約1カ月前、にゃんこマガジンの記事で、「タイコウクロノーブキャットシェルター」公開ルームのアイドル、かえでちゃんを紹介させていただきました。タイコウクロノーブキャットシェルターは、もりねこ5階にあるFIVキャリアの猫たちのための施設。かえでちゃんも、FIV陽性の猫さんです。記事では「いつかすてきな家族ができるのを楽しみに待っていようね、かえでちゃん」で締めくくりましたが、その後まもなく素敵な里親様が家族に迎えてくださり、2017年最後の卒業猫となりました。
里親様から現在のかえでちゃん(現:モナちゃん)の写真をお送りいただきました。
FIVキャリアであり、抜歯手術を受けている彼女ですが、それら全てご理解いただいた上でのお迎えでした。「出会い」というものを考えると、「この子と一緒に暮らしていきたい」と直感的に思うものもあったのかと想像します。
お迎え時は、里親様がお持ちになったキャリーケースの蓋を開けた途端自ら進んで入っていき、まるで出発を待っているかのようでした。相思相愛の雰囲気を漂わせているような、微笑ましい卒業の一コマとなりました。これからのニャン生いっぱい、パパママに甘えて暮らせることでしょう。
FIVは一般に「ネコエイズ」と呼ばれます。人への感染はないということや、抗体を持っていても発症せず生涯を終えることもあるということを知っている人は多いかと思います。しかしながら、まだまだ、怖い病気だとか可哀そうだとかいう、「何となく」の印象の方が独り歩きしていることも否めません。
以前お客様に「公開ルームは、何となく可哀そうな猫がいるのかなと思って、なかなか訪れる勇気がありませんでした。でも来てみたらみんな普通に元気で人懐こくて驚きました」と言われたことがあります。そうなのです。特に、もりねこの公開ルームで暮らしている猫たちは人が大好き、というメンバーが多く揃っていることもあり、とても賑やかなのです。その代表格がかえでちゃんでした。
FIVキャリアだというだけで、過度に怖がる必要はなく、反対に何も知識を身につけず無責任に健康を害するような飼育をすることは、この病気に関係なくしてはならないことです。人も猫も生きていれば病気になることは当たり前にあります。たまたまFIVキャリアということで「可哀そう」と思うのは、可愛い猫たちに出会うチャンスを逃しているかもしれなく、もったいないです!
当シェルターは今月で1周年を迎えます。近々、公開ルームとしては初となる、生後半年未満の猫たちも仲間入りする予定です。これはますます賑やかになる予感がしますね。
ご友人、ご家族でのご利用はもちろん楽しいと思いますし、盛岡市の中心地、駅から徒歩10分という場所柄、どなたかとの待ち合わせ前、お時間があいてしまった時などにお一人でふらっとお立ち寄りいただくのもおススメです。猫と一緒に寝っ転がってもよし(他のお客様にご迷惑にならない程度にですが)、猫に囲まれて読書にふけってもよし、ぜひ、もりねこタイコウクロノーブキャットシェルターで思い思いの楽しみ方を見つけていただければ幸いです。
<もりねこについて>
もりねこは、さまざまな事情で保護された猫たちを新しい家族のもとへ繋ぐための施設として2014年にオープンしました。「猫も人も幸せになれる社会」を実現するため、猫の保護と譲渡活動の他、適正飼育の啓発、命の大切さを伝える教育活動などにも力を入れています。
著者:もりねこ