アニマルライフの竹堂(たけどう)です。
本日は、埼玉浦和にて執筆中です。先日は故郷岡山県井原市に帰省しておりました。

幼少期、我が家には「たま」「ふじ」(昭和な名前ですね)という、キジトラ柄(たま)と真っ白なにゃんこ(ふじ)がいました。僕は幼いころから「たま」「ふじ」と一緒に遊び、寝ていました。冬になると水道管が凍るぐらい寒い山の中で生まれ過ごした幼少期、朝起きると「たま」「ふじ」がいて体が重くて、温かくて、今でも実家に帰省するとキャラクター柄のタオルケットとタマとふじの匂いを思い出し懐かしさと寂しさが交差します。

ふじ。実家に1枚だけ残っていました。

実家には犬も複数いました。そのうちの1頭であるミミと、幼いころの僕。

にゃんこマガジンとの出会いによって、あのころを思い出すことができているこのごろです。

 

生体販売撤廃による売上への影響

前回、「ペットショップを卒業」し、「生体販売止めた」アニマルライフが、大変厳しい事業環境に直面していることに触れました(2017年3月現在も厳しい状況は大きくは変わりありません)。その中で、本当に「生体販売」を止めたことが直接的な原因であったのか?ということですが、結論から言えば、「売上的な影響」はやはり大きいと考えています。

理由としては、1頭数十万円ものニャンコやワンコの販売価格と、販売した生体に紐づく形で商品(フードや雑貨など)のご購入、トリミングなどのご利用に繋がったりするため、収益力が非常に大きいことです。まさに「ペットショップ」の根幹を支えていたと思います。

一方、新しい子たちを受け入れて(仕入れですね)販売するまでは、スタッフによるお世話が必要ですし、場所代もかかります。もちろん食費も。何より、ご縁が短期間であれば良いのですが、そうではない子たち(売れ残り)が必ず出てしまいます。

ペットショップ時代の千葉本店。外観からも子犬や子猫をウリにしていたことがよくわかります。

 

売れ残ったペットはどうなるのか?

当店の前身「ペットのジャングル」では、売れ残ってしまった子たちをどうしていたと思われますか?

売れ残った子たちは、ずっとお店でお世話し続けています。だから現在も、千葉本店、南行徳店の両店舗には合わせて10頭近いシニアのワンコたちがいます(ニャンコはもういません)。この「元商品」だった子たちも含め、お世話をし続ける費用を考えると「生体販売」は事業として成立しにくいはずなのです。昨年10月から事業運営に関わった素人の私だからこその考えかもしれませんが、そう思うのです。

南行徳店に入る保護犬のニイナと僕。ニイナは畑の中を一人で歩いていたそう。いつも少し怯えていますが、優しいワンコです。

 

アニマルライフでは現在、譲渡を通じて過去に販売していたワンコ(ニャンコはいません)の里親を探し続けています。譲渡対象動物は店内に常設で展示、大規模な譲渡会は千葉店と南行徳店と交代で月1回実施しています。そういった活動により、私が就任する前からたくさんのご家族に里親さんになっていただきました。

卒業生のミニー。今は「むぎ」という名前を付けてもらい、幸せニャンコになっています。

 

売れ残ったワンコたちの譲渡に注力しているのは、我々が里親譲渡活動を行うには、「まず今まで店頭で販売してきた子たちに幸せになってもらわなければならない」との考えからです。並行して千葉市動物保護指導センターからも、ニャンコやワンコをお預かりし、同様に里親譲渡を続けていますが、元商品だった彼らの幸せがあって、家族がいて初めて、悲しい思いをしてセンターにやって来た子たちが幸せになるお手伝いができると思うのです。

保護猫のうに(手前)とトロは、センターへ持ち込まれた子たち。きつい首輪が付いていたため、今も首回りの毛が生えません。うには一度もらわれたものの、再度センターへ戻ったという経緯あり。

 

「生体販売は儲からない」

就任した昨年10月末、以前にゃんこマガジン内でも「生体販売は儲からないのでは?」という視点で、保護猫写真家のねこたろうさんコラムを書かれていらっしゃいました。その中に、「お世話をすると1頭あたり1カ月1万円程度のコストが発生する」という内容がありました。1頭あたり1カ月=1万円という試算は(病気を持っていない子たちという前提です)、実はかなりリアリティがある数字だと思います。もちろん、エリアによって場所代や人件費も異なるとは思いますが。

現在いる両店舗合わせて10頭近い元「商品」のシニアワンコたちは、年間では120万円の生活費がかかっている計算になります。10年以上に共に暮らしている子たちが多いので、累積では1,200万円以上の試算となります。さらに、アニマルライフのシニアワンコたちは、資産として計算します。つまりその資産は過去の子犬時代の販売価格で計上されるということになり、当時の販売価格が20万円であれば20万円×10頭で200万円。現在、ありがたいことにたくさんの里親さんが見つかっているため、譲渡完了の都度、この資産から減損されております。

4月15日の譲渡会の様子(南行徳店)。おかげさまで大勢のお客さまで賑わいました。

 

生活費+減損。命を数値に置き換えるというこのような内容は書きたくないのですが、それが現実なのです。上記は仮の計算ですので、緻密な計算をすると、店舗側の負担はさらに上回るのではと思っています。

経営素人の、まだまだ新米社長の私の考えなので、ズレているかもしれません。でも、生体販売を行うことで、瞬間の売上と利益は上がるけれど、アニマルライフのように継続的に生活費(在庫の維持費)がかかる構造の場合、「生体販売」そのものが事業としては成り立ちにくいのではないか?という仮説立てができると思うんです。

その仮説が正しいか?僕たちが生体販売を止めたその決断が、その活動が、この仮説を証明することができのるか?それによって、アニマルライフの活動が、ワンコやにゃんことの出会いの一つの選択として、社会に広く認知されるのではと思っています。

ひじき、5歳くらいのセンターから来た男の子。保護の経緯や詳細は不明。

著者:アークス竹堂佳紀

アニマルライフの竹堂(たけどう)です。
本日は、埼玉浦和にて執筆中です。先日は故郷岡山県井原市に帰省しておりました。

幼少期、我が家には「たま」「ふじ」(昭和な名前ですね)という、キジトラ柄(たま)と真っ白なにゃんこ(ふじ)がいました。僕は幼いころから「たま」「ふじ」と一緒に遊び、寝ていました。冬になると水道管が凍るぐらい寒い山の中で生まれ過ごした幼少期、朝起きると「たま」「ふじ」がいて体が重くて、温かくて、今でも実家に帰省するとキャラクター柄のタオルケットとタマとふじの匂いを思い出し懐かしさと寂しさが交差します。

ふじ。実家に1枚だけ残っていました。

実家には犬も複数いました。そのうちの1頭であるミミと、幼いころの僕。

にゃんこマガジンとの出会いによって、あのころを思い出すことができているこのごろです。

 

生体販売撤廃による売上への影響

前回、「ペットショップを卒業」し、「生体販売止めた」アニマルライフが、大変厳しい事業環境に直面していることに触れました(2017年3月現在も厳しい状況は大きくは変わりありません)。その中で、本当に「生体販売」を止めたことが直接的な原因であったのか?ということですが、結論から言えば、「売上的な影響」はやはり大きいと考えています。

理由としては、1頭数十万円ものニャンコやワンコの販売価格と、販売した生体に紐づく形で商品(フードや雑貨など)のご購入、トリミングなどのご利用に繋がったりするため、収益力が非常に大きいことです。まさに「ペットショップ」の根幹を支えていたと思います。

一方、新しい子たちを受け入れて(仕入れですね)販売するまでは、スタッフによるお世話が必要ですし、場所代もかかります。もちろん食費も。何より、ご縁が短期間であれば良いのですが、そうではない子たち(売れ残り)が必ず出てしまいます。

ペットショップ時代の千葉本店。外観からも子犬や子猫をウリにしていたことがよくわかります。

 

売れ残ったペットはどうなるのか?

当店の前身「ペットのジャングル」では、売れ残ってしまった子たちをどうしていたと思われますか?

売れ残った子たちは、ずっとお店でお世話し続けています。だから現在も、千葉本店、南行徳店の両店舗には合わせて10頭近いシニアのワンコたちがいます(ニャンコはもういません)。この「元商品」だった子たちも含め、お世話をし続ける費用を考えると「生体販売」は事業として成立しにくいはずなのです。昨年10月から事業運営に関わった素人の私だからこその考えかもしれませんが、そう思うのです。

南行徳店に入る保護犬のニイナと僕。ニイナは畑の中を一人で歩いていたそう。いつも少し怯えていますが、優しいワンコです。

 

アニマルライフでは現在、譲渡を通じて過去に販売していたワンコ(ニャンコはいません)の里親を探し続けています。譲渡対象動物は店内に常設で展示、大規模な譲渡会は千葉店と南行徳店と交代で月1回実施しています。そういった活動により、私が就任する前からたくさんのご家族に里親さんになっていただきました。

卒業生のミニー。今は「むぎ」という名前を付けてもらい、幸せニャンコになっています。

 

売れ残ったワンコたちの譲渡に注力しているのは、我々が里親譲渡活動を行うには、「まず今まで店頭で販売してきた子たちに幸せになってもらわなければならない」との考えからです。並行して千葉市動物保護指導センターからも、ニャンコやワンコをお預かりし、同様に里親譲渡を続けていますが、元商品だった彼らの幸せがあって、家族がいて初めて、悲しい思いをしてセンターにやって来た子たちが幸せになるお手伝いができると思うのです。

保護猫のうに(手前)とトロは、センターへ持ち込まれた子たち。きつい首輪が付いていたため、今も首回りの毛が生えません。うには一度もらわれたものの、再度センターへ戻ったという経緯あり。

 

「生体販売は儲からない」

就任した昨年10月末、以前にゃんこマガジン内でも「生体販売は儲からないのでは?」という視点で、保護猫写真家のねこたろうさんコラムを書かれていらっしゃいました。その中に、「お世話をすると1頭あたり1カ月1万円程度のコストが発生する」という内容がありました。1頭あたり1カ月=1万円という試算は(病気を持っていない子たちという前提です)、実はかなりリアリティがある数字だと思います。もちろん、エリアによって場所代や人件費も異なるとは思いますが。

現在いる両店舗合わせて10頭近い元「商品」のシニアワンコたちは、年間では120万円の生活費がかかっている計算になります。10年以上に共に暮らしている子たちが多いので、累積では1,200万円以上の試算となります。さらに、アニマルライフのシニアワンコたちは、資産として計算します。つまりその資産は過去の子犬時代の販売価格で計上されるということになり、当時の販売価格が20万円であれば20万円×10頭で200万円。現在、ありがたいことにたくさんの里親さんが見つかっているため、譲渡完了の都度、この資産から減損されております。

4月15日の譲渡会の様子(南行徳店)。おかげさまで大勢のお客さまで賑わいました。

 

生活費+減損。命を数値に置き換えるというこのような内容は書きたくないのですが、それが現実なのです。上記は仮の計算ですので、緻密な計算をすると、店舗側の負担はさらに上回るのではと思っています。

経営素人の、まだまだ新米社長の私の考えなので、ズレているかもしれません。でも、生体販売を行うことで、瞬間の売上と利益は上がるけれど、アニマルライフのように継続的に生活費(在庫の維持費)がかかる構造の場合、「生体販売」そのものが事業としては成り立ちにくいのではないか?という仮説立てができると思うんです。

その仮説が正しいか?僕たちが生体販売を止めたその決断が、その活動が、この仮説を証明することができのるか?それによって、アニマルライフの活動が、ワンコやにゃんことの出会いの一つの選択として、社会に広く認知されるのではと思っています。

ひじき、5歳くらいのセンターから来た男の子。保護の経緯や詳細は不明。

著者:アークス竹堂佳紀