「ようこそキャットテイルへ」生駒時代お客様をお席に案内すると机に上って挨拶しに来たファビちゃんは常連様に「女将」と呼ばれています。またムースとかが うろうろしていると「お客様のお膝に乗りなさい!」と叱りつけるようにパンチを繰り出す姿も(スタッフを叱咤する)女将みたいと言われる所以です。本当は「あとでおやつを下さいね!」とちゃっかり机でアピールし回っていること、おやつを横取りしがちなムースに猫パンチしてお仕置きしている事は内緒です(笑)。
ところでファビちゃんは紐が大好きです。着席されたお客様がパーカーの首の両側から紐を垂らしていたりすると、ご挨拶がてら ちょいちょいと手や口で弄びます。紐に丸いぼんぼりがついていたりすると、ついお互い調子に乗り、ぼんぼりを破壊したりしたこともあるので気をつけて下さいね。
ファビちゃんの得意技は「2足立ちスリスリ」です。私が手を差し出すと2足立ちして手にスリスリしてくれます。お客様からは「かわいい~!」と好評なので数回してみせます。今は私と家内しかしてくれませんが、常連様にするようになりかけているので皆様の手へスリスリする日もそう遠くはないかもしれません。
そんなファビ女将は開業メンバーのうちの1匹です。当時、宇宙猫のような小さなチンチラシルバーは、タカラトミーから発売されたファービーに似ていた事からファビと名付けられました。3才になっても1.4kgの生後数ヶ月程の子猫の大きさでした。その後少し増え10才の今では2.1kg前後で安定してますが、たまに子猫と間違えられます。後から仲間入りした子猫たちに次々と体重を追い抜かれるファビちゃん。でも一番小さくても女将としてみんなを仕切っているように見えたりするのはやはり不思議です。
2006年8月22日にグランドオープンし、初めての地域折込み広告効果が出たのは11日後の9月2日の土曜日でした。次々お越しのお客様に一安心し、内心大喜びしました。初回宣伝効果は2、3ヶ月続くと創業支援での無料コンサルタントに聞いていたので、その間にリピーターを獲得すれば軌道に乗ると思っていました。しかし多忙だったのはその日だけで翌日曜日はダウン、その後は急降下し元通りのまったりした日々が続きました。実際にはこの盛況日から三年間で それを抜くお客様数だったのは産経新聞奈良版に掲載された1年後の2007年10月28日(日)、2年後の関西の大人気TV番組「よーいどん!となりの人間国宝さん」で放映された明後日の2008年9月20日(土)だけでした。この番組をきっかけに徐々に賑わいを得たものの、その後も初回盛況日のご来店数を抜く日は生駒では年に数日しかありませんでした。生駒店でお客様が少なく気分が落ち込んでいる時、ファビちゃんは受付横のおやつ置き台にやってきて私を見つめます。
「大丈夫、何とかなるわよ!」と頻繁に励ましてくれたように思いました。猫に癒され、心が助けられたと真に感じたのはこの時かもしれません。現実的に助けられたのは、失業保険受給の申請時に親切な職員さんに教えて頂いた「受給資格者創業者支援助成金(現在は制度終了)」の300万円でした。開業翌年の2007年1月と2月に150万ずつ支給され、運転資金難を凌ぎきることができました。前職(数名の小規模会社)で社長が急死した後、株主総会で「他にやりたいことがあるので引き継ぎが終わり次第退職する」と取締役の肩書を辞退し、会社員(被雇用者)として半年後退職したために、さらには虚偽申告せず失業保険を辞退したために運良く職員さんにご案内頂けた貴重な支援金でした。話は脱線しましたが、そんな優しく小さなファビ女将は私にとっての心の恩人いや、恩猫となりました。
ファビちゃんは大猫カールスに恋をしています。でもプリンちゃんのように積極的にスリスリアピールしに行く事が出来ません。いつも一歩引いて遠くからカールスを見守っています。
そんなファビちゃんはお膝乗りする時もお客様の動向を観察してから乗るかどうか時間をかけ慎重に判断します。乗る場所は決まって下腹部、太股辺りです。膝下と比較して床からは高い位置なので小さなファビちゃんが大きく見えるからです。そしてその辺りが一番温かく柔らかいのかもしれません。ファビちゃんは初めてのお客様にも乗りますが、コツがわかっている常連様に乗る頻度は高いです。コツは簡単です。ファビちゃんが来た時は太股に置いた手を引っ込め乗るスペースを空け、スマホや書籍に夢中になり知らぬ顔してただ静かに待つのみです。乗ろうとしている時に可愛さ余って触ったりしたら逃げられます。触りたいなら乗って落ち着くまで我慢して下さいね。ありがちですが腿をポンポン叩いて「こっちにおいで!」と呼ぶ時に限って乗って来ません。それは、ほぼ全ての猫たちに当てはまるNG行動です。当店でコツを覚え実践で習得すると、他所の猫たちにもモテるようです。僭越ながら、当店発のお膝乗りマスターが全国に広がっていき、多くの猫たちが人肌の温もりを楽しむ時を長く刻める事ができれば嬉しいと存じております。