ノブ君

人にも猫にも愛される、イケにゃんフロアマネージャー。とっても温厚で、仔猫(時にはおとな猫にも!)におっぱい吸われても怒りません!(男の子です)

猫とお客さまを繋ぐ場所。“猫カフェ”を巡るそれぞれのストーリー(5)

「動物と住む」ことは、猫に限らず、一緒に暮らすと共に、その命をまっとうするまで責任を見ることだ。今の自分の生活スタイルでは無理な話だが、いつか環境の良い場所に移り住んだら、猫や好きな動物と一緒に住みたいという思いはある。それに、私は猫好きの方からするとかなり猫に疎い。一緒に生活するには、もっと猫のことを知る必要がある。猫と住もうと決めてから、保護猫譲渡会や保護猫カフェで出会い、引き取られる方は責任を持って行動していると思うが、私にはまだその資格はない。影ながら、全国で保護猫カフェを営まれ、その他の活動にも携わる人を応援できればと思う。

猫と人、それぞれの幸せを願う場所―保護猫カフェもりねこ

20160820 ①外観 (2)

レンガ色の建物の2階からは、やわらかなタッチで描かれた看板が目に入ります。

内装

魅力的な猫スタッフだけでなく、バラエティ豊かな猫雑貨が豊富に揃います。売上の一部は猫の保護活動資金として使われます。

今回お話を伺ったのは、岩手県盛岡市にある「猫カフェ もりねこ」の工藤さん。
盛岡市初の、猫の保護と里親探しのための猫カフェとして、2014年1月にオープンしました。盛岡駅からほど近いところにあるお店はアクセスが良く、さまざまな地域からお客さまが訪れます。中に入ると、看板猫であるシロちゃん、猫店長のミケちゃん、フロアマネージャーをつとめるノブくんの3匹と、常時20~30匹の保護猫たちがお客さまを出迎えてくれます。

ミケちゃん_a

マイペースな猫店長。「かわいい」がお仕事です!

ミケちゃん_b

ミケちゃんは、時々気が向いたらお客さまのお相手をしています。

「元々は単純に猫が好きで、ブリーダーから買った猫と暮らし始めたのが、猫の魅力にどんどんはまっていきました。幸せそうにくつろいでいる飼い猫を見ているうちに、外で暮らしている猫はどうしているのだろう?と思い、野良猫や殺処分の現状を調べているうちにあまりにも悲惨な現状を知りました。そして、そんな猫を保護する活動や保護猫カフェというものがあることを知り、自分も猫のために働いて社会貢献したいと考えるようになったのが、店舗運営に関わるきっかけです」。

大きな志を持って、保護猫カフェでの活動をスタートさせた工藤さん。お店に来る保護猫は元々野良猫が多く、からだのコンディションもさまざま。日々一匹ごとの体調に目を配って、店舗運営を行っています。愛情をかけられている保護猫たちは、元気いっぱいの子猫から落ちついた大人猫まで個性豊か。人懐っこい子から、恥ずかしがり屋な子までそれぞれ魅力があり、新しい家族との出会いを待ちながら訪れるお客さまを迎えてくれます。

しかし、ワクチンや避妊手術など、猫たちの体調管理に関わる医療費の負担が、どうしても重くのしかかります。工藤さんは「NPO法人もりねこ」の代表理事になっており、支援を募りながら保護猫の譲渡や引取を行っています。現在は店舗の他に専用の保護施設がないため、保護主さんや預かりボランティアさんの協力も必要不可欠です。

「今まで沢山の保護猫を送り出してきましたが、特に菊蔵くんのことは忘れられません。菊蔵くんは、保健所から引き取った猫でした。多頭飼育崩壊の果てに9匹もの猫が保健所に持ち込まれたのですが、多くの猫がFIV(猫エイズ)に感染していたため即日殺処分が決定していました。無理を言って全頭を引き取らせてもらったものの、その中でも一番の高齢だったのが菊蔵くんでした。

幸いボランティアの方の協力もあり、菊蔵くん以外の猫たちは預かり先や里親さんが見つかりましたが、高齢でFIVキャリアの菊蔵くんに里親さんが現れることは難しいだろう、お店で最後まで看取ってあげようと半ば諦めムードでした。けれど、人懐っこく甘え上手な菊蔵くんはお店で人気の猫になったんです。そんな菊蔵くんを家族にしたいと申し出てくれたのは、小さな女の子でした。ご家族と一緒に年齢のことやFIVの説明をし、正直あまりお勧めはできないということを伝えましたが、一番好きな猫だからとその子の意思は変わりませんでした。今でも家族の一員として大切に可愛がってくださっています。

野良猫を保護する上で、FIVキャリア猫の問題を避けて通ることはできません。
感染や発症のリスクはあるものの、発症しなければ普通の猫と変わらずに生きることができるのです。FIVを受け入れることは里親探しが難航する可能性が高くリスクもありますが、菊蔵くんはFIVへの誤解や偏見を失くしていくための勇気をくれた猫でした」。

シロちゃん_b

気配り上手な営業部長。もりねこの看板猫です!口もとのドロボー柄がイケてるにゃん!

シロちゃん_a

なでなでOK!抱っこもOK!なでなでOK!抱っこもOK!

菊蔵くんとの出会いから、高齢や病気等のハンディを超える魅力によって新しい家族と出会えるチャンスがあると知った工藤さん。細心のケアで日々猫たちに接していますが、店内には堅苦しい雰囲気は微塵もなく、猫とお客さまが心地よく過ごせる、気持ちのよい空間を作り出しています。また、店内には地域の福祉事業所と共同で制作している雑貨や、ハンドメイド作家の作品がバラエティ豊富に揃っており、自分用の他に猫好きな友人へのプレゼントを探せるスペースにもなっています。

「今後の展望は店舗以外に猫をしっかりとケアするための保護施設の開設を目指しています。今はその準備段階ですが、保護猫の現状を知ってもらうためのイベントなどを行っています。年に数回、保健所と共催で写真展やパネル展を開催しており、今後は市内のイベントスペースを使って、猫雑貨やハンドメイド作品を集めたイベントの企画を予定しています。人懐っこい猫が可愛いのはもちろんですが、人に慣れていない猫が徐々に心を開いていく変化の様子を見守りながら、一緒に保護猫の行く末を応援してくれるお客さまが多く、感謝しています。日々、こつこつと店舗運営や保護猫活動を行っていくことで、人も猫も幸せになれる社会を目指す手助けができればと思います」。

盛岡市は東北有数の情緒がある街で、散歩するだけでも楽しいところ。もし訪れる機会があったら、もりねこで個性的な猫たちに会いに行ってはいかがでしょうか?

もりねこ

保護猫は卒業する猫がいたり、新たに入居する猫がいて入れ替わりますが、もりねこにいる間は常駐する猫スタッフと仲良く暮らしています

 

猫カフェ もりねこ
公式サイト:http://morinekocafe.wix.com/morineko
アクセス:岩手県盛岡市菜園2丁目6−6三栄ビル2F
営業時間:AM11:00~PM19:00(最終受付PM18:30)水曜日定休

ノブ君

人にも猫にも愛される、イケにゃんフロアマネージャー。とっても温厚で、仔猫(時にはおとな猫にも!)におっぱい吸われても怒りません!(男の子です)

猫とお客さまを繋ぐ場所。“猫カフェ”を巡るそれぞれのストーリー(5)

「動物と住む」ことは、猫に限らず、一緒に暮らすと共に、その命をまっとうするまで責任を見ることだ。今の自分の生活スタイルでは無理な話だが、いつか環境の良い場所に移り住んだら、猫や好きな動物と一緒に住みたいという思いはある。それに、私は猫好きの方からするとかなり猫に疎い。一緒に生活するには、もっと猫のことを知る必要がある。猫と住もうと決めてから、保護猫譲渡会や保護猫カフェで出会い、引き取られる方は責任を持って行動していると思うが、私にはまだその資格はない。影ながら、全国で保護猫カフェを営まれ、その他の活動にも携わる人を応援できればと思う。

猫と人、それぞれの幸せを願う場所―保護猫カフェもりねこ

20160820 ①外観 (2)

レンガ色の建物の2階からは、やわらかなタッチで描かれた看板が目に入ります。

内装

魅力的な猫スタッフだけでなく、バラエティ豊かな猫雑貨が豊富に揃います。売上の一部は猫の保護活動資金として使われます。

今回お話を伺ったのは、岩手県盛岡市にある「猫カフェ もりねこ」の工藤さん。
盛岡市初の、猫の保護と里親探しのための猫カフェとして、2014年1月にオープンしました。盛岡駅からほど近いところにあるお店はアクセスが良く、さまざまな地域からお客さまが訪れます。中に入ると、看板猫であるシロちゃん、猫店長のミケちゃん、フロアマネージャーをつとめるノブくんの3匹と、常時20~30匹の保護猫たちがお客さまを出迎えてくれます。

ミケちゃん_a

マイペースな猫店長。「かわいい」がお仕事です!

ミケちゃん_b

ミケちゃんは、時々気が向いたらお客さまのお相手をしています。

「元々は単純に猫が好きで、ブリーダーから買った猫と暮らし始めたのが、猫の魅力にどんどんはまっていきました。幸せそうにくつろいでいる飼い猫を見ているうちに、外で暮らしている猫はどうしているのだろう?と思い、野良猫や殺処分の現状を調べているうちにあまりにも悲惨な現状を知りました。そして、そんな猫を保護する活動や保護猫カフェというものがあることを知り、自分も猫のために働いて社会貢献したいと考えるようになったのが、店舗運営に関わるきっかけです」。

大きな志を持って、保護猫カフェでの活動をスタートさせた工藤さん。お店に来る保護猫は元々野良猫が多く、からだのコンディションもさまざま。日々一匹ごとの体調に目を配って、店舗運営を行っています。愛情をかけられている保護猫たちは、元気いっぱいの子猫から落ちついた大人猫まで個性豊か。人懐っこい子から、恥ずかしがり屋な子までそれぞれ魅力があり、新しい家族との出会いを待ちながら訪れるお客さまを迎えてくれます。

しかし、ワクチンや避妊手術など、猫たちの体調管理に関わる医療費の負担が、どうしても重くのしかかります。工藤さんは「NPO法人もりねこ」の代表理事になっており、支援を募りながら保護猫の譲渡や引取を行っています。現在は店舗の他に専用の保護施設がないため、保護主さんや預かりボランティアさんの協力も必要不可欠です。

「今まで沢山の保護猫を送り出してきましたが、特に菊蔵くんのことは忘れられません。菊蔵くんは、保健所から引き取った猫でした。多頭飼育崩壊の果てに9匹もの猫が保健所に持ち込まれたのですが、多くの猫がFIV(猫エイズ)に感染していたため即日殺処分が決定していました。無理を言って全頭を引き取らせてもらったものの、その中でも一番の高齢だったのが菊蔵くんでした。

幸いボランティアの方の協力もあり、菊蔵くん以外の猫たちは預かり先や里親さんが見つかりましたが、高齢でFIVキャリアの菊蔵くんに里親さんが現れることは難しいだろう、お店で最後まで看取ってあげようと半ば諦めムードでした。けれど、人懐っこく甘え上手な菊蔵くんはお店で人気の猫になったんです。そんな菊蔵くんを家族にしたいと申し出てくれたのは、小さな女の子でした。ご家族と一緒に年齢のことやFIVの説明をし、正直あまりお勧めはできないということを伝えましたが、一番好きな猫だからとその子の意思は変わりませんでした。今でも家族の一員として大切に可愛がってくださっています。

野良猫を保護する上で、FIVキャリア猫の問題を避けて通ることはできません。
感染や発症のリスクはあるものの、発症しなければ普通の猫と変わらずに生きることができるのです。FIVを受け入れることは里親探しが難航する可能性が高くリスクもありますが、菊蔵くんはFIVへの誤解や偏見を失くしていくための勇気をくれた猫でした」。

シロちゃん_b

気配り上手な営業部長。もりねこの看板猫です!口もとのドロボー柄がイケてるにゃん!

シロちゃん_a

なでなでOK!抱っこもOK!なでなでOK!抱っこもOK!

菊蔵くんとの出会いから、高齢や病気等のハンディを超える魅力によって新しい家族と出会えるチャンスがあると知った工藤さん。細心のケアで日々猫たちに接していますが、店内には堅苦しい雰囲気は微塵もなく、猫とお客さまが心地よく過ごせる、気持ちのよい空間を作り出しています。また、店内には地域の福祉事業所と共同で制作している雑貨や、ハンドメイド作家の作品がバラエティ豊富に揃っており、自分用の他に猫好きな友人へのプレゼントを探せるスペースにもなっています。

「今後の展望は店舗以外に猫をしっかりとケアするための保護施設の開設を目指しています。今はその準備段階ですが、保護猫の現状を知ってもらうためのイベントなどを行っています。年に数回、保健所と共催で写真展やパネル展を開催しており、今後は市内のイベントスペースを使って、猫雑貨やハンドメイド作品を集めたイベントの企画を予定しています。人懐っこい猫が可愛いのはもちろんですが、人に慣れていない猫が徐々に心を開いていく変化の様子を見守りながら、一緒に保護猫の行く末を応援してくれるお客さまが多く、感謝しています。日々、こつこつと店舗運営や保護猫活動を行っていくことで、人も猫も幸せになれる社会を目指す手助けができればと思います」。

盛岡市は東北有数の情緒がある街で、散歩するだけでも楽しいところ。もし訪れる機会があったら、もりねこで個性的な猫たちに会いに行ってはいかがでしょうか?

もりねこ

保護猫は卒業する猫がいたり、新たに入居する猫がいて入れ替わりますが、もりねこにいる間は常駐する猫スタッフと仲良く暮らしています

 

猫カフェ もりねこ
公式サイト:http://morinekocafe.wix.com/morineko
アクセス:岩手県盛岡市菜園2丁目6−6三栄ビル2F
営業時間:AM11:00~PM19:00(最終受付PM18:30)水曜日定休