【世界のニャ窓から file #3】
タイ、バンコク、ペップリーロード。
黒ネコは突然現れる。それは場所も時間も、辺りにいる人たちのキモチも、何もおかまいなしだ。
そして微動だにせず、何かを射抜くことを訓練されたような目の光で、その先にいる誰かに問いを投げかける。
ペップリーロードで深酒をしたあの夜に、目の前に突然姿を見せたそいつもそうだった。
「こんな時間にここで何をしている。それは正しいことなのか。おまえの旅の暮らしは楽しいか。真っ当に生きているのか。どうだ。」
そいつはあらかじめ答えを知った上で、私にそう尋ねた。そう、黒ネコはいつでも全てをのことを知っているのだ。