【世界のニャ窓から file #6】
タイ、バンコク、チョンノンシー。
タイの住まいの多くは、
その主がよほどの金持ちか用心深い人でなければ、
日中は門や玄関はいつも開けっ放しになっている。
そもそもそんなものが取り付けられていない建物さえある。
実に開放的だ。
そんな家の道路側には、気休めの防犯と、
「家」の境界をなんとなく示す目的かと思われる
ごく簡単な柵が立てられている。
そしてそこにはだいたい飼いネコが無防備に寝ている。
番犬ならぬ番ネコならば、いつも寝ててはいけないし、
人が近づいた起きなくてはならない。
しかし彼らは何が起きても起きないどころか、目も開けない。
家を守る、それを口実にして
ほぼ終日、夢の中を彷徨っているように見える。
理想的な暮らし、と思えなくもない。
いやまてよ、ただゆっくりしたいのなら、
より安全であるはずの柵の内側に寝転がれば、
あるいはベランダや屋上で白昼夢を見ればいいものを。
なぜあえて、彼らは柵の外で寝ているのだろう?
それは、ネコはいつもトロトロと寝てるフリをしているが、
実は人や街との関わりを常に求めている社会的な存在だからか?
おいおい、もしそうだとすればネコたちの日々は、
人間の単純な想像や思い込みをはるかに超えて
なんともクールでアクティブではないか…。
確かに、猟ある猫は爪を隠す、などという諺もある。
ネコの生態や歴史に詳しくないのでその答えは分からないが、
歩道脇で無防備に寝ている姿を見るだけでも、
こうしてなぜが妙にネコの肩を持ってしまうことも、
ネコたちが放つ見えざる社会性のなせる技、だったらスゴイ。
(…あるいは、彼らはただ怠惰なだけかも。それはそれで嬉しいけど。)