せっかく暖かくなってきたのに、花粉症の方にとっては辛い季節ですね。心よりお見舞い申し上げます。

ところで、猫さんにも花粉症があるということが、ここ十数年で明らかになってきました。窓を開けて換気していると、猫さんの様子がいつもと違う・・・それ、花粉症かもしれません。

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せっかく暖かくなってきたのに、花粉症の方にとっては辛い季節ですね。心よりお見舞い申し上げます。

ところで、猫さんにも花粉症があるということが、ここ十数年で明らかになってきました。窓を開けて換気していると、猫さんの様子がいつもと違う・・・それ、花粉症かもしれません。

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動物の花粉症も、人間と同じようにスギやブタクサなどの花粉が原因になりますが、猫の場合はブタクサに反応している割合が高いそうです。症状は人間と同じようにくしゃみ・鼻水が出る場合もありますが、人間と比べて「皮膚のかゆみ」が表れやすいのが特徴です。犬や猫の「かゆみ」の約30%がアレルギーによるともいわれており、不快感から全身を舐めすぎて毛が薄くなってしまう猫さんも少なくありません。また、目の周りや顔全体が腫れたり、外耳炎を起こしたりもします。嘔吐や下痢など消化器症状が出ることもあります。

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犬や猫にアレルギーを起こしうる物質は無数にあります。動物用のアレルギー検査を行う検査会社(スペクトラム・ラボ)HPよりお借りしました。

血液を採取して血中の抗体の量を調べる「アレルギー検査」は、猫の花粉症の診断の一助となります。アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因となっている物質を指します。花粉症の場合は花粉。その他、ハウスダスト、食物中のたんぱく質、動物の毛やフケなどがアレルゲンになります)それぞれから身を守るための抗体は、すべて違う形をしています。そこで、それぞれの物質に対する抗体をどれくらい持っているかを調べ、抗体価が高い=抗体が過剰に作られている=体が過剰反応している=その物質にアレルギーを持っている、ということになります。しかし、アレルギー検査で猫の花粉症を診断するのは困難です。その物質に反応している時に必ず抗体価が上がっているとも限らず、逆に、抗体価が上がっている物質が出たところで、それが花粉症の原因かどうかわからないからです。現実的には、猫が花粉症にかかっていることをはっきりと断言できる診断方法は現時点では「ない」と言えます。

思えば人間も、花粉症の方が全員「確定診断」をされているわけではありませんよね。くしゃみや鼻水が出るが風邪ではない→花粉症だろうなと思って薬を飲む→症状が緩和する→次の年も同時期にくしゃみが出る→やっぱり花粉症だろうな・・・という流れは人間以外にも当てはまります。季節性の症状が出ていて、感染症などほかの病気の可能性を否定できる場合は、花粉症であると仮診断して治療していくことになります。猫に限らず動物たちは言葉を話しませんから、感染症にかかっていないかを確認する検査は人間よりも念入りに行う必要があります。皮膚のかゆみの原因になる寄生虫(ノミ・ダニ・真菌など)に感染していないかは、完全室内飼いの猫であっても調べなければなりません。

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治療方法も人間とほぼ同じで、抗ヒスタミン薬やステロイド剤が症状にあわせて用いられます。比較的強い皮膚のかゆみが続く子は、花粉の他にも食物やハウスダストなど様々なアレルゲンに反応していることが多く、アレルギーを起こしにくいフードや、免疫を調整するお薬を併用する場合もあります。

おうちでできる予防としては、こまめに掃除して花粉を取り除く、空気清浄機を活用してハウスダストをためないようにする、猫さんにストレスをかけない、もちろん外に出さない、などです。詳しくはかかりつけの動物病院に相談しましょう。