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猫が盛大に滑っていたそうですね

建築学会大会が終わってしばらくしての会合で声をかけられました。

今年の日本建築学会の大会で、「猫の動作に必要な水平部材について」の基礎的考察の発表をしたのですが、その発表をご覧になった方が噂されていたそうなのです。

「動作に必要な水平部材」とか小難しい言い方をしていますが、つまり所謂「キャットウォーク(猫通路)」で、猫が走ったりジャンプしたりして、滑ったりこけたりしないようにするには、どんな素材が好ましいのか、猫親として考えてみたよ! という単純な話です。

研究を自分だけの枠で考えるのではなく、他の研究者に意見を求め、多角的に捉える事ができるのが学会の利点です。でも、他の研究者に意見を出してもらうには、それが必要な研究であることから説明しなくてはなりません。

そこで、猫の完全室内飼育という社会状況の説明をし、どのような住環境が飼い主家庭にはあるのか、私は自分の「猫と暮らす家」の設計事例を写真で紹介しました。そして、自宅や猫友の家で撮った、猫がジャンプしたり飛び降りたりした行動の写真を、できるだけ多く紹介したのです。「百聞は一見にしかず」でしょ。見れば、なぜそこに注目するのか長々説明するより実感して頂けると思ったからです。

床材の変形特性やら、粉塵の着脱性の指標やら、√とかの物理計算やら精神測定法などの言葉が飛び交う中、猫が楽しげにはしゃいでいる写真を沢山お見せしたわけです。

そりゃもう、異色です。表題のスライドを映したとたん、場の空気が変わったのは判りました。

発表している私はガチガチです。以前に学術集会の発表で、「一級建築士がペットとは何事が!」と、私は怒鳴られた事があったのです。今回も偉い先生方が顔を並べているセッション、馬鹿馬鹿しい研究と一笑に付されればまだしも、論外と突き放される恐れもあると覚悟していたからです。

でも、先生方はもちろん、会場も好意的でした。お開きになった後も、質問や指摘を頂戴できました。

後で、研究仲間がその時の会場の様子を教えてくれたのですが、いつも怖い顔をして発表を聞いている先生方が、私の時にはニコニコされていたそうです。可愛いものには、だれも勝てないのですね。猫様々です。

そして、噂は走っていて「猫が壮大に滑っていたらしい」ということになっていたみたいです。う~ん、滑り物理指標の話が主だったけど、写真は、飛び猫が主だったのですよ。滑ってないって。


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