前回書いたコラム『アラサー獣医女子がみる「飼育数逆転」』の後記です。
犬の飼育頭数が激減する一方、猫の頭数は微増。このペースだと2015年には猫が初めて犬の頭数を上回る、と試算されていましたが・・・。
2015年の最新の統計が出た模様。結果は、猫の頭数が昨年に比べてわずかに減少したため、逆転ならず、とのことでした。(とある獣医師向けのメーリングリストで回ってきた情報です。この記事を書いている2015年暮れ現在、統計を行っている一般社団法人ペットフード協会さんのホームページでは未確認です。このため、具体的な数値などの記載は控えさせて頂きます。以下の文も、統計うんぬんではなく軽い読み物としてお楽しみください。)

01

犬の飼育頭数の減少と空前の猫ブームに関しては、いたる所で議論がなされています。たくさんの著名人が猫の魅力を熱く語り、テレビをつけると可愛い猫の映像。猫の雑貨もよく売れていますし写真展も盛況です。そんな中、飼育頭数は実は増えていなかった。「空前の猫ブーム」は、実はマスコミが作り上げた虚像なのか?という意見すらもあるようです。

02

ペットは家族 (画像はイメージです)

しかし私は思うのです。犬猫に限らず、動物を心から愛しているからこそ、「飼わない」選択をしている方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか。猫が可愛いのは当然ですが、猫のことをしっかり考えている人ほど、飼うことに伴う責任を重くとらえます。まずは飼い主さん自身の経済基盤が整っていることも重要ですし、住宅も猫が飼える物件を選ばなければなりません。最近はなんでもインターネットで調べられますから、かたっぱしから情報収集した結果、今の自分では猫さんに満足のいく生活をさせてあげられない・・・と諦めてしまう人も少なくないようです。

03

「ワンルームはやっぱり狭いにゃ」。一匹が限度です。

「猫ブームは本当。ただし、猫を飼えない人たちによる猫グッズや猫メディアの需要が増えたのが現状で、猫の飼育頭数は増えなかった。」と私は推察します。猫を飼わない(飼えない)かわりに、猫雑貨や猫の動画・写真集などを楽しむ。猫カフェで猫と触れ合う。

なにかと生きづらい現代、日々の生活で精一杯で、自分以外を養う余裕(精神的・時間的・経済的)のない方も多いことでしょう。飼ってみたいし、実際に飼えばなんとかなるとは思うけれど、その一歩が踏み出せない。だって調べれば調べるほど、今の自分には敷居が高い気がする・・・。

って、あれ・・・?この流れ、「非婚率増加」「少子化」の仕組みと似ていませんか・・・?

人間の子供と犬猫を比べるなんて!と言われてしまうかもしれませんが、人生における大きな決断を前に、悩んで足踏みしてしまう現代社会の構造は共通している気がします。

結婚でさえ「メリットとリスク」を考える時代です。社会が、色々な心配事を作ってしまっているのです。とはいえ社会はすぐには変わらないので、個人個人がある意味「腹をくくって」気楽に構えることも時には必要な気がします。私自身、もっと気楽になりたいですし、動物を飼うという面では、少しでも皆様に気楽になって頂けるよう、獣医師としてお手伝いしたいです。気軽に動物を飼える社会はおのずと、ヒトもイヌもネコも、老人も子供も、みんなが伸び伸びと暮らせる社会になる気がします。

04

「A House Is Not A Home Without The Cat」という名言もあります。すべての猫好きが猫を飼えますように。すべての動物好きが、飼いたい動物を、飼いたい頭数だけ迎えられる社会になりますように。大人、子供、赤ちゃん、犬、猫、その他すべての生き物を含んだ様々な家族の在り方が受け入れられる社会が、一日もはやく訪れますように。そんなちょっと飛躍した思いを巡らせる冬の夜でした。

前回書いたコラム『アラサー獣医女子がみる「飼育数逆転」』の後記です。
犬の飼育頭数が激減する一方、猫の頭数は微増。このペースだと2015年には猫が初めて犬の頭数を上回る、と試算されていましたが・・・。
2015年の最新の統計が出た模様。結果は、猫の頭数が昨年に比べてわずかに減少したため、逆転ならず、とのことでした。(とある獣医師向けのメーリングリストで回ってきた情報です。この記事を書いている2015年暮れ現在、統計を行っている一般社団法人ペットフード協会さんのホームページでは未確認です。このため、具体的な数値などの記載は控えさせて頂きます。以下の文も、統計うんぬんではなく軽い読み物としてお楽しみください。)

01

犬の飼育頭数の減少と空前の猫ブームに関しては、いたる所で議論がなされています。たくさんの著名人が猫の魅力を熱く語り、テレビをつけると可愛い猫の映像。猫の雑貨もよく売れていますし写真展も盛況です。そんな中、飼育頭数は実は増えていなかった。「空前の猫ブーム」は、実はマスコミが作り上げた虚像なのか?という意見すらもあるようです。

02

ペットは家族 (画像はイメージです)

しかし私は思うのです。犬猫に限らず、動物を心から愛しているからこそ、「飼わない」選択をしている方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか。猫が可愛いのは当然ですが、猫のことをしっかり考えている人ほど、飼うことに伴う責任を重くとらえます。まずは飼い主さん自身の経済基盤が整っていることも重要ですし、住宅も猫が飼える物件を選ばなければなりません。最近はなんでもインターネットで調べられますから、かたっぱしから情報収集した結果、今の自分では猫さんに満足のいく生活をさせてあげられない・・・と諦めてしまう人も少なくないようです。

03

「ワンルームはやっぱり狭いにゃ」。一匹が限度です。

「猫ブームは本当。ただし、猫を飼えない人たちによる猫グッズや猫メディアの需要が増えたのが現状で、猫の飼育頭数は増えなかった。」と私は推察します。猫を飼わない(飼えない)かわりに、猫雑貨や猫の動画・写真集などを楽しむ。猫カフェで猫と触れ合う。

なにかと生きづらい現代、日々の生活で精一杯で、自分以外を養う余裕(精神的・時間的・経済的)のない方も多いことでしょう。飼ってみたいし、実際に飼えばなんとかなるとは思うけれど、その一歩が踏み出せない。だって調べれば調べるほど、今の自分には敷居が高い気がする・・・。

って、あれ・・・?この流れ、「非婚率増加」「少子化」の仕組みと似ていませんか・・・?

人間の子供と犬猫を比べるなんて!と言われてしまうかもしれませんが、人生における大きな決断を前に、悩んで足踏みしてしまう現代社会の構造は共通している気がします。

結婚でさえ「メリットとリスク」を考える時代です。社会が、色々な心配事を作ってしまっているのです。とはいえ社会はすぐには変わらないので、個人個人がある意味「腹をくくって」気楽に構えることも時には必要な気がします。私自身、もっと気楽になりたいですし、動物を飼うという面では、少しでも皆様に気楽になって頂けるよう、獣医師としてお手伝いしたいです。気軽に動物を飼える社会はおのずと、ヒトもイヌもネコも、老人も子供も、みんなが伸び伸びと暮らせる社会になる気がします。

04

「A House Is Not A Home Without The Cat」という名言もあります。すべての猫好きが猫を飼えますように。すべての動物好きが、飼いたい動物を、飼いたい頭数だけ迎えられる社会になりますように。大人、子供、赤ちゃん、犬、猫、その他すべての生き物を含んだ様々な家族の在り方が受け入れられる社会が、一日もはやく訪れますように。そんなちょっと飛躍した思いを巡らせる冬の夜でした。