【世界のニャ窓から file #2】
タイ、バンコク、シーロムロード。
民家の軒先をのぞいたら飼いネコがいた。妙に落ち着いた、どこか育ちの良さそうな表情でじっとこちらを見ている。
「私の容姿はいわゆる典型的なシャムネコではありませんが、このお屋敷で生まれて今日までずっと、家族と近所のみなさんに大切に育てられてきました。タイつまりシャムの優しい人たちと豊かな暮らしを誰よりも知っています。私は、そんな自分がほんとうのシャムネコだと思っています。」
そう聞こえた気がしたのは、熱帯の午後、激しいスコールやってくる直前の幻惑だったのだろうか。