ネコグラファーの前田悟志です。
カレンダーをめくったら残り1枚。気づけば12月。
師走ですね…。
師走と言えば、11月27日に今年の大相撲も全ての日程が終わりましたね。
10月末に「モルとムギ 相撲部屋の猫親方」という写真集を出版させていただきました。今回からその裏話をお話させていただこうと思います。
東京中央区、明治座のすぐ近くに位置する「荒汐部屋」。
2002年にできた比較的まだ新しい相撲部屋です。
こちらに猫の親方がいるということは、テレビやネットで話題になっていました。
「煉と虎徹」の時にはヴィジュアル系バンドマンと猫。
それに通じる「ギャップ」に「撮りたい」って気持ちがわいたのを今でも覚えています。
僕の場合「かわいい猫の写真」だけではなく、その飼い主さん(周りの皆さん)の素顔や猫との関わりも届けたいというのが信念にあります。一般的な「猫写真集」とはちょっと違うかもしれません。
「ヴィジュアル系バンドマン」も「力士」も日常ってなかなか見ることはできません。猫を通じてそれを伝えることができればと思ったんです。
みなさんは相撲部屋や力士に対してどんなイメージがありますか?
しきたりや礼節に囲まれて大変そう。スマホとか持たせてもらえなそう。寝ても覚めても稽古稽古で大変そう。そもそも怖そう。
現実世界から隔離され、国技のプレイヤーとして神事を司る若い子たち。
僕はそんなイメージがありました。
いや半分は正解だったんですけど(笑)
初めて荒汐部屋にお邪魔させていただいたのは2016年6月2日のことでした。取材の申込みをさせていただいたのが5月。その時点で他社からも写真集のお話が来ているというのはお知らせいただいてました。
ははは。
それがまさか他に3社あるって知った時は正直びっくりしましたけど(笑)
出版社の編集担当者さんの絶望しきった顔は今でも忘れられません。
1匹の猫がモデルで複数社から出版されるってのは、裏で何か不穏なことがあった場合が多いです。出版社と著者がモメたとか…。緊急事態ってことです。
今回は女将さんの計らいにより、4社での事前打ち合わせの場をいただき、円満に出版させていただくことができました。これも多分前例が無いんじゃないでしょうか?
いやぁ、ここまで何もかも分からない取材って初めてでした。
何がわからないって、どこで靴を脱いだらいいのかすらわからないわけです。
もちろん土俵は土足厳禁ってことはわかってましたが(笑)
河出書房新社の編集担当さんは女性。
女性が相撲部屋のどこに入れて、どこに入っちゃいけないのかすらわからない。
そもそも同行してもらっていいのかもわからないわけです。
そんな不安は荒汐部屋の扉を開いた瞬間に何処かへ飛んで行ったのでした。
力士の皆さん、本当に気さくなんですよ。
その上礼儀正しい。(煉さんもすごく礼儀正しい方なので、本当に僕は被写体にも恵まれていると思います。)
段々と相撲部屋と力士、鬢付け油の香りに惹かれていくのでした。
無事に出版社さんの企画書も通り「モルとムギ 相撲部屋の猫親方」の製作に取り掛かることになりました。
ちなみに、どうやって猫の写真集って出すんだろうと思ってる方もいらっしゃると思います。だいたいこんな感じです。
1.企画書を作る。
事前に取材をしておきます。
2.出版社に連絡を取る。
写真集の最後のページに編集部の電話番号が載ってますので、そこに電話を掛けます。初めての電話なので緊張するとは思いますが、丁寧に。
3.打ち合わせ。
とにかくなぜその本を出したいのか?どれくらい売れるのかの裏付けが必要になります。そして飼い主さんに出版の了解を得ていることも重要ですので、取材の際にきちんと飼い主さんとコミュニケーションをとっておきましょう。
はて。写真の腕は?とお思いですよね(笑)
正直、写真の腕は二の次です。
写真の腕以上にコミュニケーション能力、プレゼン能力、マーケティング能力が必要になります。
次回はいよいよ撮影裏話を。
今回は出版の裏話になってしまってごめんなさい…。
モルとムギ 相撲部屋の猫親方
河出書房新社 1,296円
https://www.amazon.co.jp/dp/4309277802
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