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【医療相談】高齢猫用の餌を、全く食べてくれません

sanosuke11

相談内容

ネコは、高齢になると腎臓病などが多くなると言われています。そのため、ネコの餌を見てみると、高齢になるほどに腎臓に負担をかけないような成分となっています。私が飼っているネコは、餌に対する好みがはっきりとしていて、高齢猫用の餌はあまり好みではないようで、全くと言っていいほど食べてはくれません。そのため、高齢ネコの病気を防ぐには、食事内容をどのようにしたら良いのか迷っています。

以前、お腹が空けば食べるだろうと思い、数日間好みではない餌を与え続けたことがあります。結果、体調が悪くなってしまい、動物病院のお世話になったので、二度とそのようなことはしないようにしたいと思っています。健康診断や血液検査については、数カ月に1回など頻繁にやり過ぎてしまうと、採血の時に血管を傷付けることになり、高齢のネコには体への負担が大きいというアドバイスもあったので、1年から2年に1回のペースで行うようにしています。

今のところ、若干高い値を示す項目はあるものの、年齢の割にはそれほど問題が無いと言われています。高齢ですので、いつ何時何があってもおかしくないとは思いつつ、少しでも長く生きて欲しいと思っています。

 

回答

愛する猫さんと一日でも多く一緒にいられるよう、試行錯誤してこられた様子が伝わってきます。猫さんがグルメだと、高齢期の食事選びは困難を極めますよね。若いときから決められた(1種類の)銘柄しか食べないのでしょうか?そうでない場合は、もう少しだけ、色々な高齢食・腎臓病処方食をチャレンジしてみる価値があると思います。

と言いますのも、ペットフードというのは近年様々な効果をうたうパッケージが氾濫しているように感じますが、その中でも腎臓病用の処方食は明確に治療効果が認められているからです。「処方食」というのは動物病院で「処方する」フード、つまり治療目的で食べて頂くフードのことを指し、腎臓病用の処方食を食べると、その後の寿命が延びるというはっきりとした実験結果が出ています。ちなみに世界で初めて発売された処方食は、腎臓病用処方食なんですよ。

それから数十年、ペットフード業界の方々の努力のおかげで、グルメな猫さんにも納得してもらえる銘柄が多数発売されています。種類も豊富で、ドライフード(カリカリ)、缶詰、パウチ、シチュー、液状など、「処方」という味気ない名前のイメージからは想像もつかないラインナップです。ざっと数十種類くらいはありますから、諦める前に動物病院にもう一度相談してみることをお勧めします。

また、ご質問本文でおっしゃっている通り、処方食でなくとも最近の高齢猫用のフードは腎臓に配慮したものが増えてきましたね。処方食がダメならこちらを試すことになりますが、これは本当に数百種類というスケールになってきますよね。ちょっとコレ試してみたいな、という場合は、「リン」「たんぱく質」がなるべく少ないものを優先して選ぶとよいですよ。

でも、色々試してもやっぱり食べない・・・もうお手上げだ。という場合も悲観しないでください。近年、食物中に含まれる「リン」などの老廃物を取り除いてくれるサプリメントが多数発売されています。腎臓の主要な役割として、食物を消化吸収したあとの老廃物を対外に排出する機能がありますが、この老廃物をあらかじめ減らしてあげることで、腎臓に無理をかけないようにするわけです。お気に入りのフードにかけて食べてもらうパウダータイプが主流です。こちらも動物病院で相談に乗ってもらえます。

猫さんは数日食べないと肝臓に多大な負担がかかり、最悪肝不全で命にかかわる危険が出てきます。新しいフードやサプリを試す場合も、「我慢比べ」は最長24時間程度までにして、カロリー摂取は確保しましょう。

また、健康診断についてですが、確かにあまり頻繁に採血しすぎると血管に負担がかかりますが、数日に一回とかでなければそんなに気になさる必要はないかと思います。と言っても無駄に針を刺されるのもかわいそうなので、高齢の猫さんには半年に一回程度の採血をおすすめしています。猫さんの1年は、人間の4〜5年に相当しますから、それでも人間に例えると2年に1回くらいのペースです。もし、滅多に猫さんを連れ出せないとか、飼い主さんご自身がどうしても注射針が苦手とか(実は私が昔そうでした)、そういった事情がある場合は、定期的な尿検査で腎臓の状態をモニターすることもできます。

本当は尿検査も病院で採尿したほうが正確な数値が出るのですが、やむを得ない場合はおうちから尿を持参するだけでも意味のある結果が得られますよ。一日でも健康寿命を延ばすために、参考になれば幸いです。

(画像はイメージです。本文とは関係ありません)


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