今から7年前のこと。
愛猫のアメリカンショートヘアー・ハマーを亡くしました。
ハマーは当時15歳だったので、人間に例えるなら80歳ぐらい。
でも、死因は老衰ではなく『線維肉腫』でした。
猫に多いといわれる『線維肉腫』という病気、みなさんはご存知でしたか?
これは人間にも犬にも発症するガンの一種で、体の柔らかい部分の組織に存在しているコラーゲンを生み出す細胞が悪性化して どんどん広がっていく病気です。
ハマーの場合は14歳になった頃、唇の上の部分にポツンと赤にきびのような発疹ができ、その後、徐々に悪性の細胞が口のなかへと広がって、最期にはごはんが食べられなくなり、衰弱していきました。
猫が『線維肉腫』を発症する原因には諸説あり、猫用のワクチンの接種をすると、発症率が高くなるともいわれていますが、これには否定的な意見も多いようです。
やはり『遺伝』による体質の影響が大きいようで、特にアメリカンショートヘアーのオスには、『線維肉腫』が多いと獣医師から説明を受けたこともあります。
実は、ハマーに『線維肉腫』が発症する2年ほど前、不思議な出会いがありました。
宅配便を届けにやってきた宅配業者のお兄さんが、玄関で出迎えたハマーを見て「あああっ!」と言ってそのまま固まってしまったのです。
あまりに動揺した様子だったので「猫、お嫌いですか?ごめんなさい」とハマーを奥へ連れて行こうとすると、
「違うんです!うちの猫にそっくりで!ひょっとして○○○○というブリーダーさんのところのアメリカンショートヘアーではないですか?」とお兄さん。
その○○○○は、まさにハマーを譲り受けたアメショ専門のブリーダーさんの名前だったので
「そうです、12年前の9月頃に○○さんのところで買った子です」と話すと、
「やっぱりそうでしたか!僕もちょうど同じ頃、○○さんのところでメスのアメショを買ったんです。顔のカタチも、チョロっと舌ベロを出しているところも、うちの猫にそっくりなので、きっとこの子ときょうだいですよね!」と興奮した様子。
「ちょっと抱っこさせてもらっても良いですか?」
といってハマーを抱き上げた彼の目には、うっすらと涙が浮かんでいました。
「実は先月、うちの猫、死んじゃったんです。『線維肉腫』というガンで・・・」
やさしくハマーの頭をなでたあと、名残惜しそうにしながら腕から降ろし、
「取り乱してしまってすみません。うちの猫が生き返ったのかと一瞬混乱してしまったんですが、まさかこちらできょうだいに会えるとは・・・すごく嬉しかったです」
そういって、お兄さんは仕事に戻っていきました。
そのときは、「猫にもガンがあるのか・・・」としか思わなかった筆者ですが、2年が過ぎた後、ハマーの唇の上の赤い発疹を見たときに、ふと、このときのお兄さんの言葉がモヤモヤと頭をよぎったのです。
次回は、ハマーの『線維肉腫』闘病の様子を振り返ります。