第1回 届いた訴状
西武新宿線N駅。駅から徒歩15分位のところに吉崎真左子(仮名)の住むマンションはある。総戸数84戸のマンションだ。
そんな真左子の元に裁判所から手紙が届いたのは、ある日の午後だった。見慣れぬ封筒。恐る恐る開けてみる。入っていた書類を読んでみると、それは真左子に...
第1回 届いた訴状
西武新宿線N駅。駅から徒歩15分位のところに吉崎真左子(仮名)の住むマンションはある。総戸数84戸のマンションだ。
そんな真左子の元に裁判所から手紙が届いたのは、ある日の午後だった。見慣れぬ封筒。恐る恐る開けてみる。入っていた書類を読んでみると、それは真左子に対してマンション敷地内での猫への餌やりの差し止めと、80万円の支払いを求める「訴状」であった。訴えたのはマンション管理組...
コラム
2016/1/12
第4回 保護猫のロシアンブルー
3月7日の午後10時過ぎ、真左子は日課になった猫のウンコとゲロの見回りを終えて部屋に戻った。この日は午前10時24分に普段はほとんどマンション敷地内には入ってこないグレー白のチビが正面扉の外にいるのを見つけた。午後6時45分には自転車置場で15粒く...
第4回 保護猫のロシアンブルー
3月7日の午後10時過ぎ、真左子は日課になった猫のウンコとゲロの見回りを終えて部屋に戻った。この日は午前10時24分に普段はほとんどマンション敷地内には入ってこないグレー白のチビが正面扉の外にいるのを見つけた。午後6時45分には自転車置場で15粒くらいのカリカリが地面に置かれているのを見つけた。
真佐子はパソコンで多津子にメールした。
「自転車置場で猫に餌やりをして...
コラム
2016/4/11
第3回 見えない餌やりさん
未明から猛烈な風が吹いていた。まるで台風のようだ。
ヒュー、ヒューという風の音がおぞましい。真っ直ぐに歩けないくらいの強い風だ。おそらく春一番だろう。
「猫たちは風を避ける場所をちゃんと見つけているだろうか」真左子は思った。
日課である...
第3回 見えない餌やりさん
未明から猛烈な風が吹いていた。まるで台風のようだ。
ヒュー、ヒューという風の音がおぞましい。真っ直ぐに歩けないくらいの強い風だ。おそらく春一番だろう。
「猫たちは風を避ける場所をちゃんと見つけているだろうか」真左子は思った。
日課である猫へのゴハンやりを終えて部屋に戻る。午後になると午前中の猛烈な風は嘘のようにぴたりと止んだ。
真左子はダイ...
コラム
2016/3/15