おぉ~、帰ったかい。
この暑い中に使いを頼んで悪かったねぇ。まぁまぁ上がって、冷たい麦茶でも飲んでおくれ。
何?麦なら茶よりもビールにしてくれって?
そうしてやりたいのは山々だがね、お前さんの酒癖の悪さはここいらじゃ評判だ。悪いこたぁ言わないから麦茶にしておきな。
あー、もぉそんな真っ赤になって暑い暑いと嫌みを言うんじゃないよ。
わかったわかった。
そしたらこうしよう。ビールを飲ませてやることはできないが、その代わりに涼しくなる話を聞かせてやろうじゃないか。
実はね・・・
最近この界隈に、「猫また」が出るって噂があるんだか、お前さん知っているかい?
猿股じゃあない、猫まただ。
尾っぽが2本ある年老いた猫の妖怪だよ。こいつが夜な夜な現れては、人を捕って食うってんだから恐ろしいじゃないか。お前さんも、酒を飲んで酔っぱらってばかりいると、件の猫またに頭からバグリなんてことになりかねない。月夜の晩ばかりじゃないからね。くれぐれも用心するこった。
さぁどーだい?涼しくなっただろ?
おやおや、涼しいを通りすぎて青ざめちまったよ。ちょいと胆を冷やしすぎたかね。
なにもそんなに怖がることはないじゃないか。猫またが出るのは夜なんだ。日が暮れる前にまっすぐ帰れば心配するこたぁない。
なになに?お前さんちの隣で飼われている猫が、もぉ随分と年寄りだから、猫またの正体は実はそいつじゃないかって?そー考えると怖くておちおち寝てもいられないとこういうわけか。なるほど、そいつは確かに恐ろしいな。
お前さんちの隣ねぇ・・・
あぁ!そーいや猫がいたねぇ。年寄り猫。亭主に先立たれて一人で暮らしているご婦人が飼ってる猫だ。たしか三毛だったね?
なに?三毛じゃなくて後家だって?
わかってますよそのくらい。くだらないことを言うんじゃありませんよ。
なに、あの猫なら心配いらない。たいそう可愛がられているから、人を怨んで化けることもないだろう。お前さんだっていつも煮干しの頭などあげて可愛がってるじゃないか。
え?本音は猫を口実に後家さんとお近づきになりたいだけだって?
まぁあれだけの器量良しで未亡人とあっちゃ、お前さんの気持ちもわからなくもないけどね・・・
実はここだけの話。
あの後家さんこそ何やら怪しげな噂があるんだよ。
若くして亭主を亡くしてるだろ?そんなもんだから、次は自分がと言い寄る男は後をたたない。しかしどうしたもんか、死んだ亭主を含め、恋仲になった男はみんな病でポックリと言うじゃないか。そこで、あの後家さん、実は美女に化けて男の精気を貪る猫また「仙狸」じゃないか。とこういうわけさ。
まぁ、大方は古女房達のやっかみなんだろうけれどもね。
信じるか信じないかはあなた次第です。
なに?自分も独り者だし、あの美貌なら精気を吸われても構わないから所帯が持ちたいだって?馬鹿なことを言うねぇ。
やめときなやめときな。仮に所帯が持てたところですぐに離縁なんてのがオチさ。
なんでそんなことがわかるのかって?
そりゃわかる。
猫まただけに、すぐにお別れ(尾分かれ)ってね。
おぉ~、帰ったかい。
この暑い中に使いを頼んで悪かったねぇ。まぁまぁ上がって、冷たい麦茶でも飲んでおくれ。
何?麦なら茶よりもビールにしてくれって?
そうしてやりたいのは山々だがね、お前さんの酒癖の悪さはここいらじゃ評判だ。悪いこたぁ言わないから麦茶にしておきな。
あー、もぉそんな真っ赤になって暑い暑いと嫌みを言うんじゃないよ。
わかったわかった。
そしたらこうしよう。ビールを飲ませてやることはできないが、その代わりに涼しくなる話を聞かせてやろうじゃないか。
実はね・・・
最近この界隈に、「猫また」が出るって噂があるんだか、お前さん知っているかい?
猿股じゃあない、猫まただ。
尾っぽが2本ある年老いた猫の妖怪だよ。こいつが夜な夜な現れては、人を捕って食うってんだから恐ろしいじゃないか。お前さんも、酒を飲んで酔っぱらってばかりいると、件の猫またに頭からバグリなんてことになりかねない。月夜の晩ばかりじゃないからね。くれぐれも用心するこった。
さぁどーだい?涼しくなっただろ?
おやおや、涼しいを通りすぎて青ざめちまったよ。ちょいと胆を冷やしすぎたかね。
なにもそんなに怖がることはないじゃないか。猫またが出るのは夜なんだ。日が暮れる前にまっすぐ帰れば心配するこたぁない。
なになに?お前さんちの隣で飼われている猫が、もぉ随分と年寄りだから、猫またの正体は実はそいつじゃないかって?そー考えると怖くておちおち寝てもいられないとこういうわけか。なるほど、そいつは確かに恐ろしいな。
お前さんちの隣ねぇ・・・
あぁ!そーいや猫がいたねぇ。年寄り猫。亭主に先立たれて一人で暮らしているご婦人が飼ってる猫だ。たしか三毛だったね?
なに?三毛じゃなくて後家だって?
わかってますよそのくらい。くだらないことを言うんじゃありませんよ。
なに、あの猫なら心配いらない。たいそう可愛がられているから、人を怨んで化けることもないだろう。お前さんだっていつも煮干しの頭などあげて可愛がってるじゃないか。
え?本音は猫を口実に後家さんとお近づきになりたいだけだって?
まぁあれだけの器量良しで未亡人とあっちゃ、お前さんの気持ちもわからなくもないけどね・・・
実はここだけの話。
あの後家さんこそ何やら怪しげな噂があるんだよ。
若くして亭主を亡くしてるだろ?そんなもんだから、次は自分がと言い寄る男は後をたたない。しかしどうしたもんか、死んだ亭主を含め、恋仲になった男はみんな病でポックリと言うじゃないか。そこで、あの後家さん、実は美女に化けて男の精気を貪る猫また「仙狸」じゃないか。とこういうわけさ。
まぁ、大方は古女房達のやっかみなんだろうけれどもね。
信じるか信じないかはあなた次第です。
なに?自分も独り者だし、あの美貌なら精気を吸われても構わないから所帯が持ちたいだって?馬鹿なことを言うねぇ。
やめときなやめときな。仮に所帯が持てたところですぐに離縁なんてのがオチさ。
なんでそんなことがわかるのかって?
そりゃわかる。
猫まただけに、すぐにお別れ(尾分かれ)ってね。