世を去りました。お店の一角には今も祭壇が飾られています。

保護猫カフェなので、もちろんお客さんは店内の猫と遊ぶために来店しますが、カフェブランではこのアッシュに会いにくるお客さんも多いのです。その理由は・・・。

**

僕が初めてアッシュに会ったのは、2014年の暮れのことでした。

いわゆる猫らしい猫といいますか、手足が長く運動能力に長けていて大ジャンプが得意。おもちゃにもよく食いつき、飽きることなくずっと一緒に遊んでいたものです。

アッシュには小春という名前の兄妹がいました。小春はすぐに里親さんが決まりましたが、アッシュはなかなかお声がかからず・・・。

成長するに連れて以前ほどは遊んでくれなくなり、寝ていることが多くなりましたね。

体は大きくなっても他の猫に喧嘩を売っては返り討ちにあい、オーナーの岡本さんに泣きついては甘えていたそうです。岡本さん曰く「ヘタレの」アッシュ。風邪を引いて薬を飲まなくてはならないときにも、何とか逃げようと試みるのですが、あっさり捕まって薬を飲まされる。そんな様子を僕は笑いながら眺めていました。

2016年の2月になってついに里親さんのお声がかかります。1年以上をカフェブランで過ごし、みんなに愛されたアッシュもついに卒業、感慨深いものがあるなあ・・と寂しい思いをしていた矢先のこと。

トライアル中に突然死という不幸に見舞われるのです。

1才という若い年齢、スマートな体型で元気いっぱいに走り回る姿、健康上の問題など微塵も感じなかっただけに、周りに与える衝撃と悲しみは計り知れないものでした。

アッシュの亡骸は亡くなった翌日にお店に届けられました。閉店後の店内でひとり崩れ落ちて号泣する岡本さん。その悲しみの後にひとつの決意をするのです。

それはアッシュをカフェブランの家族として迎え入れること。アッシュが一番居たい場所はどこなのかを考えた時に、やはりその一生の大半を過ごして思い出もたくさん詰まったこの場所にいるのが一番幸せだろうと考えたのです。以来、アッシュは守護天使としてお店に出入りする猫も人も見守り続けています。

**

それからしばらくして、僕がカフェブランを訪ねたときに岡本さんは言ったのです。

「アッシュはね、亡くなってからの方がよく働くんですよ・・・」

「?」

首をかしげる僕に岡本さんは話してくれました。

少し前に、お店のご近所に譲渡した猫の脱走騒ぎがあったそうです。完全室内飼いが当たり前の現在、猫一匹の脱走はもう一大事です。管轄保健所や警察署への連絡、人の手配、捕獲器の設置、チラシを作成して近隣へ配布などなど、ボランティアさんが総出で捜索を行うことも珍しくありません。

困ったときの何とかではないですが、岡本さんはアッシュの祭壇にもお願いしたそうです。

「アッシュ、その子にお家に帰るように言ってちょうだい!」

すると何ということか・・・ その翌日にひょっこりと玄関先に帰って来たとのこと。

**

またある時は…

お店にパンチョという名前の問題児がいまして、マーキングがひどかったのです。お店の壁やカーテンなどあらゆる場所にスプレーをします。掃除ももちろん大変ですが何よりもその原因が何なのか、多頭の生活がストレスになっているのかも?などと頭を痛める毎日です。

困り果てた岡本さんはまた祭壇に向かいます。
「アッシュ、パンチョのこと何とかならないかしら?」

するとたまたま、一頭飼いで面倒を見てくれる預かりさんにご縁がつながり、そこのお宅へ行くことになりました。その後は嘘のようにスプレーをしなくなったそうです。そりゃ一頭だからストレスもないしごもっともですが、そんなタイミングよく一頭飼いのご縁なんてそうあるもんじゃないですしね。だから間違いなくアッシュのおかげだと思うのです。

さらにその後パンチョは無事に里親さんも見つかり、のんびり暮らしているようです。

**

その後もお店で猫が怪我をしたとか、ちょっと具合が悪いとかいうたびにアッシュにお願いする岡本さんなのでした。

今ではアッシュ神社と化したその祭壇には、話を聞きつけたお客さんもお願いごとをしていくようになっています。

そなたの望みをかにゃえよう

**

以前僕は、どうも最近運気の流れが悪いようだという記事を書かせていただきました。

その流れは今も続いておりまして、何かとうまくいかない日々なのです。まあ、一つひとつは些細なことなんですけどね。

例えばちょうど大事な予定がある日に台風接近とか。
例えばずっと使っていたDVDレコーダーが急に壊れたとか。
例えば道を歩いていて信号がことごとく赤に変わるとか。
例えばコンビニでレジに並んでいて、僕の前のおじさんが万札を出した上に領収書をもらってるとか。
例えば急いでメールを送りたいのにスマホの電波がつながらないとか。
例えば珍しく仕事が定時で帰れたと思ったら電車が車両事故で完全に止まってるとか・・・。
例えばご飯を食べていたら舌を噛んで口内炎になったとか。

いやほんとに些細なことなんですが、全くツイてない、何かやろうとする度に一通り全部つまづく、すんなり行くことなんて一つもない。これはもう運気の流れが良くないとしか言いようがないのです。

だから僕もアッシュにお願いです。

「アッシュ、僕のこの悪い運気をどうにかしてちょうだいな」

よろしく!

それは自力でにゃんとかしなさい。(by アッシュ)

 

著者:ねこたろう

カフェブランは横浜市青葉区にある保護猫カフェです。ここに以前、「アッシュ」という名前の白黒模様の猫がいました。アッシュは1才半という若い年齢でこの世を去りました。お店の一角には今も祭壇が飾られています。

保護猫カフェなので、もちろんお客さんは店内の猫と遊ぶために来店しますが、カフェブランではこのアッシュに会いにくるお客さんも多いのです。その理由は・・・。

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僕が初めてアッシュに会ったのは、2014年の暮れのことでした。

いわゆる猫らしい猫といいますか、手足が長く運動能力に長けていて大ジャンプが得意。おもちゃにもよく食いつき、飽きることなくずっと一緒に遊んでいたものです。

アッシュには小春という名前の兄妹がいました。小春はすぐに里親さんが決まりましたが、アッシュはなかなかお声がかからず・・・。

成長するに連れて以前ほどは遊んでくれなくなり、寝ていることが多くなりましたね。

体は大きくなっても他の猫に喧嘩を売っては返り討ちにあい、オーナーの岡本さんに泣きついては甘えていたそうです。岡本さん曰く「ヘタレの」アッシュ。風邪を引いて薬を飲まなくてはならないときにも、何とか逃げようと試みるのですが、あっさり捕まって薬を飲まされる。そんな様子を僕は笑いながら眺めていました。

2016年の2月になってついに里親さんのお声がかかります。1年以上をカフェブランで過ごし、みんなに愛されたアッシュもついに卒業、感慨深いものがあるなあ・・と寂しい思いをしていた矢先のこと。

トライアル中に突然死という不幸に見舞われるのです。

1才という若い年齢、スマートな体型で元気いっぱいに走り回る姿、健康上の問題など微塵も感じなかっただけに、周りに与える衝撃と悲しみは計り知れないものでした。

アッシュの亡骸は亡くなった翌日にお店に届けられました。閉店後の店内でひとり崩れ落ちて号泣する岡本さん。その悲しみの後にひとつの決意をするのです。

それはアッシュをカフェブランの家族として迎え入れること。アッシュが一番居たい場所はどこなのかを考えた時に、やはりその一生の大半を過ごして思い出もたくさん詰まったこの場所にいるのが一番幸せだろうと考えたのです。以来、アッシュは守護天使としてお店に出入りする猫も人も見守り続けています。

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それからしばらくして、僕がカフェブランを訪ねたときに岡本さんは言ったのです。

「アッシュはね、亡くなってからの方がよく働くんですよ・・・」

「?」

首をかしげる僕に岡本さんは話してくれました。

少し前に、お店のご近所に譲渡した猫の脱走騒ぎがあったそうです。完全室内飼いが当たり前の現在、猫一匹の脱走はもう一大事です。管轄保健所や警察署への連絡、人の手配、捕獲器の設置、チラシを作成して近隣へ配布などなど、ボランティアさんが総出で捜索を行うことも珍しくありません。

困ったときの何とかではないですが、岡本さんはアッシュの祭壇にもお願いしたそうです。

「アッシュ、その子にお家に帰るように言ってちょうだい!」

すると何ということか・・・ その翌日にひょっこりと玄関先に帰って来たとのこと。

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またある時は…

お店にパンチョという名前の問題児がいまして、マーキングがひどかったのです。お店の壁やカーテンなどあらゆる場所にスプレーをします。掃除ももちろん大変ですが何よりもその原因が何なのか、多頭の生活がストレスになっているのかも?などと頭を痛める毎日です。

困り果てた岡本さんはまた祭壇に向かいます。
「アッシュ、パンチョのこと何とかならないかしら?」

するとたまたま、一頭飼いで面倒を見てくれる預かりさんにご縁がつながり、そこのお宅へ行くことになりました。その後は嘘のようにスプレーをしなくなったそうです。そりゃ一頭だからストレスもないしごもっともですが、そんなタイミングよく一頭飼いのご縁なんてそうあるもんじゃないですしね。だから間違いなくアッシュのおかげだと思うのです。

さらにその後パンチョは無事に里親さんも見つかり、のんびり暮らしているようです。

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その後もお店で猫が怪我をしたとか、ちょっと具合が悪いとかいうたびにアッシュにお願いする岡本さんなのでした。

今ではアッシュ神社と化したその祭壇には、話を聞きつけたお客さんもお願いごとをしていくようになっています。

そなたの望みをかにゃえよう

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以前僕は、どうも最近運気の流れが悪いようだという記事を書かせていただきました。

その流れは今も続いておりまして、何かとうまくいかない日々なのです。まあ、一つひとつは些細なことなんですけどね。

例えばちょうど大事な予定がある日に台風接近とか。
例えばずっと使っていたDVDレコーダーが急に壊れたとか。
例えば道を歩いていて信号がことごとく赤に変わるとか。
例えばコンビニでレジに並んでいて、僕の前のおじさんが万札を出した上に領収書をもらってるとか。
例えば急いでメールを送りたいのにスマホの電波がつながらないとか。
例えば珍しく仕事が定時で帰れたと思ったら電車が車両事故で完全に止まってるとか・・・。
例えばご飯を食べていたら舌を噛んで口内炎になったとか。

いやほんとに些細なことなんですが、全くツイてない、何かやろうとする度に一通り全部つまづく、すんなり行くことなんて一つもない。これはもう運気の流れが良くないとしか言いようがないのです。

だから僕もアッシュにお願いです。

「アッシュ、僕のこの悪い運気をどうにかしてちょうだいな」

よろしく!

それは自力でにゃんとかしなさい。(by アッシュ)

 

著者:ねこたろう